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アルピナB8 4.6は、なぜ「例外」なのか V8ねじ込むために「あの手この手」

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アルピナB8 4.6は、なぜ「例外」なのか V8ねじ込むために「あの手この手」

そもそもアルピナとは? あらためて

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)いきなり「このクルマはB8 4.6です」と言われて、オォ!と声を上げるのはよほどのマニアだと思う。

【画像】エンジンがパツパツ B8/M3の違いは? 全106枚

「そもそもアルピナってどんなクルマなの? パッと見BMWにしか見えないけど」というのがよくある反応に違いない。

そこで今回はしっかりアルピナ何たるか、から書き進めていくことにする。

アルピナ社は1965年、アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限&合資会社として誕生している。

現在ではドイツの小さな自動車メーカーとして認められているアルピナ社だが、設立された当初はチューナーとしてBMW車を手掛けその評価を高めていた。

もちろんアルピナ・チューンのエンジンやマシーンはモータースポーツの世界でもすぐに頭角を現し、70年代に入るとBMWから3.0CSLによるツーリングカー・レース活動を任されることになる。

1978年にブッフローエに自社工場を設けたアルピナ社は、そこでBMWをベースにした市販コンプリートカーの製造を開始している。

チューナーから自動車メーカーへと華麗な転身を遂げたのである。

アルピナ社の優れた仕事はBMW本社も認めている。同社のコンプリートモデルにはBMWの新車保証が適用され、BMWディーラーでメンテナンスを受けられる。

アルピナは自らの卓越した技術によって自動車世界で唯一とも言える特権を勝ち取っているのだ。

日本のアルピナ/唯一の例外B8 4.6

日本でもアルピナのコンプリートモデルは古くから発売されている。

ニコルオートモビルズが日本におけるアルピナの正規代理店として、1979年のB7ターボを皮切りに積極的に展開しているのである。

今日のアルピナはガソリン・モデルのみならず、独自開発によるディーゼル・エンジン・モデルも販売するなど幅広いラインナップを揃えている。

通常のアルピナ・モデルはBMWをベースとして、エンジンや足回り、そしてインテリアといった箇所にアルピナ独自のチューニングを施し、トータルバランスを高めるスタイルが一般的となっている。

アルピナのダンパーといえばビルシュタインと決まっており、タイヤはかつてはミシュランのみだったが現在はピレリもアルピナ専用品を仕立てる。

今回の主役であるBMWアルピナB8 4.6は、数あるアルピナの中でも特別なモデルと言われている。その理由はエンジンとボディの組み合わせが通常のBMWのラインナップにないものだからである。

BMWが直4と直6エンジンしか搭載しなかったE36 3シリーズのエンジンベイに大胆な改造を施し、V8エンジンを落とし込んだのである。

本家BMWが眉をひそめそうなほどの大改造こそが、B8 4.6に唯一の例外ともいえる特別なポジショニングをもたらしているのだ。

V8をねじ込むため「あの手この手」

BMWアルピナB8 4.6に搭載された90度バンクV8のベース・エンジンはBMWのM60である。

BMWでは3Lと4LのM60しか製造していなかったが、アルピナはこれを4.6Lまで拡大している。

ボアとストロークを限界まで広げ、鍛造のクランクシャフトや特製のマーレー・ピストンをインストール。さらに圧縮比を10.8:1まで高めることで、340psという高出力を獲得しているのである。

B8 4.6のエンジンルームを見てみると、左右のストラットタワーとV8エンジンのカムカバーが接触しそうになっていることがわかる。見た目ではわからないがオイルパンは浅いものになり、排気管も省スペースのタイプに変更されている。

だがE36にV8を載せるという無理を通すため、アルピナはベースモデルに相当な改良を施している。

V8に押し出されたウォッシャータンクはトランクへと移設され、ギアボックスは高トルクに対応するためゲトラグの6速を装備する。デフケースも冷却を考え大型のアルミフィン付きに変更されている。

ブレーキも当然のように大型化されているが、驚いたことにダンパーやタイヤは直6モデルのB3 3.2と同じ。

とはいえエンジンパワーの大きさに対応するためASC+T(スタビリティコントロール)は専用セッティングになっている。

これほどの大改造によってE36 3シリーズはどのように化けているのだろう。後半ではB8 4.6をドライブしてみる。

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