CHANEL AND CINEMA - TOKYO LIGHTS──3名の若き才能の受賞が決定

シャネルと映画監督・是枝裕和とのタッグで始動したメンターシッププログラム「CHANEL AND CINEMA - TOKYO LIGHTS」が、その初年度のショートフィルムコンペティション受賞者3名を発表した。

若手映画監督を世界へと導く、シャネルのプログラム

映画とファッションの親密な関係を築き続け、長年にわたり芸術支援を行ってきたシャネル。2024年、そんなメゾンが映画監督・是枝裕和とのタッグで始動したメンターシッププログラム「CHANEL AND CINEMA - TOKYO LIGHTS」が、その初年度のショートフィルムコンペティション受賞者3名を発表した。

このプログラムは、映画制作の現場で活躍する若手監督やフィルムメイカーたちに、実践的かつ創造的な学びの場を提供することを目的に始動。2024年11月に開催された2日間のマスタークラスでは、是枝監督のほか、シャネルと縁のあるアンバサダーや講師陣が参加し、創作についての濃密な議論と指導が行われた。参加者には、続くショートフィルムコンペティションへの応募資格が与えられ、希望者はショートフィルムの脚本を提出。書類審査と面接による選考の末、以下の3名の受賞者が選出された。

個性あふれる若き才能たち

選ばれたのは、首藤凜、田中さくら、古川葵の3名。首藤凜は早稲田大学の映画研究会にて映画制作をスタート。映画『ひらいて』で長編デビューを果たし、すでに国内外で評価を受けている。短編『また一緒に寝ようね』でぴあフィルムフェスティバルに入選するなど、実力と実績を積んできた。

また、田中さくらは同志社大学での映画サークルをきっかけに映画制作の道へと進み、卒業後はテレビ業界に身を置きながらも映画への情熱を失わず、自主制作の短編『夢見るペトロ』で第16回田辺・弁慶映画祭にて審査員特別賞・俳優賞の二冠を獲得した。

そして、古川葵は、終焉を迎える団地を舞台に家族の物語を描いた『MY HOMETOWN』で国内外の映画祭において脚光を浴びた。ドキュメンタリーやMVなどジャンルを問わず表現の幅を広げている映画作家だ。

いずれの受賞者も、これまで限られた資源や環境のなかで創作を続けてきた経験を持ち、この機会に対して「実践的な学びの場を与えていただけたことに感謝している（首藤凜）」「世界へ発信する第一歩にしたい（田中さくら）」「マスタークラスでの発見を作品に生かしたい（古川葵）」と、それぞれの言葉で意気込みを語った。

シャネルが育む、新たな映画の地平

選出された3名の受賞者は、是枝裕和監督をはじめとする映画界のトップクリエイターたちの指導とともに、ショートフィルムの制作に入る。完成作品は2026年に東京とパリの両都市で上映予定。上映会をもって、初年度の「CHANEL AND CINEMA - TOKYO LIGHTS」プログラムはフィナーレを迎える。同時に、2026年からは第2回目のサイクルが始まり、新たなマスタークラスとショートフィルムコンペティションが開催される予定だ。

シャネルは、創業者ガブリエル・シャネルが映画を愛し、芸術家たちと深く関わってきた歴史を受け継ぎながら、現代に生きる若き表現者たちを支える。「CHANEL AND CINEMA - TOKYO LIGHTS」は、そうしたスピリットを映し出す、まさに“未来へつながる映画の祭典”といえるだろう。

編集と文・遠藤加奈（GQ）