現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > マッティア・ビノットのザウバー/アウディ加入は、チーム上層部の”権力闘争”がきっかけ? ザイドル&ホフマンは両成敗!

ここから本文です

マッティア・ビノットのザウバー/アウディ加入は、チーム上層部の”権力闘争”がきっかけ? ザイドル&ホフマンは両成敗!

掲載 1
マッティア・ビノットのザウバー/アウディ加入は、チーム上層部の”権力闘争”がきっかけ? ザイドル&ホフマンは両成敗!

 かつてフェラーリF1のチーム代表を務めたマッティア・ビノットがF1プロジェクト責任者としてアウディF1に加入するというニュースが、日本時間の7月23日夜に世界を駆け巡った。これに伴い、かつてはポルシェのモータースポーツ部門を率い、マクラーレンF1の立て直しを成功させた経験も持つアンドレアス・ザイドルCEOの下、2026年からF1参入を目指すアウディのプロジェクトは順調と見られていたが、急転直下主要人物が入れ替わることになったわけだ。

 この衝撃的な動きに至った理由はいくつかある。そのひとつ目は、ザウバーの成績が優れなかったことだ。

■元フェラーリF1代表のマッティア・ビノットがアウディF1に加入。プロジェクト責任者に。アンドレアス・ザイドルは離脱へ

 アウディはザウバーF1を買収し、同社のワークスチームとしてF1に打って出ることを計画している。しかし今季のザウバーは低迷を続けており、現時点では全10チーム中唯一無得点となっている。

 ザイドルCEOとしては、2026年に向けて全力を集中していたと説明するだろうが、現在の成績を見ると、アウディとしてF1参戦を始めたとしても、どんなことが期待できるのか……そういう懸念が経営陣の中に生じた可能性がある。

 またアウディとしては、エースドライバーとしてカルロス・サインツJr.を獲得したいと考えていた。しかしサインツJr.は、現在のザウバーのパフォーマンス、そして提示された内容に納得できなかったようで、他チームに加わることを検討し始めていると言われる。つまりドライバー側から見た場合、アウディは魅力的な選択肢になりきれていないということだ。

 このことはドライバーだけでなく、他チームから優秀な人材を獲得する上でも悪影響を及ぼしていたとみられる。

 なおザウバーは、アウディが買収したとはいえ、株式の100%を手にしたわけではなかった。当初は、元オーナーのフィン・ラウジングがまだ関与していたのだ。

 ザイドルCEOとしては、2026年に向けて投資したいと考えていたが、新たな資金調達にはラウジングの協力が必要不可欠だった。しかしラウジングとしては、手放すことが決まっているザウバーのために資金を使うための動機がなく、ザイドルCEOとしても身動きが取れない状況であった。

 この状況に気付いたアウディは買収を急ぎ、今年の3月に株式の100%を取得することを決断。これにより新たな投資と人材の採用が可能となった。

 しかしコース上でのザウバーの戦闘力は一向に向上せず、むしろ逆に後退しているようにも見える。”アウディのワークスチーム”という魅力よりも”2025年にグリッド最後尾から抜け出せないのではないか”というリスクの方が目立つ格好となってしまったのだ。

 ただ、アウディがビノットをF1プロジェクトの責任者に任命することになった転換点は、権力闘争だった。

 ザイドルは2023年のはじめからザウバーに加入し、2026年に向けた準備を進めていた。しかし今年の3月、アウディの元最高開発責任者であるオリバー・ホフマンがザウバー全社の会長に就任すると、状況が一変した。

 情報筋によれば、ホフマンとザイドルは、何をすべきかということについての意見が一致せず、チームが進歩できないことの責任を誰が負うべきか、非難の応酬になっていったという。

 ザイドルからすれば、ザウバーに加入して以来プロジェクトを自由に進めることができていたため、ホフマンが加わったことは不必要な複雑さを増すだけだったという。

 密室でどんなことが起きていたのか、本当のところは分からない。しかしアウディは、現在の状況は持続不可能であり、口論を止めなければいけないと感じたのは間違いないだろう。そしていずれかの肩をもつようなことはせず、ザイドルとホフマンのふたりを一気に解任。後任にビノットを指名したのだ。

 ビノットをふたりの後任としたのは、理に適ったことのように見える。上層部における権力闘争を終わらせ、連絡窓口をひとつのまとめることができたということは、アウディにとっては明らかな改善だ。

 そしてアウディは多くの点で、ビノットがかつて働いていたフェラーリによく似ている。いずれのチームも大手自動車メーカーのワークスチームであり、シャシーとパワーユニットの両方を自社で製造する。ビノットはフェラーリ時代、エンジン部門とシャシー部門の両方でテクニカルディレクターを務めた経験を持っており、F1で成功するために必要なこと、そしてスタッフと施設を最大限に活用するための知識も豊富である。

 そしてビノットはひとりで責任を負い、アウディに直接報告する立場となる。つまりチームとしての進歩を妨げていた、首脳陣間の対立もなくなるわけだ。

 アウディのCEOであり、ザウバーの取締役会会長も兼任することになるゲルノート・デルナーは、次のように語っている。

「我々の目標は、明確なマネジメント構造、明確な責任構造、インターフェイスの削減、そして効率的な意思決定プロセスにより、F1プロジェクト全体をF1で求められるスピードに引き上げることだ」

 ビノット体制が始動するのは8月1日だ。しかし2026年に向けて最高の状態を維持するために、迅速に行動することが求められるはずだ。そしてまずは、今シーズンのコース上でのパフォーマンスを好転させなければいけない。

 なお現在アストンマーティンF1のチーム代表を務めるマイク・クラックがアウディに移籍するという噂が、絶えず流れ続けている。本人は否定しているが。しかしこのことは、ザウバーのチーム代表として新たな人物が採用される可能性があり、そして大規模な人的補強が始まる可能性も高いといえよう。そしてビノット自身がサインツJr.に改めて連絡をとり、もう一度交渉を試みる可能性もあるはずだ。

 ビノットの手腕には、アウディのF1プロジェクトを本来あるべき状態に戻せるかどうか、そういう重要な役割がかかっている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
motorsport.com 日本版
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
motorsport.com 日本版
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
AUTOSPORT web
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
Auto Messe Web

みんなのコメント

1件
  • hatchrock
    新規参戦チームって最初はスタッフとか寄せ集めみたいな感じで噛み合わないけど、寄せ集めでもチームのトップにいた人たちだから、噛み合ったら上位にくるんだろうなー
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村