家康と信玄の狭間で、城と領民のために命を張った天方
ツーリングがてらバイクで全国の城跡を巡っていますが、現地では城の歴史や城主の家系などが描かれている解説板をよく読むことにしています。中には細かく書かれているところもあり、今回訪れた静岡県の周智郡森町向天方(しゅうちぐんもりまちむかいあまがた)の「天方城(あまがたじょう)」は、まさにそれでした。この城にまつわる歴史を調べると、激動の戦国時代を生きた城主がいたことが分かってきたのです。
【画像】悪路とのギャップがスゴイ!? 整備が行き届いて散策しやすい「天方城跡」を見る
「天方城」へのアクセスは細い舗装林道で、路面には木の枝などが散乱していて状態も良いとは言えず、パンクの不安に駆られながら慎重に進みました。
到着すると、アクセス路が荒れている割にはしっかり整備された公園でした。城の外堀にあたるところに駐車場があり、トイレも完備されています。
現地に設置された解説板には詳しく歴史が記されています。それによると、城主の天方山城守道興(あまがたやましろのかみみちおき)の代で戦国時代に突入し、「桶狭間の戦い」で今川義元(いまがわよしもと)が討たれた後に衰退していた今川家に代わり、徳川家康が三河(愛知県東部)から遠州(静岡県西部)へ侵攻。武田信玄も駿河(静岡県中部)を手に入れており、どちらからも攻め入れられるリスクを抱えていたようです。
道興はもともと今川の勇将として知られていた人物でしたが、「浜松城」に居城していた家康に対して敵対心をあらわにし、服従の姿勢を見せなかったようです。
遠州にいながらも敵対し続ける道興に立腹した家康は、1569年6月に「天方城」を攻めて二の丸を占拠。道興は奮闘虚しく降伏します。
しかし翌年10月、家康の命令に従わず兵を集めて城に立て篭もったため、再び謀反の疑いをかけられて攻められてしまいます。結局守りきれずに降伏し、いよいよ徳川の支配下に入ることになりました。
それから3年後の1572年9月、今度は武田信玄が4万以上の大軍を率いて「飯田城」などを攻略して「天方城」に迫り、道興は戦わずして降伏しています。これは勝手な想像ですが、戦闘で兵や領民の命を落とさないためだったのではないでしょうか。
結果、徳川方へ身を寄せることになり、武田信玄は久野弾正(くのだんじょう)を城主に据えます。もちろん家康も黙ってはいません。
1573年に「天方城」攻略を決行し、久野も必死に戦いますが徳川の勢いに押され、ついに降伏します。1574年にもまた武田に奪われますが、それを取り戻しています。
ここまで読むと、「徳川は何回この城を攻めるの!?」と驚きますが、それほど手放せない城なのかもしれません。
その後の天方家ですが、道興の子、道綱(みちつな)はかつて訪れた「二俣城」で家康の子、信康の切腹を介錯。自責の念に苛まれ、後に出家しています。
道興は道直(みちなお)を養子とし、幼少の頃から家康に奉仕させています。道直は「大坂冬の陣」(1614年)や「天王寺の戦い(大坂夏の陣)」(1615年)で戦功をあげて栄達を重ね、代々徳川家に仕えたと言われています。
公園として整備されている「天方城跡」は、主郭を囲むように内堀が巡っており、雑草なども取り払われているので歩いて回ることができます。展望台からは晴れていれば浜松のアクトシティが眺められるようです。
案内板に書かれていた竪堀(たてぼり)がどうしても見つからず、後日ネットで検索したところ、訪れた人は皆探すのに苦労していたそうで、浅い堀がわずかに残されていたようです。
家康の「天方城」に対する執念もすごいですが、道興の奮闘と降伏の歴史も凄まじく、激動の時代を生きたのだろうと考えさせられました。
何度も降伏していると聞くと少し哀れに感じてしまいそうですが、家や城の存続を優先し、また領民を傷つけないための手段だったと考えると、また違う見え方もします。
城は人々の息吹や思念を感じさせてくれます。だから城跡巡りは面白く、また別の地も訪れたいと思うのです。(バイクのニュース編集部)
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