現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > BMW 5シリーズ3台試乗を通じて感動した話【新米編集長コラム#23】

ここから本文です

BMW 5シリーズ3台試乗を通じて感動した話【新米編集長コラム#23】

掲載 4
BMW 5シリーズ3台試乗を通じて感動した話【新米編集長コラム#23】

523dディーゼルは6気筒……ではなく4気筒!

プロフィールにもあるように、私はイタリア車の左ハンドル、マニュアルしか購入したことがないので、自然とそちらの分野の取材が多くなる。そのため、昨年8月にAUTOCAR JAPANへ移籍してくるまで、縁遠かったブランドがいくつかあった。そのひとつがBMWである。

【画像】ディーゼル、BEVに『M』!今回試乗した3台のBMW 5シリーズたち 全118枚

素直にBMWに対する感情を表現するなら『尊敬』だ。この業界に入って間もない頃の取材で、E36のM3とMクーペを比較する企画があり、工業製品としてのクオリティとドライビング性能の高さに、感銘を受けたのをよく覚えている。

だから最新のBMWにはなるべく触れるようにしてきたが、コロナ禍で途切れてしまい、以後は機会が激減していた。そこで久しぶりに乗ってみようと思い、BMWに詳しいとある先輩に聞いたところ、勧められたのが5シリーズのディーゼルであった。

実際にお借りしたのは『BMW 523d Xドライブ・ツーリングMスポーツ』。ケープ・ヨーク・グリーンのボディカラーが絶妙で、乗る前から結構気に入ってしまった。給油したガソリンスタンドでも「いい色ですね」と声をかけられ、オーナーでもないのにすっかりいい気分に。

評判どおり、ディーゼルのフィーリングは素晴らしいものであった。踏み込んだ時のトルクが絶妙な出方で、もしかして3Lの6気筒? と思ってスペックシートを見たら2Lの4気筒! マジか!

車重は1940kgと軽くないが、足まわりの収まりもよく、先輩が勧めたのもすぐに理解できた。バイワイヤに成りたての3シリーズで違和感を覚えたパワーステアリングも、もはや全く気にならないレベルとなり、BMWらしい、切った分だけキレイに曲がるハンドリングになっているではないか。これはいいクルマだ! と感心した。

しかし、唯一気になったのはボディサイズ。全長5060mm、全幅1900mm、全高1515mmとなかなかに巨大で、何と六本木ヒルズの機械式駐車場に入らなかったのだ。全長5000mmオーバーがNGだったようで、係員の人も「新型5シリーズ、ダメなんです……」と恐縮していた。街中で動かす時の取り回し自体は悪くないので、販売面に影響しそうで惜しいと感じた。

i5の速さは赤い彗星のよう

そして乗り換えで、今度はBEVの『BMW i5 M60 Xドライブ』をお借りしたところ、これが想像の斜め上を行く凄いクルマであった。

車重が2360kgもあり、523dと比べると明らかに重い印象で、ボディの揺り返しも大きい。しかしハンドリング、クルマの動きなど、どれをとってもBMWらしいフィーリングで、5シリーズ全般がいいクルマなんだなぁと、感心する。

そして何よりその加速がとんでもない勢いで、車内で思わず爆笑してしまったほど。それもそのはず、i5はフロントに261ps/37.2kg-m、リアに340ps/43.8kg-mのモーターを各1基搭載しており、単純計算で合計601ps! と、スーパースポーツ並みのスペックなのだ。

思わず、これは赤い彗星だ! と、ボディカラーも相成って感じたが、バッテリーはみるみるうちに減っていき、カタログスペックの一定充電走行距離(WLTCモード)455kmは難しい気がした。この乗り方だと300kmも走らないかもしれないが、そういうクルマとして考えれば十分に楽しめるだろう。

……とベタ褒めしてしまったが、両車に共通して気になったのは、いろいろとクルマがやり過ぎてしまうこと。例えばドアを開けたらエンジンオフになる、ステアリングヒーターが自動で入るなど、便利すぎるが故に、煩わしく感じる場面もあった。もちろん設定の問題だと思うが、この試乗期間では使いこなせず、クルマとの信頼関係を築くのに時間がかかりそうな気がしたのは書いておきたい。

M5は永遠に乗っていられるスポーツセダン

そして最後はM5である。これは吉田拓生さんにレポートをお願いしたので、ワインディングでチョイ乗りしたレベルだが、結論から書けばこれも感動した。

UK編集部も吉田さんも、先代比プラス約500kgの車重は如何ともし難いという印象で、もちろんそういう物理的な重さに関しては同感。しかし、その重さを感じさせない作り方が実に上手なのだ。

これを最初に感じたのはBMW 6シリーズのグランクーペを峠で乗った時だから、もう10年は経っていると思う。エンジニアに聞いたことがないので具体的な方法はわからないが、恐らくはアクセルに対する反応、加速、そしてハンドリングなのだろう。

結果、2400kgも車重があるM5に峠で乗っても、気持ちよく走れてしまったのだ。足まわりの収まり方が良好で、一瞬だが、V8のパフォーマンスを感じることもでき、「最高です……」と試乗直後に書いた取材メモに残すほどだった。

最初に乗ったM5はE39(1998年~)で、E60(2004年~)には乗ったものの、F10(2011年~)とG30(2017年~)には乗れておらず、久しぶりのM5となったわけだが、硬質感とセダンとしての快適性を高いレベルで両立しているという意味で、現行型G60のM5は昔のモデルたちに通じるものがあった。

そして取材メモには「たぶん永遠に乗っていられる、スポーツセダン。BMWってすごいなぁ」とも書き残している。これは嘘偽りのない本音で、イタリア車党を唸らせる圧倒的な完成度を見せつけたというわけだ。これはM5に限らず、今回乗った3台全てに言えることであり、BMWへの『尊敬』が改めて高まったのであった。ただし、デザインはイタリアの勝ちだし! と謎の強がりを最後に付け加えておくことにしよう。

BMW 5シリーズ3台のスペック

BMW 523d Xドライブ・ツーリングMスポーツ全長×全幅×全高:5060×1900×1515mm
ホイールベース:2995mm
車両重量:1940kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼル
排気量:1995cc
最高出力:145kW(197ps)/4000rpm
最大トルク:400Nm(40.8kg-m)/1500-2750rpm
ギアボックス:8速AT
燃料消費率(WLCTモード):15.7km/L
価格:960万円

BMW i5 M60 Xドライブ全長×全幅×全高:5060×1900×1505mm
ホイールベース:2995mm
車両重量:2360kg
駆動用バッテリー
総電圧:399.0V
総電力量:83.9kWh
電気モーター
定格出力:F 75.0kW/R 105.0kW
最高出力:F 192kW(261ps)/8000rpm
R 250kW(340ps)/8000rpm
最大トルク:F 365Nm(37.2kg-m)/0-5000rpm
R 430Nm(43.8kg-m)/0-5000rpm
燃料消費率(WLCTモード):205Wh/km
一充電走行距離(WLTCモード):455km
価格:1560万円

BMW M5全長×全幅×全高:5095×1970×1510mm
ホイールベース:3005mm
車両重量:2400kg
エンジン形式:V型8気筒DOHC
排気量:4394cc
最高出力:430kW(585ps)/6000rpm
最大トルク:750Nm(76.5kg-m)/1800-5400pm
ギアボックス:8速AT
燃料消費率(WLCTモード):9.6km/L
価格:1998万円

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

趣味性と実用性を兼ね備えたプジョーの新車たち【新米編集長コラム#29】
趣味性と実用性を兼ね備えたプジョーの新車たち【新米編集長コラム#29】
AUTOCAR JAPAN
イタリアン・デザインで魅了 マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレへ試乗 望まれる閃光
イタリアン・デザインで魅了 マセラティ・グレカーレ・フォルゴーレへ試乗 望まれる閃光
AUTOCAR JAPAN
期待のインスターをコナ側からの視点で語ろう!【ヒョンデ・コナ長期レポート#11】
期待のインスターをコナ側からの視点で語ろう!【ヒョンデ・コナ長期レポート#11】
AUTOCAR JAPAN
徹底的で究極的 BMW M3 コンペティションへ試乗 豪快な直6ツインターボ 許容力を増す4WD
徹底的で究極的 BMW M3 コンペティションへ試乗 豪快な直6ツインターボ 許容力を増す4WD
AUTOCAR JAPAN
【世界のコンパクトEVはここまで進んでいる】ヒョンデ『インスター』初試乗!ワールドカーアワード受賞も納得の完成度
【世界のコンパクトEVはここまで進んでいる】ヒョンデ『インスター』初試乗!ワールドカーアワード受賞も納得の完成度
AUTOCAR JAPAN
【注目は1.2Lハイブリッド】ふんわり感アップ!新型C4の乗り味はよりシトロエンらしく
【注目は1.2Lハイブリッド】ふんわり感アップ!新型C4の乗り味はよりシトロエンらしく
AUTOCAR JAPAN
時代を超越した美貌 メルセデス・ベンツ W111型カブリオレ(2) 戦後が香るフラッグシップ
時代を超越した美貌 メルセデス・ベンツ W111型カブリオレ(2) 戦後が香るフラッグシップ
AUTOCAR JAPAN
2025年版 自動車専門誌が選ぶ、最高のホットハッチ 10選 実用性と楽しさを両立したコンパクトカー
2025年版 自動車専門誌が選ぶ、最高のホットハッチ 10選 実用性と楽しさを両立したコンパクトカー
AUTOCAR JAPAN
日産サクラへUK編集部が乗ってみた 2024年の日本で最多売EV 理想的なソリューション
日産サクラへUK編集部が乗ってみた 2024年の日本で最多売EV 理想的なソリューション
AUTOCAR JAPAN
「EVはガソリン車よりも静か」は本当? テストで見えた興味深い事実 英国記者の視点
「EVはガソリン車よりも静か」は本当? テストで見えた興味深い事実 英国記者の視点
AUTOCAR JAPAN
自動車史で最高峰の1台 BMW 5シリーズ 528i(E39型) 輝かしい1990年代のクルマ(4)
自動車史で最高峰の1台 BMW 5シリーズ 528i(E39型) 輝かしい1990年代のクルマ(4)
AUTOCAR JAPAN
やっぱり黄金期だった? 輝かしい1990年代のクルマ(1) アウディTT E39型BMW 5シリーズ
やっぱり黄金期だった? 輝かしい1990年代のクルマ(1) アウディTT E39型BMW 5シリーズ
AUTOCAR JAPAN
【詳細データテスト】レンジローバー BEVの成功を予感させるPHEV 物理スイッチ類は減らしすぎ
【詳細データテスト】レンジローバー BEVの成功を予感させるPHEV 物理スイッチ類は減らしすぎ
AUTOCAR JAPAN
2025年版 自動車専門誌が選ぶ、最高のステーションワゴン 10選 必要なものをすべて揃えたクルマ
2025年版 自動車専門誌が選ぶ、最高のステーションワゴン 10選 必要なものをすべて揃えたクルマ
AUTOCAR JAPAN
【ポイントは5ナンバー】性能もサイズも日本向き!ヒョンデ・インスターはオールマイティEV
【ポイントは5ナンバー】性能もサイズも日本向き!ヒョンデ・インスターはオールマイティEV
AUTOCAR JAPAN
まさに正常進化のお手本、さらに磨かれた大人の走り味に価値アリ!【新型ボルボ・XC90】
まさに正常進化のお手本、さらに磨かれた大人の走り味に価値アリ!【新型ボルボ・XC90】
月刊自家用車WEB
古き良き魅力と迫力 アストン マーティン V8ヴァンテージ UK中古車ガイド 現実味を増した4代目
古き良き魅力と迫力 アストン マーティン V8ヴァンテージ UK中古車ガイド 現実味を増した4代目
AUTOCAR JAPAN
“日常を愉しむ相棒”に最適!? 深化と熟成が進んだBMW「3シリーズ」が示した“王道セダン”の完成形とは
“日常を愉しむ相棒”に最適!? 深化と熟成が進んだBMW「3シリーズ」が示した“王道セダン”の完成形とは
VAGUE

みんなのコメント

4件
  • ksh********
    なんだかグリルがやはり駄目だな。大きな豚の鼻みたいになってしまっていて。やり過ぎなグリルは同グループのロールスロイスだから成功したのであって特殊だよ。ここ数年は珍しくデザインで失敗してる。
  • s60********
    Eクラスが結構いいのよ
    直6もいいしお目目はBMWみたいだし
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1998 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

204 . 0万円 1928 . 0万円

中古車を検索
BMW M5の買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1998 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

204 . 0万円 1928 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村