近年は、多くの新型車に、ステアリングやアクセル、ブレーキの操作を支援する、特定条件下での自動運転機能「レベル2」が採用されています。2021年3月には、とうとう条件付き自動運転「レベル3」の技術も登場。
限定的ではありますが、これまでドライバーによる監視が必須だった運転が、システムによる監視の領域にはいったことで、映画のなかの話だった「自動運転」が現実味をおびてきました。
長距離トラックドライバーの強い味方となるか!? 進化した自動運転レベル2の大型トラックを試乗!
2035年を描いたSF映画「アイロボット」(2004年公開)では、主人公のスプーナー(ウィル・スミス)が自動運転からドライバー運転モードへと切り替える、というシーンがありました。
ドライバーが「運転するかしないか選ぶことができる」状態、すなわち、自動運転「レベル4」以上の実現には、さまざまな課題がありますが、なかでも脅威であり、高度な耐性が必要とされているのが「サイバー攻撃」です。
文:吉川賢一
アイキャッチ画像:AdobeStock_metamorworks
写真:HONDA、BMW、SUBARU、NISSAN、TOYOTA、LEXUS
[gallink]
サイバー攻撃は、今この瞬間も行われている
いま世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス以上に「脅威」と言われている、サイバー攻撃。米国では、企業や政府機関がターゲットにされることが多く、年々被害件数は増えています。もちろん日本においても、他人事ではありません。警視庁によると、日本も関係した具体的なサイバー攻撃の事例が複数報告されています。
【事例1】平成22年9月、尖閣諸島周辺領海内における中国漁船衝突事件を受けて、中国のハッカー集団である「中国紅客連盟」と称する者が、日本の政府機関等に対しサイバー攻撃を行うよう呼び掛け、警察庁のウェブサーバに対し、これに関連したとみられるアクセスが集中
【事例2】21年7月、米国・韓国の政府機関等に対するサイバー攻撃が発生し、日本所在の複数のコンピュータが攻撃に利用されていたことが判明
【事例3】22年9月、イランの原子力発電所等のコンピュータ約3万台が、電力、ガス等の産業用システムを標的とするスタックスネットと呼ばれる不正プログラムに感染。日本では、産業用システムにおける被害は確認されていませんが、複数のコンピュータが感染したとされている
政府機関や、原子力発電所など、インフラに関係する設備を狙うことで、社会的混乱を引き起こし、その混乱に乗じて大金を盗み取る。映画の中の世界で起こるようなことが、すでに現実に起こっています。
「つながる」必要がある自動運転車
クルマが正確で安全な自動運転をするためには、なによりも「情報」が必要。ナビゲーションによる道路情報だけでなく、渋滞や事故、工事情報など、「刻々と変化する情報」を加えた「ダイナミックマップ」(※高精細の3次元デジタルマップ)を随時受信する必要があります。
世界初の「レベル3」自動運転技術である、ホンダレジェンドに搭載された「ホンダセンシングエリート」の「トラフィックジャムパイロット」でも、3次元高精度地図や全球測位衛星システムのデータに加え、自車位置や先の道路状況を正確に把握し、かつ、外界認識用センサーで自車周辺360度を検知、ドライバーの状態も常時モニターしています。
ホンダレジェンドのトラフィックジャムパイロット作動イメージ。自動運転車が安全に走行するためには、常にネットワークに繋がっていることが必要
最悪の場合、テロ攻撃に利用される可能性も
常に情報を受信するために、常にネットワークにつながっている必要がある自動運転車ですが、それはサイバー攻撃などの危険に常にさらされている、ともいえます。
もし、自動運転中のクルマやドローンがサイバー攻撃によって乗っ取られたり、ハッカーなどによって、送られてくる情報が故意に書き換えられてしまうと、プログラムに忠実に従うクルマは、突如危険な存在へと変貌してしまいます。最悪の場合として、テロ攻撃に利用されることも否定はできません。
冒頭でふれた映画「アイロボット」のワンシーンのように、「クルマを暴走させて突っ込ませる」ことまでしなくても、高速道路や幹線道路の上で数台のクルマを止めてしまうだけで、簡単に「交通マヒ」状態となり、交通が混乱状態に陥ってしまいます。
なかでも、もっとも懸念されているのが、運転者が使うスマートフォンを経由したセキュリティ攻撃の可能性です。悪質なコードが埋め込まれたアプリや、スマホ経由の車両データの更新によるハッキングなど、対策箇所は無限にあります。
もし、これらすべてのクルマが、一斉に乗っ取られてしまったら…(AdobeStock_metamorworks)
サイバー攻撃は防ぎきれない
自動運転車だけではなく、ナビゲーションのアップデートや、不具合のあったプログラムの書き換えなどがオンラインでできるなど、昨今はクルマがネットワークに繋がることが増えてきています。
最近のクルマでは、約1億行ものコードが動作しており、今後は、自動運転や車-車間通信の機能が増えていくと、コードの行数は数倍にも伸びると言われています。もし、不正アクセスによって、その中のたった1行を書き換えられても、大混乱が起きる可能性は十分にあります。
このため、経産省は、自動運転車のサイバーセキュリティについて、「情報通信」「金融」「航空」「鉄道」「電力」等と同様の、高度な対策が必要としています。日本自動車工業会とも連携し、サイバーセキュリティに関する情報を共有するための組織「サイバーセキュリティ部会」を設置。アメリカやヨーロッパの業界団体と共に、サイバーセキュリティ対策に取り組んでいます。
しかしながら、実際のところ、サイバー攻撃を100%防ぐことは不可能な状況。
当然、防ぐための対処方法は、自動車メーカー、サプライヤ、すべての視点で考慮されており、安全のための「多層防御設計」によって攻撃をうけても危ない存在となることを避ける対策が検討されていますが、減らせてもゼロには出来ない交通事故のように、自動運転においても、自動運転車に想定を超えたイレギュラーなことが起こりうることは、覚悟しておかなければならない、と思われます。
★ ★ ★
■以下編集部注
現時点で自家用車へのサイバー攻撃の具体的な被害として考えられるのは、運転機能を乗っ取られたり、セキュリティを外されて盗難を容易にされたり、(運行記録などの)個人情報を抜き取られるなどのリスクがある。もちろん自動車メーカーは、こうしたリスクへの対応を日々実施しており、攻撃者と防御者の戦いは日々進化を続けている。
ユーザーとして踏まえておかなければいけないのは、こうしたサイバー攻撃への対策費は車両価格に上乗せせざるをえず、クルマが便利になればなるほど、電子化、自動化が進めば進むほど、加速度的にこうした「コスト」は上乗せされ続けていくということだ。
[gallink]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
「運転席の横に“クルマが踊っている”スイッチがありますが、押したら滑りますか?」 謎のスイッチの意味は? 知らない「使い方」とは
「すごい衝突事故…」 東富士五湖道路が一時「上下線通行止め!」 ミニバンが「横向き」で“全車線”ふさぐ… 富士吉田で国道も渋滞発生中
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
「ノーマルタイヤで立ち往生」に国交省ブチギレ!?「行政処分の対象です」2年連続で大量発生…「スタックの7割が夏用タイヤ」今年も緊急警告
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
しかし、運転まで車に任せたくない。と言うのが個人的な本音
でも、まぁただの移動手段とみなせば、そうなるんだよねぇ。
もっとも、個人的にはレベル5なんて不可能だと思いますけどね。
アトムが作れるなら話別ですが。
せいぜいが、都市交通におけるバスの自動運転がせいぜい。それすらも他の自動車歩行者がいて難しいとおもう。専用線を走るモノレールとは話が違う。
それがネット接続。