この記事をまとめると
■1994年に「シビックシャトル ビーグル」がRVブームに合わせて誕生
「スーパー」「ワンダー」……今度は「爽快」! 振り向けば超長寿「累計販売2700万台」超の11代シビックを振り返る
■専用エクステリアや4WD、高い積載性を備え、実用性とアウトドアテイストを両立していた。
■約1年8カ月で販売を終えたがホンダのRV戦略を象徴する個性的な1台である
バリエーションが数多いシビックのなかでも異色な1台
ホンダの「シビック」といえば、初代「RS」から始まり2代目「CX」、3~4代目の「Si」、4~6代目の「SiR(2)」、そして6代目以降の「タイプR」へと至るまで、数々のホットバージョンがある。またこれらをベースとしたレーシングカーやワンメイクレースも生み出されているため、多くのクルマ好きにとってはスポーティかつレーシーなイメージが強いだろう。
しかしそんなシビックにもかつて、そんなレーシーさとは真逆のRV仕様が存在していた! それが、4代目の5ドアステーションワゴン「シャトル」をベースとして1994年6月に発売された「ビーグル」である。
この「シビックシャトルビーグル」のルーツをひもといてみると、2代目「バン」をベースとした乗用モデル「カントリー」にまでさかのぼることができる。
ホンダ初のステーションワゴンとして1980年1月に発売された「シビックカントリー」は、バックドアに標準、ボディサイドにオプション(最初の1500台分は発売記念として標準)で装着された木目調パネルが、外観上の大きな特徴。またサイドモールや大型のリヤバンパーも独自に備え、かつてアメリカで大流行したクラシカルなステーションワゴンのスタイルを色濃く採り入れていた。
やがてシビック自体が1983年に3代目へ世代交代すると、この5ドアモデルは「シャトル」へと生まれ変わる。3ドアに対し全長は180mm長い3990mm、全幅は15mm広い1645mm、ホイールベースは70mm長い2450mmというだけではく、全高が150mmも高い1490mmという、背高パッケージをいち早く採用していた。なお1984年10月には、パートタイム式の4WD車が追加されている。
この設計思想は1987年9月にデビューした4代目シビックの「シャトル」にも継承されており、全長×全幅×全高=4105×1690×1495mm、ホイールベース2500mmと、全体的にサイズアップしつつもよりトール&ワイドなパッケージングに進化。
新開発の四輪ダブルウイッシュボーン式サスペンションを新たに採用しながら、荷室容量は後席使用時で328リットル、後席格納時で648リットルと、十分に高い実用性を備えていた。また、こちらも新開発のビスカスカップリング式リアルタイム4WDが設定され、これにスーパーローギヤ付き5速MTが組み合わせられていた(1988年3月に4速AT車を追加)。
RVブームに乗っかるも短命に終わる
この4代目「シビックシャトル」は、1991年9月に3ドアハッチバックと4ドアセダンが5代目へフルモデルチェンジしても、販売が継続される。そのころに前後して日本ではバブル経済の崩壊が始まり、自動車業界では1991年1月に2代目三菱パジェロが誕生したことなどを契機として空前の「RVブーム」が沸き起こるなか、ホンダはそのいずれにも有効な手立てを打てず、創業以来の経営危機に陥り始めていた。
そうした時代背景のなかで1994年6月に誕生したのが、「シビックシャトルビーグル」だ。
「ビーグル」は「シビックシャトル」の最上級グレード「RTi」(4WD車のみ設定)をベースに、専用の下側がアーバングレー・メタリックの2トーンカラー、明るいグレー色のファブリック内装を採用。
さらに、当時大流行していたカンガルーバーに倣ったアルミ製バンパーガード&アンダーガード、φ180・55WのPIAA製大型フォグランプ、リヤフォグランプ、前後マッドガード、175/70R14スチールラジアルタイヤ&5本スポークアルミホイール、フィン付きワイパーブレードを標準装備した(ルーフレールはベース車に標準装備)。
これらにより、元来備えていた高い実用性と居住性、悪路走破性に加え、RVらしい内外装スタイルを与えることに成功している。
また、オートエアコンやAM/FMカセットステレオ(CDチェンジャーコントロール機能内蔵)+4スピーカーといった快適装備も充実させながら、車両本体価格を5速MT車で169万円、4速AT車で178万3000円に設定。装備を絞り込んだ「ビーグル・X」では同じく149万円/158万3000円とさらに安価なものにするなど、「ビーグル」はお買い得モデルとしてのポジションも与えられていた。
しかし1996年2月、6代目シビックをベースとしたステーションワゴン「オルティア」と入れ替わる形で、「シビックシャトル」自体が販売を終了。「ビーグル」もわずか1年8カ月のモデルライフを終えた。
以後、日本向けのホンダ車で、カンガルーバーを標準装備したモデルは現れていない。
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