4月15日(土)、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の今季第3戦『アキュラ・グランプリ・オブ・ロングビーチ』の決勝レースが行われ、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963(ニック・タンディ/マシュー・ジャミネ組)が新車のデビュー3戦目で初優勝を飾った。
NTTインディカー・シリーズとの併催レースであり、2023年シーズン唯一のストリートコース・イベントである第3戦ロングビーチ。デイトナ24時間、セブリング12時間と長距離レースが続いたが、このレースは100分間のスプリントレースだ。また、同イベントではLMP2とLMP3カテゴリーのマシンが参加せず。最高峰カテゴリーであるGTPとGT3カテゴリーのGTDプロ、GTDの計3クラスから計28台がエントリーした。
ポルシェ963、セブリングのクラッシュで1台がシャシー交換も「まだ多くの可能性を秘めている」とナッセ/IMSA
14日(金)に行われた予選では、同じ週末にポルトガルで行われたWEC世界耐久選手権第3戦ポルティマオを欠場しカリフォルニア州のレースに臨んだフィリペ・アルバカーキ駆る10号車アキュラARX-06(ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポート)が、全体最速タイムとなる1分09秒909をマークしてポールポジションを獲得。同門のメイヤー・シャンク・レーシング60号車とともにアキュラ勢がフロントロウを独占してみせた。
その後方にはは2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)が続き、BMW MチームRLLの25号車、24号車BMW MハイブリッドV8勢が4番手、5番手でトップ5を形成している。
迎えた翌日の決勝は、アルバカーキの10号車がスタートで順位を守った一方、3番手スタートとなったセバスチャン・ブルデー駆る2号車がターン1の飛び込みでスピン。黄色いキャデラックはノーズをウォールにヒットさせた直後、コースを横断する形で止まる。また、2番手60号車アキュラのトム・ブロンクビストは、ブレーキング時に左後方から25号車BMWの接触を受けてスピンを喫した。2号車はこの段階でリタイア、60号車は最後尾に下がったもののレースに復帰している。
スタート直後のアクシデントの影響でレースはオープニングラップからコーションが出される。約10分後にリスタートが切られると、トップを走る10号車アキュラは2番手に順位を上げた6号車ポルシェらをじわじわと引き離しにかかる。
スタートから40分過ぎ、首位アルバカーキの10号車がピットインしリッキー・テイラーにドライバーを交代してコースに出ていく。翌周、6号車と姉妹車7号車がルーティンのピットインを行い10号車の前で復帰した。これでワン・ツーを築いたポルシェ勢だったが、レースペースは後続の25号車BMWや10号車がアキュラが上回っており徐々にリードを失っていく。
スタートから1時間15分が過ぎた頃、3番手を走る25号車BMWのコナー・デ・フィリッピが、ターン1で7号車ポルシェに仕掛けるもオーバーシュート。これでBMWは4番手に後退する。労せず3番手に順位を上げた10号車アキュラが7号車に追いつくのに、そう時間は掛からなかった。しかし7号車も簡単にはオーバーテイクを許さない。その間に25号車BMWがアキュラに追いつき7号車ポルシェを先頭にした3台のパックが形成された。
■セブリングに続き“また”ウェイン・テイラー・レーシングに悲劇
残り10分、ついにテイラーが7号車をかわして2番手に浮上。抜かれたマット・キャンベルはBMWにも逆転を許し4番手に。この時点で首位6号車ポルシェと10号車アキュラには約7秒のギャップがあった。しかし、予選最速マシンはこの決勝でもスピードを発揮し、みるみるうちにギャップが削られていく
残り時間2分あまり、いよいよ首位を走るジャミネが追い詰められた。テール・トゥ・ノーズとなった2台は残り2周となったレースのターン1に向かってストレートを走行。直後、コーナーのイン側にマシンを振ったテイラーが6号車をパスしたかに見えたが、10号車はスピードを殺しきれず左コーナーを直進しタイヤバリアに刺さってしまう。
これで勝負あり。直後に今イベント2度目のコーションが出され、レースはセーフティカー先導でファイナルラップに入ると、そのままフィニッシュを迎えた。
優勝は絶体絶命のピンチを凌いだ6号車ポルシェ。3位にも姉妹車7号車が入ったことでポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは新型LMDH『ポルシェ963』の記念すべき初勝利をワン・スリー・フィニッシュで飾っている。総合2位は前戦セブリングでも準優勝となった25号車BMW MハイブリッドV8だ。今季初優勝を狙ったコニカミノルタ・アキュラARX-06は2戦続けて最終盤のアクシデントに泣き、60号車アキュラに次ぐ総合7位でレースを終えている。
GTDプロクラスは、バッサー・サリバンの14号車レクサスRC F GT3(ジャック・ホークスワース/ベン・バーニコート組)が、スタートから一度も首位の座を譲ることなく完勝。GTDクラスではオーバーカットでポールシッターの27号車アストンマーティン・バンテージGT3(ハート・オブ・レーシングチーム)を逆転し、その後レース中盤から首位を守ったポール・ミラー・レーシングの1号車BMW M4 GT3(ブライアン・セラーズ/マディソン・スノー組が27号車の追撃を振り切って連勝を飾っている。
開幕3戦を終えたIMSAの次戦第4戦は、同じくカリフォルニア州のウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカに舞台を移し、5月12~14日に『モチュール・コース・デ・モントレー』が開催される。同レースにはLMP2カーが復帰し、決勝はシリーズのスタンダード・フォーマットである2時間40分で争われる。
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