F1史上初の試みとなった『スプリント予選』。17周の走行を終えて、ミックスゾーンにやってきた角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)に笑顔はなかった。それはスプリント予選をスタートしたポジションと結果的に同じポジションでチェッカーフラッグを受けたからだ。
もちろん、オーバーテイクが難しいシルバーストンで16番手からスタートすれば、厳しい展開になることは角田も予想していた。だからこそ、金曜日の予選が悔やまれた。角田にとって誤算だったのは、Q1の1セット目のタイヤでのアタックを終えてピットインしたときに、ランダムで選ばれる車重検査に引っかかったことだ。
角田裕毅16番手「マシンに悩み続けている。データを見直し、決勝に役立つことを見つけたい」F1第10戦スプリント予選
予選での車重検査は必ず誰かが引っかかっており、それだけがQ1敗退の直接の理由ではない。車重検査に呼ばれたことで、2セットのタイヤを履いてコースインするタイミングがギリギリとなった。Q1は3つあるピリオドのなかで18分間と最も長いセッションとなっているが、今回のイギリスGPの予選では角田とアルファタウリは1セットのタイヤで2回のアタックをするプランで臨んでいたため、アウトラップ→アタックラップ→インラップという通常のタイムアタックに比べて、時間を擁していたことも、角田にとっては痛かった。
そのため、再びコースインさせるタイミングに関して、チームには選択肢はなく、車検から戻ってきた角田のマシンをジャッキアップして燃料を搭載し、タイヤ交換を済ませると、慌ただしくコースインさせるしかなく、結果的に渋滞のなかに角田を入れてしまったのだ。
こうして16番手からスタートした角田は、「出だしはそこまで悪くなかった」ものの、1周目にニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)にかわされ17番手に後退。さらに2周目にはコースオフして大きくポジションを落としたカルロス・サインツ(フェラーリ)にオーバーテイクされて18番手となった。その後、ラティフィを抜いて、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)のスピンによる後退で16番手まで挽回した角田だが、シルバーストンでの17周のスプリント予選ではこれが精一杯だった。
「ペースは悪くないので、できるだけ(順位を)上げられるように頑張りたいです」
そう言ってミックスゾーンを後にした角田。果たして、日曜日の角田に笑顔は戻るのか。
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