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【PHEVのQ7に55が登場】アウディQ7 55 TFSIeへ試乗 加速するSUVのせめぎ合い

掲載 更新 7
【PHEVのQ7に55が登場】アウディQ7 55 TFSIeへ試乗 加速するSUVのせめぎ合い

3.0L V6ターボとAC同期モーターで380ps

text:Piers Ward(ピアス・ワード)

【画像】PHEVのアウディQ7 欧州で競合する大型SUVと比較 全115枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


2007年、英国の都市部では駐車している大型SUVに偽物の違反切符が貼られるという、笑えないキャンペーンが展開された時期があった。環境負荷を広く知ってもらうためのものだったが、皮肉にもSUVブームが到来。キャンペーンは静かに幕を閉じた。

多くのSUVが街へ現れ、充分なステッカーを用意できなくなったのかもしれない。あるいは今回試乗した、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のアウディQ7のような、SUVの広がりの影響かもしれない。

自動車利用が環境へ与える負荷を、英国でもますます強く意識するようになったことは事実。そんな気持ちに、応えるようなモデルだといえる。

アウディQ7 55 TFSIeに搭載されるパワーユニットは、3.0L V6ターボ・ガソリンエンジンと、8速ATに内蔵されるAC同期モーターの組み合わせ。17.4kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、電気の力だけで44kmから48km走れるとうたわれる。

試乗した日は気温が高く、エアコンを使わずにはいられなかった。その結果、駆動用モーターだけで走行できた距離は、満充電で37kmに留まっている。

システム総合での最高出力は380ps、最大トルクは61.1kg-mを獲得。1段パワフルなQ7 60 TFSIeは455psと71.2kg-mだから、その差は大きい。でも、55でも前かがみになって力む必要は感じない。

0-100km/h加速に要する時間は5.8秒で充分瞬足。車重は2450kgもあるのに。

軽くない車重を生んでいる理由が、大きなボディだけでなく、荷室の床下に搭載されるバッテリー。同じQ7でも、V6ディーゼルエンジンのみのクルマは300kg近くも軽い。

アウディらしく上質な車内とパワーユニット

ただし、BMW X5 xドライブ45eや、メルセデス・ベンツGLE 350deといったライバルモデルの車重も同等くらいはある。一方でアウディの方がカタログ上のCO2排出量は多く、英国の場合、税制面ではライバルの方が有利だ。

PHEV化された部分を除けば、基本的に55 TFSIeは2代目のQ7。バッテリーの影響で荷室の容量は865Lから650Lへ狭くなるが、車内の質感やボディパネルのフィット感など、品質はアウディらしく素晴らしい。

ダッシュボード中央には、上下に2面のタッチモニターが並ぶことも同じ。違いといえば、ドライブモードにオートとホールドというハイブリッド用の選択肢が増えることくらいだろう。

オート・モードでは、エネルギー効率が最良になるようにQ7が自動的に計算しつつ、目的地まで走れる。ホールド・モードでは、減速時の回生ブレーキを積極的に活用し、バッテリーの充電量を可能な限り保ってくれる。

V6ターボエンジンと、AC同期モーターの連携はシームレス。発進時は駆動用モーターだけで走り始め、バッテリーの残量が足りなくなるか、一層のパワーが必要になるとエンジンが始動。ハイブリッド状態に切り替わる。

エンジンは、ドライバーも気付かないほどひっそりと始動する。滑らかに回転し、モーターがトルクをアシストするような場面でも、感心するほど制御が良い。

駆動用モーターは充分にパワフルで、流れの速い英国の郊外の道も許容範囲。高速道路に合流する場面では、エンジンの力が頼もしい。流れに乗ってしまえば、穏やかな加速程度なら高速道路でもモーターだけで対応できるようだ。

意識させられる車重と乗り心地は減点要素

気になった点は、減速時の回生ブレーキの効きが一定ではないこと。ドライバーがブレーキペダルを踏む強さを変化させたかのように、期待した通り惰性走行しないことがある。

この先でアクセルペダルを踏もうと予測していても、タイミングが狂わされてしまう。とはいえ、意識して運転していれば、という程度。ほかのPHEVでも、似たような反応を感じることは珍しくない。

Q7 55 TFSIeで一番残念に思うのが、軽くない車重の存在感。X5のPHEV版と同様に、走行中は重さを常に意識させられてしまう。コーナーを曲がる時は、大きな質量が遅れずに着いていこうとしている印象を受ける。

またブラックエディションというトリムグレードのQ7は21インチの大径ホイールを履き、鋭い隆起部分を充分には処理できない様子。サスペンションも、洗練され落ち着いたQ7の質感に同調できるほど、滑らかには感じられなかた。

アウディQ7の55 TFSIeを選ぶべきかどうかは、どれだけ頻繁に充電できるかで左右される。ほかのPHEVと条件は同じだ。自宅や通勤先の駐車場で充電できないのなら、電気モーターとバッテリーは重い荷物になってしまう。

ただし、充電器を利用できるなら、BMW X5 xドライブ45eの方が実力は高いと思う。より大きなバッテリーを搭載し、柔軟にPHEVのメリットを与えてくれるはず。英国の場合は税制など経済性の面でも、BMWの方に分があるといえるだろう。

アウディQ7 55 TFSIe(英国仕様)のスペック

英国価格:5万7510ポンド(862万円/試乗車)
全長:5063mm
全幅:1970mm
全高:1741mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.8秒
燃費:37.0km/L
CO2排出量:62g/km
車両重量:2450kg
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボチャージャー+AC同期モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:14.4kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:380ps/5200-6400rpm(システム総合)
最大トルク:61.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

7件
  • 日本だと1,000万円もの値付けされてるから、ふつうは敢えてこれ選ばないわなあ。

    それにしてもこれ、車重2.5トンもあるとは!!
  • ポルシェベントレーが買えないサラリーマンが好きなアウディでしょ?
    いつも荒らしの対象だね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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