クラウンがセダンだけでなくSUVやワゴン、さらにはクロスオーバーなど、今流行のラインアップで仕掛けてきた。クラウンといえばセダン! という方程式が当たり前だったが、4種類で勝負を仕掛けてきたのだ。
やはりセダンにとって冬の時代が続くのか……と思いきやカムリやマツダ3セダンなどはワカモノオーナーが相当数存在するという。もしやこのままセダン復権はあり得るのか!? その可能性はいかに。というか、今何が起こっているのか!?
新型クラウンが起爆剤に!? じつはカムリやマツダ3セダンがワカモノに人気! セダン復権はある!?
文/山本晋也、写真/TOYOTA、MAZDA、Tesla
■セダン=おっさんはもう古い!? 20代から熱視線!!
16代目トヨタ クラウン。写真のセダンタイプは2023年の発売予定。2022年秋に先陣を切って発売されるのはクロスオーバータイプとなる
クルマのオーソドックスなカタチといえば4ドアセダン、そんな認識を持っている自動車ファンは少なくないだろう。だからこそ、トヨタ クラウンが16代目へのフルモデルチェンジを機に、SUVテイストの「クロスオーバー」を先兵に選んだことはクラウンという伝統あるモデルの変革を象徴するように感じる。
そこにはセダンがオーソドックスでクルマの本質であると認識しているのは高齢層であり、SUVテイストを取り込むことで若返りを図る……そんな商品企画のストーリーを考えてしまいがちだ。
たしかにSUVというのは現在の自動車市場において世界的なトレンドであり、新型クラウンがグローバルに売っていこうというのであれば、ヘリテージを感じさせるセダンにSUVテイストを取り込むという商品企画に異論はない(クラウン・クロスオーバーが海外で売られるという保証はないが)。
しかしSUVテイストが若返りにつながるもので、セダンは免許返納目前の高齢ドライバーだけが好むオワコンのスタイルだと思うのは間違いだ。じつはセダンというは、20代のヤングドライバーにも評価されているという事実がある。
たとえば、セダンとファストバックという2つのスタイルを用意するマツダMAZDA3の年代別シェアは次のようになっている。
マツダ MAZDA3 年代別シェア(対象期間:2022年1月~6月)
いかがだろうか、MAZDA3についてはボディ形状にかかわらず20代のユーザー比率が高いことが特徴だが、とくにセダンは他世代に比べて20代のヤングドライバーに支持されていることが明確だ。どのくらい多いのかといえば30代の倍近いのだから、世代間による明確な趣味の違いがあるといえるだろう。
■今のSUVブームは50代以上がけん引! 世代によってダサさく感じるクルマが全然違う
20代ではファストバックを凌ぐシェアを持つマツダ MAZDA3セダン。30代でも僅差だ
ここからはエビデンスもなく、想像の域を出ない話になるが、セダンはオワコンなのではなく、むしろヤングドライバーにとっては、イケているスタイルになっているのではないだろうか。そこには世代による反発や反抗といった要素もあるだろう。
現在50代の筆者が若いころ、オヤジ世代のドライバーはセダンを選ぶのが当たり前だった。オトナに反発するというのは、若者の特性ともいえるが、親世代がセダンを選ぶからこそ、若者はハッチバックを好むという傾向もあったという印象がある。
バブル期に三菱自動車が伸びたのは、ディアマンテという3ナンバーセダンがオヤジ世代にウケ、そしてパジェロというファッショナブルなクロカン4WDが若者マインドの世代にウケたという風に、異なるユーザー層に刺さるヒットを連発したというのもある。だが、まさしくパジェロによってSUVのはしりといったクルマの楽しみ方をした世代(いまの50代~60代)が、昨今のSUVブームを支えているともいえる。
また、いまの60代といえばステーションワゴン・ブームを支えた世代でもあるが、若いころにハッチバックを好む人が多かった世代であることが、ステーションワゴンのスタイルと親和性がよかったのだとも考えられる。ステーションワゴン+クロカン4WDという好みが合体したことで、この世代がSUVを支持していると考えると納得感がある。
■親世代とは別のモノを好む!? 若年層はセダンが超新鮮!!
相当数の若い世代のオーナーが存在するといわれるトヨタ カムリ。セダン復権の時がもうすぐそこまで来ている?
50代~60代といえば、いまの20代の親世代でもある。いまの若者たちは「親が好きなカタチだから選ばない」と、反抗心を持つほど単純ではないと思うが、それでもSUVは親世代が選ぶようなカタチのクルマであって、そこに「じじ臭い、ダサい」いうイメージを持っている可能性は高い。
ちなみに、日本市場ではミニバンや軽スーパーハイトなど後席スライドドアのクルマも人気が高いが、自動車メーカーのマーケティング担当者などに聞くと、いまの30代~50代において「ミニバン世代」というべき、スライドドアこそがクルマの正しいカタチとして認識している一群が存在しているのだという。
オーソドックスなクルマのスタイルというのは、育ってきた背景、世代によって意外なほど異なっているようなのだ。その意味では、20代からすると、SUVを好む親世代やスライドドアを当たり前とする先輩世代とは違う価値観を発揮できるカタチとして、セダンが認識されているのかもしれない。リバイバル的な発想からすると、祖父祖母世代が好んでいたようなフォルムは逆に新鮮というのもあるだろう。
■テスラの最廉価モデルもセダン! 新型クラウンセダンはもしやワカモノ向けか?
MAZDA3以外の例をあげておくと、EV専業ブランドであるテスラはエントリーモデルとして「モデル3」を用意している。ご存知のようにモデル3のボディ形状はセダンである。テスラを選ぶような、若いユーザー層に向けた商品企画としてセダンが選ばれ、実際に売れているということは、グローバルにいってもセダンが一周回って“ワカモノ”ドライバーに訴求するカタチになっているといえるのかもしれない。
そう考えると、冒頭で触れた新型クラウンのバリエーションの中にセダンが用意されているのは従来からの日本の高齢ユーザーを狙ったものではなく、世界のワカモノに訴求するためなのかもしれない。
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アオラーのドキューン家族はアルファード
ドンキ族はノア
以上
クラウン?知らない子ですね。