日産の象徴ともいえるスポーツセダン「スカイライン」。北米INFINITIのQ50(スカイライン)はすでにラインアップから姿を消しており、国内モデルも生産終了の足音が近づいていると思われる。次期型の登場は2027年と噂されているが、日産の経営状況やスカイライン自身の販売低迷を考えれば、その進化は単なるモデルチェンジの域ではもはや成立しないだろう。はたしてスカイラインブランドはどこへ向かうのか。その未来を予測しよう。
文:吉川賢一/写真:NISSAN、INFINITI、エムスリープロダクション
【画像ギャラリー】次期型ではGT-Rとの衝撃合流もありうる!! 2027年に次期型登場が期待される日産「スカイライン」(12枚)
「売れない名車」スカイライン それでも終焉はないはず
日産「スカイライン」は、1957年に当時の富士精密工業(のちのプリンス自動車)が生産を開始した、日本を代表する名車だ。プリンス自動車が日産自動車と合併(1966年)したあとも生産が続けられ、とくに「ケンメリ(4代目、1972年-1977年)」~「ジャパン(5代目、1977年-1981年)」期には、社会現象といえるほど人気を博した。
しかしながら、現行モデルの近年の販売台数は2023年が1,926台、2024年は2,143台、2025年は年間1,130台と低迷に歯止めがかからない状況。時代背景が違うため単純に数値で比較することはできないが、ジャパン(5代目)の発売当時の販売目標台数(約1万6800台/月)の足元にも及ばない水準だ。
SUVやミニバンが主流となった現在、後輪駆動をベースの高級セダンは選ばれにくい存在。現行スカイラインも2018年の大幅改良で「400R」を投入するなど意地を見せたが、その後の商品力強化は十分とはいえず、市場の変化に取り残された感は否めない。
それでも日産はスカイラインを手放さないはずだ。日産にとってスカイラインは70年近くの歴史を紡いできたこの名は、日産のプライドそのものであり、ブランドの生命線だからだ。実際日産は、2025年5月に発表した経営再建計画「Re:Nissan」において、「新型スカイライン」の開発を明示している。開発期間を短縮する方針も掲げられていることを考慮すれば、次期型の開発はすでに具体的なフェーズに入っていると思われる。
次期型では「レベル3」自動運転搭載も
次期スカイラインの姿を予測するうえで欠かせないのが、スカイラインが担う「誰よりも先を駆ける、技術の日産の象徴」としての役割だ。現行V37スカイラインも、世界初のステアバイワイヤシステム「DAS(ダイレクトアダプティプステアリング)」や高度運転支援技術「プロパイロット2.0」をいち早く搭載し、常に時代の先を駆けてきた。次期型に求められるのも「売れるセダン」である以上に、日産の最新技術をもっとも早く体現する「走るショーケース」としての役割だろう。
その最大の目玉として搭載が期待されるのが、プロパイロット2.0を超える「次世代運転支援技術」だ。日産は2027年以降の市販化を目指し、AIとLiDARを組み合わせた次世代システムを開発中だとしている。人間に近い判断能力を持たせることを狙いとしたシステムで、高速道路にとどまらず、市街地の複雑な交通環境にも対応する設計となっているそう。自動運転「レベル3」領域に踏み込む機能とみられ、従来の運転支援から一段進んだ存在になる可能性が高い。まさに「常に先を駆ける」スカイラインの新モデルにふさわしい装備だ。
パワートレインに関しては、新世代e-POWERへの移行が有力だろう。発電効率の向上とモーター駆動の質感改善によって、「電動化しながらもスカイラインらしい走りの質」を徹底して磨き上げてくるはずだ。また、eAxleと多段ギアを組み合わせ、高速巡航時の効率と加速性能を両立させる新機構の採用にも期待がかかる。
「最先端技術の集約」の先にはGT-Rとの統合も
ただ、往年のスカイラインファンのなかには、このように電動化・自動化されたモデルを「スカイライン」とよぶことに抵抗を感じる人も少なくないだろう。FRレイアウト、大排気量エンジン、スポーティセダンという成り立ち、さらには象徴的なデザイン。これらが変化するたびに、スカイラインは常に賛否を伴ってきた。次期型ではボディ形状もセダンに固執しない可能性があり、「運転の楽しさ」という価値すら再定義される局面にある。
しかしながら、スカイラインが誰よりも速く、誰よりも先を駆ける「技術の日産の象徴」であるならば、最先端技術を詰め込んだその姿こそが、正しきスカイラインの血統といえるのではないか。販売台数のみを追うモデルではなくなった今だからこそ、より純粋な形で「技術の日産」を体現できるはずだ。
そして、この「最先端技術の集約」という方向性の先に浮かび上がってくるのがGT-Rとの再統合だ。R35で別ブランドとなった両者だが、電動化時代においては技術基盤を共有し、スポーツセダンの「スカイライン」、スポーツクーペの「GT-R」として、再び同じ血統から枝分かれするシナリオも現実味を帯びてくる。もしそうなれば、かつてファンを熱狂させた「スカイラインGT-R」の魂を、現代的な解釈で復活させるという、もっとも劇的なストーリーが完成することになる。
もちろん、現時点でこのシナリオを断定する情報はないが、電動化と電子制御技術が全盛の現代においては、両者を切り離す理由もまた薄れている。おそらく来年2027年に予定されているジャパンモビリティショーで何らかの「答え」が示されるのではないだろうか。
形や心臓部が変わろうとも、誰よりも速く、誰よりも先を駆けるという志は変わらないはず。2027年、我々の前に現れるのは、最新の知能と電力を手に入れ、再び世界を震撼させる「史上最強のスカイライン」であると信じたい。名門の未来に、大いに期待しようではないか。
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スカイラインの何が分かるの?