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歴史に埋もれた米国車 40選(前編) 革新的で高性能、でも忘れ去られたクルマ

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歴史に埋もれた米国車 40選(前編) 革新的で高性能、でも忘れ去られたクルマ

40台の隠れた名車たち

新しいクルマが毎日のように登場しているように感じられる。世界中にこれほど多くのクルマがあるのだから、忘れ去られ、時の流れに消えていくクルマがあるのも不思議ではない。その中には忘れられても仕方ないものもあるが、もっと評価されるべきものもある。

【画像】50年代の「最新」アメリカンスポーツカー【カイザー・ダーリンとシボレー・コルベットを詳しく見る】 全33枚

この記事では、人々の記憶からほぼ消え去ってしまった米国車を紹介する。前衛的なスタウト・スカラブから高性能なフォード・コントゥアSVTまで、40台の隠れた名車を再発見しよう。

クライスラー・エアフロー

クライスラー・エアフローは自動車デザインの草分け的な存在だ。空気抵抗を減らすために空力学を採用した米国初のフルサイズ量産車であり、その結果として滑らかな流線型ボディが生まれた。

残念ながら、このデザインは好評を得られなかった。エアフローは1934年から1937年までのわずかな期間しか生産されず、販売不振により生産中止となった。今日でもあまり知られていないモデルだが、歴史的に重要なパイオニアである。

スタウト・スカラブ

1936年に登場したスカラブについては、世界初の量産型ミニバンとする意見もある。可動式シートと折りたたみテーブルを備えたその車内レイアウトは、現代のミニバンに典型的なレイアウトを予見するものだった。

しかし、高い価格設定と型破りなデザインは、当時の一般の自動車購入者層には手の届かないものだった。生産されたのは市販仕様9台とコンセプトカー1台のみで、人々からは忘れ去られてしまった。

ダッジ・ウェイファーラー

シボレー・コルベットの登場より数年前に、ダッジは第二次大戦後初の国産2ドア・ロードスターを投入した。このウェイファーラーの生産期間は1949年から1952年までのわずか数年だった。

ウェイファーラーは基本装備のみの簡素なモデルで、一部のロードスター仕様にはサイドウィンドウすら装備されていなかった。こうした要因と前述のコルベットの登場が相まって、ウェイファーラーの歴史的意義は大きく影を潜めることとなった。

スチュードベーカー・スピードスター

スピードスターは高性能な2ドア・パーソナルラグジュアリーカーであり、プレジデントの派生モデルであった。4.2L V8エンジンは最高出力185psを発生する。パワーステアリングやダイヤモンドキルト加工のレザーシートなど、先進装備をフルに備え、スチュードベーカーのラインナップの中でも際立っていた。

スピードスターは通称「レモン/ライム」と呼ばれる黄と緑のツートーン塗装がよく知られている。生産台数はわずか2215台で、現在では極めて希少である。1955年モデルイヤーのみの生産であり、米国自動車史上最も生産期間が短いモデルの1つとなっている。

ナッシュ・メトロポリタン

1950年代のクルマの中で最も可愛らしいと言えるナッシュ・メトロポリタンは、おもちゃのようなコンパクトサイズとツートーンカラーで有名だった。ダッジ・ラ・ファムと並んで、女性向けに特化した最初期のモデルの1つである。

残念ながらメトロポリタンは、当時の大型で人気のある車種に文字通り影を潜める結果となった。それでも、手頃な価格と低燃費を実現した小型車カテゴリーの先駆者であることに変わりはない。

スチュードベーカー・ラーク

米国車という大まかな文脈において、スチュードベーカー・ラークはコンパクトカーセグメントにおける初期の革新的な1台として際立っている。1959年から1966年まで生産されたラークは、このサイズのモデルとしては初めてV8エンジンを搭載し、重量が軽かったため燃費も良かった。

手頃な価格、高い実用性、低燃費にもかかわらず、フォード・ファルコン、プリムス・ヴァリアント、シボレー・コルヴェアといったビッグスリー(米三大自動車メーカー)のコンパクトカーほどの人気は得られなかった。スチュードベーカーの多くのモデルと同様、1966年に同社が倒産するとラークも忘れ去られてしまった。

カイザー・ダーリン

この1950年代の2シーターは、完全なファイバーグラス製ボディを採用した最初期の米国車の1つだ。しかし、1年早く発売されたシボレー・コルベットの影響により、カイザー・ダーリンの存在感は大きく薄れてしまった。

ダーリンは美しいクルマで、長く低いシルエットに、独特のグリルデザインやフロントフェンダー内に収納されるスライドドアといった風変わりな特徴を持つ。残念ながら、生産されたのは1954年モデルのみで合計435台にとどまり、カイザーは生産中止を余儀なくされた。

スチュードベーカー・アヴァンティ

アヴァンティはボンネビル・ソルトフラッツで29もの世界速度記録を樹立した高性能車だが、それでもスチュードベーカーの倒産を防ぐには不十分だった。生産台数は5000台未満で、極めて希少である。

販売面においてはスチュードベーカー史上最大の失敗作の1つとなっているが、1962年としては異例の軽量ファイバーグラスボディと空力デザインで時代を先取りしていた。これらに加え、ボンネット下に収められたスーパーチャージャー付きV8エンジンが、驚異的な速さを生み出した。

ビュイック・ワイルドキャット

ワイルドキャットはスカイラーク、GNX、リビエラといった兄弟車ほどの知名度はない。しかし、401立方インチ(6570cc)のネイルヘッドV8エンジンなど、強力なパワーユニットを搭載し優れた性能を発揮した。マッスルカー全盛期の1963年から1970年まで生産され、当時としては珍しいコンバーチブル仕様も用意されていた。

残念ながら、それでもワイルドキャットは同クラスの人気車種に埋もれてしまい、人々の記憶から薄れてしまった。

写真:1969年式ワイルドキャット

スチュードベーカー・ワゴネア

1963年に登場したワゴネアはスチュードベーカーのステーションワゴンで、大きな特徴があった。ルーフ後部がスライド式になっており、前方にスライドさせると開放的な荷室空間が生まれる仕組みだ。

革新的なデザインだが、残念ながら製造品質上の問題に直面した。一部の顧客からスライド式ルーフの雨漏り問題が報告されたのだ。スチュードベーカーは即座に改良を施したが、ブランドイメージの低下と経営悪化という状況下では、すでに手遅れだった。

ランブラー/AMCマーリン

1965年から1967年まで生産されたAMCマーリンだが、当初はランブラーブランドで展開された。特徴的なファストバックのルーフライン、6人乗りの広々とした車内空間、強力なV8エンジンなど、急成長するパーソナルラグジュアリーカー分野で競争するために必要な要素をすべて備えていた。

しかし、残念ながら、マーリンはビッグスリーとの厳しい競争に直面し、短期間での生産終了となった。とはいえ、ランブラーのレガシーは完全に失われたわけではなく、2004年のクライスラー・クロスファイアのデザインに大きな影響を与えている。

マーキュリーS-55

マーキュリーS-55は、1962年から1963年、そして1966年から1967年にかけて生産された高性能のフルサイズ・マッスルカーである。ラグジュアリーかつパワフルな運転体験を追求し、最高出力405psの406立方インチ(6650cc)V8エンジンなどを用意。バケットシートや強化サスペンションも装備されていた。

フォード・ギャラクシー500XLやクライスラー300Hといった人気高級スポーツクーペと比べ、S-55の販売は非常に限られていた。しかしながら、S-55はマッスルカー全盛期における最高傑作の1つと言えるだろう。

ジープ・ジープスター・コマンド

ジープスター・コマンドは、従来のジープモデルよりも快適性とスタイリッシュさを重視して設計された。1966年から1973年にかけての生産期間中、コンバーチブル、ピックアップトラック、ワゴンといったボディタイプが展開された。1971年には性能向上版のハースト・ジープスター仕様も登場した。

ジープスター・コマンドは当時人気を博したが、後継車であるジープ・チェロキーに完全に影を潜める結果となった。

ポンティアック・エグゼクティブ

豪華な装備と強力なエンジンを備えながらも、1967年に発売されたエグゼクティブは中途半端な位置づけだった。ボンネビルほどの豪華さもなく、ファイヤーバードやGTO、テンペストほどの性能志向でもなかったため、あまり目立たない存在となった。

これは不当な評価だ。ポンティアック・エグゼクティブは当時、最もパワフルなフルサイズラグジュアリーカーの1つであり、7.5L V8エンジンは最高出力370psと最大トルク69kg-mという屈指の性能を誇る。

AMC AMX

車名のAMXは「アメリカン・モーターズ・エクスペリメンタル」の頭文字をとったもの。2シーターGTで、同時代のマッスルカーに比べて格段に低価格だった。だが性能は妥協していなかった。6.4L V8は315psを発生し、0-97km/h加速は6.6秒に達した。

しかし、AMXもまた、ビッグスリーのライバル車に影を落とされている。1968年から1970年までの短い生産期間も相まって、コレクターの間で再評価されるようになったのはごく最近のことだ。それでも、3万ドル(450万円)前後という取引額はまだ良心的と言える。

ハーストSC/ランブラー

このモデルはランブラー・アメリカンの特別仕様車で、1969年にAMCとハースト・パフォーマンスの共同開発により誕生した高性能マッスルカーだ。最高出力315psを発生する390立方インチ(6390cc)V8エンジンが搭載され、その他にもハーストによるチューニングが施されている。愛国的な赤・白・青のカラーリングも特徴的だ。

SC/ランブラーの0-97km/h加速は6.3秒で、当時の他のマッスルカーと互角の性能だったが、外観では勝てなかった。生産台数も少なく、ハーストSC/ランブラーは今日ではほとんど忘れ去られている。

プリムス・ダスター

1970年に発売されたダスターは、人気の高いバラクーダの影に隠れ、大きな商業的成功を収められなかった。それでも優れたマッスルカーであることに変わりはなく、340 V8のような強力なエンジンも用意されていた。AMCホーネットやフォード・マーベリックといった小型セミファストバック車への対抗馬であった。

ダスターの高性能バージョン『ツイスター』は当初、ロゴにアニメキャラクターのタズマニアン・デビルを採用する予定だった。しかし、権利を有するワーナー・ブラザーズとの交渉が決裂したため、このロゴは採用されなかった。

マーキュリー・サイクロン・スポイラーII

この限定生産モデルは、NASCARの象徴的な「エアロカー」時代に設計された。プリムス・スーパーバードやダッジ・チャージャー・デイトナほどの人気は得られなかったが、サイクロン・スポイラーII(1969年初頭登場)は独自の性能強化と空力改良により健闘した。

マーキュリーはホモロゲーション規定を満たすため503台を生産したが、一部の記録によると、実際にはその数に届いていなかったようだ。噂では、期限までに完成したのは351台のみだったため、駐車場でスポイラーIIの間に標準仕様のサイクロン152台を紛れ込ませたという。NASCARの検査官はまったく気づかなかったらしい。

フォード・マーベリック

マーベリックは1970年代のコンパクトカーで、マスタングとピントの中間に位置づけられていた。当初は非常に売れ行きが良く、1970年にはマスタングの販売台数を上回るほどだった。しかし、その「中間」的な立場ゆえに、生産は長続きしなかった。

また、フォードはマーベリックという名称をさまざまな市場で何度も流用しており、最近では2021年発表の小型ピックアップトラックでも使われている。これにより初代モデルの記憶はさらに薄れつつある。

写真:1976年式フォード・マーベリック 2ドア・セダン

(翻訳者注:この記事は「後編」に続きます。)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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みんなのコメント

1件
  • yam********
    馴染みがない上に画像もないのでおもしろくなかった。
    後半は必要ない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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