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速そうな外観だけど走ると残念!? 狼の皮を被ったヒツジ5選

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速そうな外観だけど走ると残念!? 狼の皮を被ったヒツジ5選

■外観はスピーディでも走らせると残念な「羊」車

 大人しいルックスでありながらハイパフォーマンスなクルマのことを「羊の皮を被った狼」と呼ぶことがあります。

モデルチェンジは失敗だった!? 新型にしたら販売が低迷したクルマ5選

 それはスポーツカー並の走行性能を発揮するセダンや、コンパクトカーをベースに高性能エンジンを搭載した「ホットハッチ」、大柄なボディにもかかわらず高い高速巡行性能を持つSUVなどです。

 その逆でスポーティなイメージが強い車種なのに、出力の低いエンジンが搭載された低グレードや、ほんとうに見た目だけスポーツカーのルックスを持つ「速そうに見えるけど、実際はそれほどでもないクルマ」も存在します。

 そこで、見た目と裏腹に残念な性能の「狼の皮を被った羊」5車種をピックアップして紹介します。

●三菱「GTO」

 バブル景気に日本が沸いていた1990年に、三菱は先進的な技術を盛り込んだフラッグシップスポーツカー「GTO」を発売しました。

 エンジンやシャシは「ディアマンテ」を部分的に流用しながらも、流行のリトラクタブルヘッドライトに、当時の国産乗用車としてはワイドなボディを絞り込んだ「コークボトルデザイン」の3ドアファストバッククーペとし、ひと目でスポーツカーとわかるルックスが魅力でした。

 国内仕様はすべて4WDで、トップグレードには最高出力280馬力、最大トルク43.5kgmを発揮する、「6G72型」3リッターV型6気筒DOHC24バルブツインターボエンジンを搭載し、大柄なボディを物ともせず、豪快に加速させる姿は迫力あるものでした。

 しかし、GTOには最高出力225馬力、最大トルク28.0kgmの自然吸気エンジン搭載車も用意されていました。

 当時の3リッター自然吸気エンジンとしては決して低い出力ではありませんでしたが、1600kgを超える車重に対してはアンダーパワーであることは間違いなく、スポーツカーのGTOながらマイルドな性格のクルーザーになっていました。

●トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」

 1972年発売のトヨタのスポーティカーとして知られる初代「カローラレビン/スプリンタートレノ」は、「セリカ」に搭載されていた高性能な2T-G型DOHCエンジンをカローラ/スプリンターのクーペボディに移植(一部OHVエンジン搭載グレードもあり)して、セリカより低価格で発売されると瞬く間に若者に大人気となりました。

 その後のカローラ/スプリンターがモデルチェンジを経ても、レビン/トレノの名を冠したDOHCエンジン搭載のスポーティグレードを継続していました。

 しかし、5代目カローラ/スプリンターへのモデルチェンジ時に4ドアとワゴンがFF化されます。

 一方、レビン/トレノは新開発の4AG-EU型1.6リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載し、従来型のシャシを流用したFR駆動のままとされました。

 合わせて廉価版である1.5リッターSOHCの実用型エンジン搭載車にもカローラレビン/スプリンタートレノの名称が与えられました。

 130馬力の高回転型DOHCエンジン搭載車は「ハチロク」の愛称で今でも人気の「AE86型」ですが、83馬力でスポーティさに欠ける1.5リッターエンジン搭載車は「AE85型」という型式名です。

 マイナーチェンジ後の「SR」では、オプション設定の「スポーツパッケージ」でツートーンカラーも選択できたことから「カッコだけハチロク」などと揶揄されてしまいました。

 ちなみに、AE85型は「ハチゴー」の愛称で呼ばれ、中古車価格も安価だったことからチューニングカーのベースとして、一定の人気はありました。

●日産「スカイライン280D GT」

 2代目プリンス「スカイライン」は小型ファミリーセダンとして開発されたクルマでした。1965年にスカイラインをベースに日本グランプリGTクラスで勝つため、フロントノーズを延長して「グロリア スーパー6」用の2リッター直列6気筒エンジンを搭載した「スカイライン2000GT」を発売。

 元祖「羊の皮を被った狼」とも呼ばれ、以降スカイラインの6気筒エンジン搭載グレードは「GT」の名が付けられるようになりました。

 その後スポーティなイメージが強くなっていったスカイラインですが、5代目にはディーゼルエンジンを搭載したモデルが存在していました。

 1980年に発売された「スカイライン280D GT」は、2.8リッター直列6気筒OHCディーゼルエンジンLD28型を搭載し、最高出力91馬力/最大トルク17.3kgmを発揮。

 当時の国産ディーゼル乗用車としては高性能でしたが、直前に登場している2リッター直列6気筒ガソリンターボエンジンの陰に隠れて、燃費以外の部分で評価されることは少なかったです。

 次世代の6代目スカイラインでもディーゼルエンジン搭載車がラインナップされましたが、スカイラインの購入を検討するドライバーがディーゼルエンジンを選ぶことは稀で、いまとなっては大変希少なクルマとなっています。

■海外にもあった「羊」なモデル

●ポルシェ「912」

 第二次世界大戦後にポルシェはフォルクスワーゲンのエンジンをチューニングして搭載した小型スポーツカー、ポルシェ「356」を開発。

 その後継として1964年に発売された「911」は、新たに開発された2リッター空冷水平対向6気筒SOHCエンジンをリアに搭載したRR駆動の2+2コンパクトクーペで、その性能の高さからポルシェの輝かしい歴史を刻んでいくことになります。

 911は356に比べて大幅に高い価格となりましたが、356でせっかく獲得したオーナーたちを失わないために、911のボディに最終型356に搭載していた1.6リッター水平対向4気筒OHVエンジンを搭載する廉価版である「912」を追加しました。

 912に搭載されていたエンジンは最高出力90馬力で、動力性能は排気量で勝る911の130馬力に到底及ばないものでしたが、エンジンが4気筒と軽量だったため、911よりも前後重量バランスは良かったとの評価もあります。

 1967年にはオープンボディの「912タルガ」もバリエーションに加わりましたが、その役目を終え1969年には生産を終了します。

 ポルシェの廉価モデルは「914」や「924」に引き継がれ、以降の911は高級スポーツカー路線のモデルとして限定され、そのブランディングは成功を収めました。

●ポンティアック「フィエロ」

 かつては「ファイヤーバード・トランザム」や「グランダム」で日本市場でも人気だったポンティアックは、GMのブランドの中でもスポーティなキャラクターと低価格で、若年購買層をターゲットとしていました。

 そこで、1983年に米国では初のミッドシップレイアウトの量産車で、ボディ外板をすべて樹脂製にした「フィエロ」を投入しました。

 リトラクタブルヘッドライトを採用し、ひと目でスポーツカーとわかる外観のデザインと低価格で人気車となりました。

 しかし、ブレーキやサスペンションなどを、同年代のシボレー製大衆車から流用したGMらしい手法がとられたことから、ミッドシップレイアウトでありながらスポーティさには欠けるもので、搭載されたエンジンも最高出力93馬力の2.5リッター直列4気筒と136馬力の2.8リッターV型6気筒と、決して高性能とはいえませんでした。

 ところが、1100kg程度の車重だったためにミッドシップスポーツカーの感覚を味わうにはちょうど良く、5年間という短い期間で約37万台も売れたことで、中古車も豊富に流通していました。

 安価な中古車が多数販売されていたことと、フィエロのフレーム構造と樹脂製のボディは改造しやすかったため、フェラーリやランボルギーニなどスーパーカーのレプリカモデルのベース車としても人気がありました。

※ ※ ※

 見た目は速そうでもローパワーなエンジンを搭載したクルマは、決して鈍重なだけではありません。

 シャシ性能が優れているクルマの場合は、エンジンのパワーを使いきる走りができ、むしろドライビングプレジャーを高めることができます。

 実際、かつてイギリスのスポーツカーメーカーのロータスは、そうしたクルマ作りを行なっていた時代があります。

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