近年はセルフ式のガソリンスタンドが主流になり、オーナー自身で給油をする機会も多くなっています。
燃料選択時に目に止まる「ハイオク」と「レギュラー」。
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どちらも同じガソリンではあるものの、その違いについては曖昧なままでよく分からない人もいるのではないでしょうか。
給油する際、「ハイオク指定車にレギュラーを使用すると壊れてしまうのか?」、「ハイオクはなぜ割高なのか?」という疑問を持つ人もいるかもしれません。
これらの答えを知る前に、レギュラーとハイオクの違いについて明確にします。
双方の特性は簡潔に述べると「普通に燃える」「普通より燃えにくい」に分けられます。
少し専門的に述べますと、ハイオクはレギュラーに比べて「アンチノック性」が高くなります。
ハイオクは「高オクタン価ガソリン」と分類されます。つまり高(ハイ)オクタン価なガソリンを略してハイオクと呼ばれており、石油市場などではプレミアムガソリンとも表現されます。
オクタン価とは、ノッキングの起こりにくさを表すアンチノック性を示す値です。
この値が高くなるほどノッキングを起こしにくくなる「燃えにくいガソリン」となります。
ガソリンのJIS規格(JIS K2202-2012)においては、オクタン価が89以上を「2号ガソリン(レギュラー)」、オクタン価が96以上を「1号ガソリン(プレミアム)」としており、高オクタン価のガソリンがハイオクと定めています。
国内で販売されているガソリンの多くは、オクタン価がレギュラーガソリンの場合約90程度、ハイオクガソリンの場合で約98から100です。
レギュラーよりもハイオクが燃えにくいガソリンといわれるのは、オクタン価が高いからとなります。
では、なぜ燃えにくいガソリンを使用するのでしょうか。
エンジンはガソリンを霧状(混合気)にし、圧縮と燃焼を繰り返してエネルギーを発生させます。
そのため混合気をより高圧縮で燃焼させると、エネルギー効率が良くなり、大きなトルクを得やすくなります。
圧縮比が高くなるにつれ、ピストンが上昇中に燃焼室端部の未燃ガスが自己着火する現象、つまりノッキングが起こるリスクが高まります。ノッキングが発生すると十分な出力が得られず、エンジン本体にもダメージが加わるリスクも発生します。
高圧縮化されたエンジンには、ノッキングを抑制するためのアンチノック性が高い燃えにくいハイオクが必要となるのです。
こうしたことから高性能、高効率、高出力が求められるスポーツ車や高級車でハイオク指定となるケースが多くなります。
※ ※ ※
ハイオクはオクタン価を上げるためにレギュラーよりも添加剤を多く使用しています。
添加剤によって燃料中により多くの物質が含有することになり、燃焼時にカーボンスラッジ(オイルなどの燃えカス)が発生しやすくなるため、それらを浄化するために洗浄剤も添加されています。
レギュラーガソリンよりも製造工程が増え手間が掛かることからハイオクはレギュラーより割高になっています。
■「欧州のレギュラーは日本でのハイオク」なのはなぜ? ハイオク車にレギュラー入れるとどうなる?
なお、欧州ではオクタン価95のガソリンを販売することが欧州燃料指令(DIRECTIVE 2009/30/EC)で義務となっています。
「欧州のレギュラーは日本でのハイオク」と耳にすることもありますが、理由はここにあり、欧州現地ではオクタン価95のガソリンが主流です。
欧州車は現地レギュラーガソリン(オクタン価95)に合わせた仕様となっていますので、日本での運用ですとハイオク指定となるのはそのためです。
では実際にハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れるとどうなるか。
ですが、結論は「普通に走れるものの緊急時以外は控えるほうが良い」です。
現代の国産車であれば、もしノッキングが起こりそうになるとセンサーが反応し、ECU(エンジンを制御するコンピュータ)を介して出力制御をおこいます。
自動的に燃料噴射や点火時期を遅らせて、出力を抑え込み熱の発生を緩和させます。
発熱量が少なくなればレギュラーでもノッキングの発生を防げるためです。
普通に走ることもできますし、すぐにエンジンが壊れることもありません。
しかし、本来のエンジン性能が発揮できなくなるのに加え、燃焼効率も低下することから燃費も悪くなる傾向です。
ハイオクが手に入らず、やむなくレギュラーを入れるのはまだしも、ガソリン代を安く済またいなどの理由でレギュラーを入れるのは控えるべきでしょう。
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