スーパーGT×DTM特別交流戦の併催イベントとなるGT300クラスを主流とした『auto sport web Sprint Cup』の決勝レース1が11月23日(土)に開催され、天候に翻弄される難しいコンディションの富士スピードウェイでLMcorsa RC F GT3、吉本大樹/宮田莉朋組がポールポジションスタートから一時ポジションを落としながらも、50分のスプリントレースファイナルラップで首位に返り咲き、初代ウイナーに輝いた。
GT300クラス参戦組や、スーパー耐久、鈴鹿10時間耐久レースエントリー車両などバラエティ豊かな12台のマシンが集結したauto sport web Sprint Cupは、土曜午前にA、Bドライバーそれぞれ10分間の予選が行われ、その合算タイムによりレース1ポールポジションをSYNTIUM LMcorsa RC F GT3が射止めた。
【順位結果】auto sport web Sprint Cup 決勝レース1
8時40分開始の予選時点でも、ウエット宣言下ながらスリックタイヤを装着するギャンブルに出たチームも見受けられ、前日までのフルウエット状況とは異なる判断の難しいコンディションをどう戦うか。11時50分開始の決勝でも路面状況の読みが求められる状況となった。
今回のauto sport web Sprint Cupでは決勝も独自レースフォーマットが採用され、1回以上のドライバー交代が義務付けられた。ピットウインドウはレース開始から20分を過ぎたところから30分までの間とされ、その際、ピットロード入り口から出口までの通過時間は70秒以上、ジャッキアップした際は+30秒と定められた。
またレース中は給油禁止となるため、レース展開を読んだピットタイミングと、JAF-GTマザーシャシーとGT3、それぞれのマシン個性に伴った展開が予想された。
気温、路面温度ともに予選時から1度上昇の14度、15度と変化はわずかながら、小雨が止んだことでレコードライン上は一部ドライの状況も見受けられるなか、12台のマシンはフォーメーションラップへ。
そのままローリングで1コーナーへと向かった車列は、これがラストランとなる2番手スタートのHOPPY 86 MCがLMcorsa RC F GT3に並びかけると、そのさらにイン側から3番グリッドの埼玉トヨペットGB マークX MC、脇阪薫一が超レイトブレーキングで飛び込んでくる。
しかしこれは止まりきれず、埼玉トヨペットGB マークXはアウト側へオーバーシュートするも、他車と絡むことなく3番手でコースへと復帰。その後方では、Planex スマカメ マクラーレン720Sの久保田克昭がハーフスピンを喫してしまう。
さらに後続では11番手スタートだったLMcorsa Ferrari 488 GT3の菅波冬悟が、前を行くGT-R勢をダンロップコーナーでまとめてオーバーテイクすると、その前方の同じセクター3では2番手争いも激化し、最終コーナーを前に脇阪の埼玉トヨペットGB マークXがHOPPY 86を捉えて2番手へと浮上するなど、動きのあるオープニングラップとなる。
一度はポジションを奪われたHOPPY 86の佐藤公哉だったが、ホームストレートでスリップストリームを活かしてくらい付き、2周目の1コーナーで前へ。その後、コカ・コーラ・コーナー、100Rとサイド・バイ・サイドを演じるも、脇阪がこれを制してふたたび2番手を確保する。
5周目を過ぎた頃から路面コンディションがさらに好転してくると、装着タイヤのギャンブルに出ていたマシンがみるみるペースを上げてくる。
4番手スタートながらスリックタイヤをチョイスしていた植毛GO&FUN GT-Rの田中勝輝が、一時は大きくポジションを落としながらも7周目にはグリッド位置を回復すると、続く8周目へのホームストレートでは3番手のHOPPY 86を軽々と抜き去っていく。
そのまま100Rで2番手の埼玉トヨペットGB マークXをアウト側から捉えると、首位を行くSYNTIUM RC F GT3も仕留めて、早々に首位浮上を果たす。
後方ではそのSYNTIUM RC F GT3、埼玉トヨペットGB マークXとGT300レギュラー勢2台の接近戦が続き、10周目のヘアピンではインを差した埼玉トヨペットGB マークXとSYNTIUM RC F GT3が軽く接触してしまう。
この接触の影響か、それとも他のタイミングでコース上のデブリを拾ったか、埼玉トヨペットGB マークXのフロント左側カナードにはビニール袋のようなものが張り付いてしまった。
首位を行くスリックタイヤの植毛GT-Rと、ウエットを履く後続とのラップタイム差は7~8秒。一刻も早くスリックへとチェンジしたい2番手以下のマシンは、スタート開始時刻から20分経過の12時13分11秒を図って、すぐさまピットロードへ。
入り口通過時点のタイミングから、30号車のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTからピットへ飛び込むと、翌ラップにはRUNUP RIVAUX GT-Rを除く全車がピットレーンへ。しかしここで判断が分かれ、31号車のプリウスやマクラーレン720S、LMcorsa Ferrari 488などは30秒追加を嫌ってか、タイヤ交換なしでコースへと復帰していく。
続く14周目にRUNUP GT-Rがピットへと向かい、青木孝行から田中篤へと交代して全車が義務のルーティンを終えると、首位の植毛GO&FUN GT-R、2番手SYNTIUM RC Fは不動も、3番手は織戸学の30号車プリウスへと入れ替わり、このタイミングでふたたびコース上には霧雨が舞う状況に。
スリック勢とレインタイヤ勢のレースペースが入り乱れる中、BH AUCTION CORVETTE GT3に乗る笹原右京が、14周目からファステストタイムを連発してギャップを詰めてくると、17周目にHOPPY 86をヘアピンでオーバーテイクし6番手まで浮上してくる。
19周目には最終コーナーを立ち上がった小高一斗のマクラーレンから白煙が上がり、左リヤサスペンションのトラブルか、コースサイドにマシンを止めることに。
首位を行く植毛GT-Rの飯田太陽は1分42秒台とわずかにペースダウンし、タイヤ無交換勢はライフのマネジメントも考慮する必要があるなかで、残り10分を切って2番手SYNTIUM RC F GT3の宮田がペースを上げ、一時は15秒ほどあったギャップを大きく削り取っていく。
23周目から1分39秒台でファステストを連発した宮田は、残り5分を切ってギャップを4.903秒まで縮めると、残り3分となった27周目で1.987秒差とすぐ背後へ。その周のセクター3でテール・トゥ・ノーズになると、実質ファイナルラップとなった28周目、2台は横並びでホームストレートを疾走していった。
1コーナーのTGRコーナーに向けて、植毛GT-Rがアウト側、SYNTIUM RC F GT3がイン側の状態で向かっていくと、ここで宮田がついに首位を奪還する。
同じく後方の3番手争いも30号車プリウスと埼玉トヨペットGB マークXがサイド・バイ・サイドで1コーナーへ向かうと、先程の首位争いを再現するかのようなバトルでインをついた埼玉トヨペットGB マークXの吉田が30号車プリウスの織戸を攻略していった。
ファイナルラップの1コーナーでトップの座を奪い返したSYNTIUM RC F GT3はそのまま逃げ切って勝利。2位に植毛GT-R、3位に埼玉トヨペットGB マークXが続く形となった。
暫定表彰式のあとには、24日(日)に行われるレース2のグリッドを決める抽選も行われ、優勝した吉本/宮田がくじを引いた結果、グリッドはレース1結果のリバースグリッドとなることが決定。2戦連続のポールとはならなかった吉本が苦笑しながら頭を抱える場面も見られた。
この結果、レース2のグリッドはレース1トップ6がリバースされることとなり、6位でチェッカーを受けたBH AUCTION CORVETTE GT3がポールポジション、5位チェッカーのLMcorsa Ferrari 488 GT3が2番手という形でスタートを迎える。
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