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「絶対に追いつこう!」意気込むサインツを襲った後輪の出火。早々に姿を消したウイリアムズ【F1第11戦無線レビュー(1)】

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「絶対に追いつこう!」意気込むサインツを襲った後輪の出火。早々に姿を消したウイリアムズ【F1第11戦無線レビュー(1)】

 2025年F1第11戦オーストリアGP。フォーメーションラップが始まってもカルロス・サインツ(ウイリアムズ)は動き出すことができず、ようやく走り出したものの、ピットレーンに戻るとリヤブレーキから出火してしまった。そしてスタート直後には、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が接触の末にレースを終えるなど、レースはスタート前から波乱の展開だった。オーストリアGP前半を無線とともに振り返る。

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「ターン4のことは申し訳ない」ワン・ツーフィニッシュ達成後も悔しさを滲ませたピアストリ【F1第11戦無線レビュー(2)】

 第11戦オーストリアGP決勝レースは、スタート前から波乱の展開となった。カルロス・サインツ(ウイリアムズ)が19番グリッド上で立ち往生してしまったのだ。

サインツ:1速でスタックしている。

サインツ:何かが、前に進ませてくれない。ガエタン・イエゴ:リヤブレーキの圧力をチェックしている。サインツ:完全にスタックしてしまっている。リセットしてみようか?イエゴ:グリーンデフォルトにしろ。それでスタートできるはずだ。

 これでサインツは走り出すことができたが、ピットレーンスタートとなった。

サインツ:よし、絶対に追いつこうぜ!

 しかしトラブルは完全には直っていなかった。

サインツ:まだクルマにブレーキがかかっている感じだ。

 ピットレーンの出口についたサインツ。しかし後輪から煙が出て、スタートできなかった。

イエゴ:ゲームオーバーだ、カルロス。マシンから飛び降りろ。

 1周短縮され、70周となったレースも、波乱は続いた。スタート直後のターン3で、コントロールを失ったアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に突っ込んで行ったのだ。これで2台は早々にリタイアとなった。

アントネッリ:申し訳ない。ピーター・ボニントン:大丈夫だ。アントネッリ:リヤをロックさせてしまった。ゴメン。

フェルスタッペン:ヒットされた。クレイジーだ。サイモン・レニー:クルマから降りる前にスイッチオフしてくれ。残念だ。

 いつもの相棒であるジャンピエロ・ランビアーゼが私用で欠席し、かつてマーク・ウエーバーの担当エンジニアなどを務めたサイモン・レニーが代役だった。しかし1周もしないうちに、彼の仕事は終わってしまった。

 ブレーキをロックさせてコントロール不能になったアントネッリは、フェルスタッペンに突っ込んだ後、リアム・ローソン(レーシングブルズ)にもぶつかっていた。

ローソン:アントネッリは何やっているんだ!? 何考えているんだ?

 幸いダメージはほとんどなく、ローソンはレースを続行した。

 ペースに優るマクラーレンが序盤からワン・ツー体制を形成。オスカー・ピアストリ(マクラーレン)に抜かれて3番手に後退したシャルル・ルクレール(フェラーリ)はルイス・ハミルトン(フェラーリ)に迫られ、必死に引き離そうとしていた。

 担当エンジニアのブライアン・ボッツィがエネルギーマネージメントの指示を与えようとすると、ルクレールはこう言って遮った。

ルクレール:僕がバトルしていない時は、何を言ってもいい。でもバトルしている時は、黙っていてくれ。

 2番手に上がったピアストリは、チームメイト攻略に向かっていた。

7周目トム・スタラード(→ピアストリ):コールは、君に任せた。

 好きにレースしていいということだ。ふたりは激しく、しかしあくまでクリアなバトルを繰り広げた。

スタラード(→ピアストリ):ギヤボックスの温度が上昇している。少し間隔を空けるんだ。ただしDRSは維持するように。

 後方ではガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)がピエール・ガスリー(アルピーヌ)を攻略しようとしていた。

11周目ヨルン・ベッカー(→ボルトレート):ガスリーはもうすぐDRSを失う。やっつけよう。

 ボルトレートは12周目にガスリーを抜き去り、6番手に順位を上げた。

 その数周後、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)をトラブルが襲った。

ジェームズ・アーウィン:クリティカルメッセージだ。リタイヤせざるを得ない。アルボン:ノ~!ジェームズ・ボウルズ代表:ピットインしてリタイアだ、アレックス。申し訳ない。

 今回もメルセデス製パワーユニット(PU)のトラブルだった。これでアルボンは3戦連続してPUトラブルでリタイア。ウイリアムズの2台は早々に姿を消した。

 路面温度が50度を超えるコンディションで、ドライバーたちはタイヤマネージメントにかなり手こずっていた。

16周目ボッツィ:すべてのコーナーでリフト&コーストをやってくれ。ルクレール:やっているよ、ブライアン、ずっとやっている。

18周目スタラード:オスカー、タイヤはどうだ?ピアストリ:リヤは厳しいね。フロントは大丈夫だ。スタラード:直近3ラップは、(1分)11秒7だった。ペースは悪くない。

ウィル・ジョゼフ:DRS圏外をキープするために、バッテリーを使おう。ノリス:もうやっているよ。どういう意味? バッテリーは、さっきからないんだけど。ジョゼフ:ストラット6を試してくれ。

 20周目。ピアストリはターン4でタイヤをロックさせ、フラットスポットを作ってしまう。

21周目スタラード:ランドはこの周でピットインする。クリアラップでのペースを見てみようピアストリ:でもフラットスポットを作っている。フラットスポットだ。スタラード:了解。でもとにかくペースを見よう。

スタラード:データ上は、フラットスポットは問題ない。ピアストリ:あまり楽しくないけどね。

 マクラーレン2台は異次元の速さで、この後もワン・ツーバトルを繰り広げ続けた。

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F1第11戦無線レビュー(2)に続く

[オートスポーツweb 2025年07月02日]

文:AUTOSPORT web
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