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さながらグループのワークス部門 3台のサンビーム・タイガー(2) もっと好成績を狙えた実力車

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さながらグループのワークス部門 3台のサンビーム・タイガー(2) もっと好成績を狙えた実力車

さながら体制はルーツ・グループのコンペ部門

ワークス・ラリーマシン3台で挑んだ、第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリー。イタリアのミッレ・ミリアへ15年挑んだ経験を持つベルギーのMBモーターズは、1台毎にサポート車両を用意し、担当メカニックを2名づつ手配した。

【画像】好成績を狙えた実力車 ワークス・タイガー 戦前のサンビーム ロータスとのコラボ作も 全121枚

3セットのスペアタイヤと、充実したスペアパーツも揃えられた。さながら、ルーツ・グループのワークス部門が復活したように。「メンテナンスが難しいクルマです。ドライブトレインは頑丈なのですが、電気系統が良くないんです」

「30度を超えると、オーバーヒート気味になります。エンジンルームが狭く、レンチも届きにくい。指の出番も多いんです」。とティム・モット氏が振り返る。1番トラブルが多かったのは、カルロ・ミル氏がドライブしたダークブルーのADU 311Bだったとか。

走行距離を測るトリップマスターが不調で、2日間は正確な距離を出せなかったという。また最終日の前には、スロットルケーブルの一部が破損。山中の危険なルートで止まってしまうが、通りかかったドライバーの協力で、ペナルティなしで復帰できたとか。

ワールドカップでのゴール級のうれしさ

ところが、雪深いスペシャルステージで勝利したのは、そのADU 311Bだった。「あのステージを1位でフィニッシュした時は、サッカーのワールドカップでゴールが決まった時のように、うれしかったですよ」。ミルが笑う。

ADU 311Bの最終的な順位は、総合112位。285台がエントリーし、完走は232台だから、まずまずの結果といえるだろう。ADU 312Bをドライブしたイェーガー親子は、24位でフィニッシュ。スピード超過でペナルティを受けつつ、前年より順位を上げた。

「モンテカルロ・ヒストリックは、他に類のない伝説的なステータスを持つラリー・イベントだと思います。競技性の高いカタチで再現されているのが素晴らしい」。セドリック・ドゥ・イェーガー氏が熱く語る。

マキシム・カストラン氏が駆ったAHP 294Bは、総合8位。コ・ドライバーは、知人でプロのフィリップ・デプランケ氏だった。「彼はいつも礼儀正しくて、今後も一緒にパートナーを組みたいですね」。通しで履いた、スタッドレスタイヤも効果的だったようだ。

もっと好成績を残せたタイガーのトリオ

MBモーターズを主宰するモットは、トリップマスターの不調やペナルティがなければ、サンビーム・タイガーのトリオはもっと好成績を残せたと悔しがる。主催者側が、住宅地での速度制限を徹底していたことは、理解できる対応だとしても。

「レストアで美しい状態でしたが、ADU 311Bは40年以上も実戦から遠ざかっていた車両でした。でもラリー仕様へ仕立てるのに、さほど時間は不要でした。実力は充分に高い。レッドの2台と、上位争いへ加わるのも遠い未来ではないでしょう」

3台のサンビームは、今後もラリーへ参戦する予定。4台目も加わる可能性があるという。MBモーターズの精鋭とともに、ワークス・タイガー・カルテットが大暴れしてくれる姿を目撃できるかもしれない。

ヘルト・ドゥ・イェーガー&セドリック・ドゥ・イェーガー親子

今回の3台構成のチームで、最も経験豊富といえたのがこの親子。2022年5月から、地元のラリーイベントへ挑んでいる。「V8エンジンの音は最高です。ヘッドホンは持ち込みましたが、使いませんでした」。父親のヘルト氏が笑う。

まだ20代前半の息子のセドリックは、コ・ドライバーを務めた。「ACエースでレースには出場しているんです。そこでは、父親より注目が集まりますよ。プレッシャーも楽しめるタイプなんです」

カルロ・ミル氏/スティーブン・ヴィンケ氏

「数日前の大雪が幸運でしたね。タイガーのポテンシャルを発揮できました。アンダーステア傾向なので、運転しやすいです」。と話すミルは、プジョー205で2000年にレースデビュー。996型のポルシェ911では、英国のGT選手権でクラス優勝も掴んでいる。

「16ステージのうち、不調が出なかったのは4ステージだけ。でも、雪や雨といった悪条件の2800kmにも関わらず、3台で完走できたことはとてもうれしい」。と続ける。「ドライバーが違いを出せたのは、雪が降った時だけでしたね」。ヴィンケも頷いた。

マキシム・カストラン氏/フィリップ・デプランケ氏

デプランケは、1997年からコ・ドライバーとして経験を積んできたプロ。モンテカルロ・ヒストリックにも10回挑んできた。「スピンしてしまいましたが、優勝グループまではあと少し。タイガーを本当に気に入りました。乗り心地が快適ですしね」

カストランも、タイガーの大ファンになったらしい。「ノーズは重いですが、パワフルで速い」。と話す彼は、ポルシェ906でスパ・フランコルシャンのイベントを走ったこともある。今回のモンテカルロでは、1ステージで最速タイムを叩き出した。

画像提供:モンテカルロ・ヒストリック/レネ(Monte-Carlo Historique/Rene)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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