我々の考えに狂いはなかった！！ メルセデスF1、アントネッリのマイアミGPスプリント予選最速で新人大抜擢の「勇気が報われた」

　メルセデスのトト・ウルフ代表は、F1マイアミGPスプリント予選でアンドレア・キミ・アントネッリが最速タイムを記録したことで、チームがリスクを冒して新人を起用したという勇気が報われたと語った。

　7度の世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンがフェラーリへ移籍したことで、メルセデスは後任として育成ドライバーの18歳アントネッリを起用した。

　キャリア初期から神童としてもてはやされてきたアントネッリだが、昨年のイタリアGPではフリー走行初出走でいきなりクラッシュを喫し、多くの人々がその実力、そしていきなりビッグチームからのF1昇格というメルセデスの選択に眉をひそめた。

　しかしアントネッリはデビューから5戦で38ポイントを稼ぐと、マイアミGPのスプリント予選でオスカー・ピアストリとランド・ノリスのマクラーレン勢を抑えて最速タイムをマーク。本戦用の予選を含めると、アントネッリはセバスチャン・ベッテルが2008年イタリアGPで記録した21歳2ヵ月11日という最年少ポール記録を塗り替えた。

「スポーツ界でも、彼はウイリアムズかそれに近いところで準備のシーズンを過ごすべきだという声が多かった」

　メルセデスのウルフ代表はServusTVにそう語った。

「しかし我々にとって明確だったのは、自分たちのチーム内で彼に準備の年を与えたいということだ。既に全てのサーキットを熟知した状態で、新しいレギュレーションが導入される来年に備えるためだ」

「たとえそれがミスを意味するモノであっても、我々はそのリスクを喜んで受け入れた。そして今、その勇気が報われている」

「しかし彼は着実に成長を続けているし、いつかはミスが起こるだろうけど、今のところない。しかし彼が積み上げてきた走行距離が今になって報われ、それがこのレベルでのパフォーマンスを可能にしている」

　アントネッリは2019年からメルセデスと密接な関係を築き、ウルフ代表はそんな若者の成長を間近で見てきた。

「この若者は……ほんの数年前、彼はガレージで私の隣に立ち、目を見開いて全てを吸収していた」

「つい昨日のように感じる。今、彼が見せているスピードは信じられないほどだ。彼はまだコースを知らない。これは次の大きなステップだった。これはまだ“ミニ・ポール”に過ぎないかもしれないが、チャンスが来たからには掴まなければならない」

「ガレージで応援していた人たちにはすぐ言ったんだ。『お祝いは十分だ。これはスプリント予選のポール。素晴らしいが、明日に向けた作業を始めよう。このパフォーマンスを予選と日曜日のレースで再現できるようにしよう』ってね」