SUVが主流となった現代においても、真に「すごい」と感じさせるモデルは多くない。その中で三菱アウトランダーPHEVは、電動技術と四輪制御を高次元で融合し、走りと実用性を両立した一台だ。本稿ではその実力と魅力の本質に迫る!
文:中谷明彦/写真:ベストカーWeb
【画像ギャラリー】内装の質感がまさに高級輸入車級!!!! SUVの完成形「三菱 アウトランダーPHEV」をギャラリーでチェック(18枚)
SUVブームの中で見つけた「本当にすごいクルマ」
世界の自動車市場を見渡すと、いま販売の主役となっているのはSUV車が多い。北米、欧州そして日本を含め、各メーカーの販売の中心を占めているのがこのカテゴリーだ。
SUVという言葉は現在「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略と説明されることが多いが、もともとは「スペース・ユーティリティ・ビークル」と呼ばれていたと記憶している。
つまり限られた車体スペースを効率よく活用し、多様な用途に対応する車両という意味合いが強かった。その後、SUVはクロスカントリー車から都市型クロスオーバーさらにはミニバンに近い実用車まで含む広いカテゴリーへと拡張されていった。
そうしたSUVブームの中で、「このクルマはすごい」と心から感じさせたモデルはいくつかある。
その筆頭に挙げたいのが、三菱アウトランダーPHEVだ。実はこの車の開発初期段階に、試験車両をテストする機会を得たことがある。当時の試作車は完全な電気自動車(BEV)として企画されていた。
前後にモーターを配置したツインモーター方式の四輪駆動で床下には大容量のリチウムイオンバッテリーが搭載されていた。初めてステアリングを握った瞬間、その完成度の高さには正直驚かされた。
直進安定性はもちろん、スラローム、旋回、減速、再加速といった一連の動作のすべてが極めて高い次元で統合されていた。四輪の駆動力配分は完全に電子制御され、ドライバーの操作に対して車両が遅れなく反応する。
レーシングドライバーの感覚で言えば、車体のヨーレートの立ち上がりが非常に自然なのだ。ステアリングを切り込んだ瞬間にノーズが素直にインを向き、そこからさらにアクセル操作を加えると四輪の駆動力配分が瞬時に調整される。
まさにエンジニアが意図した通りの動きが再現されていると感じた。ただし当時の問題は、電気自動車としてのコストだった。リチウムイオンバッテリーが今より極めて高価だった時代で、その仕様のまま量産すると車両価格は1000万円を大きく超えると言われていた。
ほぼEVの走りを実現! アウトランダーPHEVの完成度の高さ
2000年代当時の三菱自動車工業が、その価格帯のBEVを市場に投入するのは現実的ではなかった。結果として市販化されたのは、プラグインハイブリッド仕様だった。ガソリンエンジンを発電機として使うシリーズハイブリッドをベースにしたPHEVシステムである。これが結果的に、現在のPHEVの基本構造を決定づけることになる。
実際に試乗会で市販モデルを走らせたとき、そのシステムの完成度の高さは驚くべきものだった。一般道から高速道路まで約1時間の試乗を行ったが、通常のアクセル操作ではエンジンがほとんど始動しない。
およそ50km以上の距離をEV走行だけでカバーでき、速度も120km/h近くまで電動で維持できた。アクセルを大きく踏み込めばエンジンは始動するが、速度が安定すると再び停止し、静かなEV走行に戻る。その制御は非常に自然で、違和感をほとんど感じさせない。
まさにPHEVというカテゴリーを完成させたシステムと言っていいだろう。この技術の背景には三菱自が長年培ってきた四輪駆動技術がある。とりわけラリーで鍛えられたAWD制御の思想は、このSUVにも色濃く反映されていた。
代表例が、かつてランサーエボリューションで磨かれた制御技術だ。雪道などの低ミュー路で走ると、その違いははっきりとわかる。多くの四輪駆動車はステアリングを切り込むとフロントが外へ膨らみ、いわゆるプッシュアンダーステアの状態になる。
しかしアウトランダーPHEVでは初代~現行モデルに至るまで、ステアリング操作に対してノーズが素直にインを向く。前後駆動配分やブレーキ制御が働き、車体のヨーモーメントが自然に立ち上がるのだ。
つまりドライバーが「こう曲がりたい」と思ったラインを、システムが裏切らないのである。この感覚はSUVとしては極めて異例のレベルと言える。最新モデルではさらに制御が進化し、統合四輪制御システム「S-AWC」が搭載されている。
オフロードでも雪道でも車体姿勢を自在にコントロールでき、SUVでありながらスポーツセダンに近い操縦性を感じさせる。
日常から災害時まで対応「本当のユーティリティ」とは
この車の魅力は運動性能だけではない。3列シートを備えた広い室内空間と優れたシートアレンジによりSUVとしての実用性も非常に高い。荷物の積載性も十分で、まさに本来の意味での「スペース&スポーツ・ユーティリティ・ビークル」を体現している。
加えて外部給電機能も大きな特徴だ。燃料とバッテリーが満充電の状態であれば、一般家庭のおよそ一週間程度の電力供給が可能だと言われている。
災害時の予備電源としても極めて有効な能力であり、この点でも他のSUVとは一線を画している。最新モデルではEV走行距離も約100kmに達しており、電動車としての実用性もさらに高まった。
今後、バッテリー技術の進化によって航続距離が伸びれば、このカテゴリーはさらに発展するだろう。もちろん市場には多くのSUVが存在する。しかし操縦安定性、電動技術、四輪駆動制御、実用性さらには災害対応能力まで含めて総合的に評価するとアウトランダーPHEVはSUVというカテゴリーの中でも特別な存在である。
「すげえSUV」とは単に車高が高く、見た目が力強いだけの車ではない。ドライバーの操作に正確に応え、さまざまな状況で人を支える能力を持つ車である。そうした意味において、アウトランダーPHEVはSUVというジャンルのひとつの完成形を示していると言っていいだろう。
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みんなのコメント
走り始め以外はパワーかターマックにしてブレーキランプパカパカ点灯しないようにB4で走っているため燃費も電費も11km/Lの 4.5km/kwhぐらいでいいとは言えませんが、スタッドレスタイヤ付けて雪道走るとこの車の良さがわかると思います。