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節度ある強刺激 AMG CLE 53 x CLK 63 AMGブラックシリーズ(2) 想像以上に高い臨場感

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節度ある強刺激 AMG CLE 53 x CLK 63 AMGブラックシリーズ(2) 想像以上に高い臨場感

インテリアから想像する以上に高い臨場感

メルセデス・ベンツCLK 63ブラックシリーズは、サーキット・スペシャルな操縦性を実現しつつ、ドライバーへの要求度はさほど高くない。手のひらには、粒の細かい情報が届けられる。ワイドなボディの動きが、ドライバーの身体へ伝達される。

【画像】ワイドフェンダーに秘めた刺激 AMG CLE 53 CLK 63 AMG CとGTのブラックシリーズも 全120枚

コーナーへ飛び込めば、リアアクスルのグリップが弱まり、スライドが始まる瞬間をキャッチできる。更にパワーを加えてアングルを深めるか、右足を緩めて行儀良くするかは、ドライバー次第。ESPがオンのままでも、アスファルトにはゴムの跡が残される。

ストレートでは、1760kgという軽くない車重を忘れるほど、速度は急上昇。試乗時間の終わりが迫ることが、筆者は残念でならなかった。正直、降りたくない。2025年でこんなに感動できるなら、2007年にはどれほど人々を驚かせたのだろう。

最新のメルセデスAMG CLE 53には、ここまで濃密な個性は備わらない。だが、走りのダイナミックさは本物。まったく引けを取らない。

4マティック+と呼ばれる四輪駆動システムは、リアルタイムに前後アクスルへ伝わるトルクを変化させるが、基本的にはリア寄り。後輪操舵システムも巧妙に機能し、ラグジュアリーでデジタルなインテリアから想像する以上に、臨場感は高い。

CLK 63ブラックシリーズと比べると、遥かに扱いやすく感じる。バックカメラも備わり、市街地でも取り回しやすい。

ターボラグはほぼ皆無 高回転域で満たされる

それでも、どのドライブモードを選択しても、乗り心地はシリアス。スポーティな状態にすれば、3.0L 6気筒エンジンの咆哮が前方から響いてくる。

自然吸気ではないことを、ターボチャージャーの高音が教える。伝統の6.2L V8エンジンに匹敵する、好戦的な音響体験ではないものの、AMG CLE 53のサウンドも聴き応え充分だ。

22psアシストされるマイルドハイブリッドで、電動スーパーチャージャーも備わるから、ターボラグはほぼ皆無。低域から充分にトルクフルだが、より高い回転域まで引っ張ることで、盛んなドライバーも満たしてくれる。

0-100km/h加速は4.2秒。CLK 63ブラックシリーズより0.1秒速い程度だから、勢いは猛烈なほどではない。最高出力は60ps近く低く、車重が165kgも多いことが一因といえるだろう。だが、筆者はその僅かに節度のある感じが好きだ。

一部の高性能モデルのように、普段使いで困るほど野蛮ではないものの、最高水準の走りを存分に味わえる。シャシーの限界を探れる。

CLK 63ブラックシリーズと並べると、パッケージングの高さは別次元。少し優等生すぎるかもしれないが、途中で一旦整理する必要があるほど、各コンポーネントの設定は多様。自分好みに、理想的な体験へ導くことも可能だ。

少し積極的な運転で宿した個性を表出

AMGダイナミクスの変更で、ビギナーからマスターまで、AMG CLE 53は幅広い要求へ応えてくれる。四輪駆動と後輪操舵、スタビリティ・コントロールなどの制御が変幻する。豪華な雰囲気の内側に秘めた、本来のDNAを探るという面白さがある。

オプションのプロパフォーマンス・パッケージを指定すれば、CLK 63 AMGブラックシリーズに並ぶ299km/hの最高速度と、後輪駆動状態のドリフトモードも付いてくる。今回の試乗車には、装備されていなかったが。

とはいえ、その有無に関わらず、AMG CLE 53は魅力的なドライバーズカーだ。宿した個性を表出させるには、普段より積極的に運転するだけでいい。

C209型のブラックシリーズは、臆することなく全身でAMG。少し気性の荒い性格へ、ドライバーを力づくで引きずり込む。こう走るべきだと、クルマが訴求してくる。

対してAMG CLE 53は、往年のAMGとは異なり、ワイルドなホッドロッドらしさが薄いかもしれない。スリップではなく、グリップが優先されている。

だが今日のように軽く湿った路面なら、リアアクスルを滑らせていたずらできる。操り手が望めば、理想的なワインディングで深い没入を許してくれる。膨らんだリアフェンダーが、強く期待させる通りに。

番外編:CLK 63 AMGブラックシリーズのお値段は?

2007年当時の、CLK 63 AMGブラックシリーズの英国価格は9万9517ポンド。現在ではその希少性から、高い取引価格が維持されている。比較試乗で用意したホワイトの1台は、9万9995ポンド(約1950万円)で販売中とのこと。

走行距離は4万9900km。最初のオーナーは引越しに伴い、アラブ首長国連邦からグレートブリテン島へ運び乗っていた。彼が深く気に入っていたことがうかがえる。右ハンドル車の場合は、12万5000ポンド(約2438万円)が最近の最高値のようだ。

少し穏やかな見た目で、リアシートがあった方が良いとお考えなら、C209型のCLK 63 AMGも悪くない。最高出力は480psと充分。走行距離10万7000kmの例が、2万995ポンド(約409万円)で執筆時に売りに出ていた。事前の重整備は不可欠かもしれないが。

CLK 63 AMGブラックシリーズとAMG CLE 53 2台のスペック

メルセデス・ベンツCLK 63 AMGブラックシリーズ(海外仕様)

英国価格:9万9517ポンド(新車時)
全長:4656mm
全幅:1834mm
全高:1364mm
最高速度:299km/h
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:6.5km/L
CO2排出量:369g/km
車両重量:1760kg
パワートレイン:V型8気筒6208cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:507ps/6800rpm
最大トルク:64.1kg-m/5250rpm
ギアボックス:7速オートマティック(後輪駆動)

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+(英国仕様)

英国価格:7万3075ポンド(約1425万円)
全長:4855mm
全幅:1935mm
全高:1435mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:10.4km/L
CO2排出量:217g/km
車両重量:1925kg
パワートレイン:直列6気筒2999cc ターボチャージャー+電動コンプレッサー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:448ps/5800-6100rpm
最大トルク:56.9kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)

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