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トップドライバーたちのバトルと戦略が激突! SFヴァーチャルシリーズは坪井翔が制す

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トップドライバーたちのバトルと戦略が激突! SFヴァーチャルシリーズは坪井翔が制す

 5月17日、スポーツ専門テレビ局のJ SPORTS2/J SPORTSオンデマンドで、全日本スーパーフォーミュラ選手権を運営する日本レースプロモーション(JRP)が開催したバーチャルレース『JAF認定 スーパーフォーミュラ・ヴァーチャルシリーズ スペシャルラウンド』が放映された。レースは終盤まで白熱したトップ争いが展開され、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が優勝を飾った。

 この『JAF認定スーパーフォーミュラ・ヴァーチャルシリーズ スペシャルラウンド』は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、序盤戦が開催延期となってしまっているスーパーフォーミュラのバーチャルレースだ。プレイステーション4用ソフトウェアのグランツーリスモSPORTを使って、本来5月17日に決勝が行われる予定だった第3戦の舞台、オートポリスを舞台に争われた。

5月17日放送の『スーパーフォーミュラ・ヴァーチャルシリーズ』は必見! 初の試みに関係者が総力結集

■予選:ルーキー大湯が驚速タイムを記録しポールポジションに
 すでに5月14日に収録が終わったこのレースだが、当日はオンライン会議ツールのZOOMを使ってドライバーズブリーフィングが行われ、残念ながら前日にエントリー取り止めとなった大嶋和也(ROOKIE RACING)をのぞく16名のドライバーが参加し、まずリハーサルを経て、1台ずつが1周アタックするスーパーラップ形式で予選が行われた。アタック順は、ルーキードライバーは年齢順、その他は現実の2019年のドライバーズランキング順で決まった。

 まず最初にアタックしたのはサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)で1分25秒317というベースタイムを残すが、続いてアタックした大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が1分23秒939という圧倒的なタイムをマークしていく。それもそのはずで、大湯は現役プロドライバーでありながら、『全国都道府県対抗 eスポーツ選手権 2020 KAGOSHIMA』で神奈川1位、全国3位という記録を出した実力者。他ドライバーたちも思わずZOOM画面で驚きの表情を浮かべる。

 続くセルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing with B-Max)は、B-MAX Racing Teamのファクトリーからの参戦だが、アタック後半にまさかのコースアウト。セッテ・カマラはドリンク片手に「仕方ない」という表情を浮かべた。また、タチアナ・カルデロンの代役参戦の道上龍(ThreeBond Drago CORSE)は1分25秒704で現役SFドライバーに負けないタイムを記録した。

 道上に続いてはSFに現役参戦するドライバーたちが登場。牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)1分24秒923をマークするも、大湯のタイムにはなかなか及ばない。坪井が1分24秒135、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が1分24秒537、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分24秒277、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)は1分24秒969、山下健太(KONDO RACING)は1分24秒707と24秒台が続くも、やはり大湯の1分23秒台が図抜けた存在となった。

 一方「コントロールパッドでやっている人たちにできることをみせたい」と、唯一ハンドルコントローラーを使わずレースに参加した野尻智紀(TEAM MUGEN)は1分24秒603とパッドとは思えぬ速さをマークした。

 16人のドライバーのなかで最後のアタッカーとなったのは、2019年チャンピオンのニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)だが、1分26秒145と苦しい予選に。この結果、予選はルーキー大湯が「練習してきたので自信はありました」と1分23秒939でポールポジションを獲得。坪井が1分24秒135で2番手、福住が1分24秒277で3番手。平川が1分24秒537で4番手につけるグリッドとなった。

■決勝:序盤から激しいトップ争いに。ピット戦略が分かれる
 休憩を挟んで迎えた決勝レースは32周。スリップストリーム設定は弱で、コーナリング時のダウンフォース抜けを抑制してある一方、燃料消費倍率やタイヤ摩耗消費が厳しく設定してあり、1回のピットストップ義務づけがあるため、その際にきちんと燃料補給を行わなければ、4周ほど燃料が足りなくなる設定となっていた。

 スタートでは、ポールポジションの大湯が好スタートを決めるも、インから福住、坪井が伸び1コーナーへ向け非常に激しい首位争いが展開されるが、そのなかで接触が起き、大湯、福住、野尻などホンダ勢は大きく順位を落としてしまう。そんななかトップを奪ったのは、インから順位を上げた小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)。ただ2周目の1コーナーで坪井が可夢偉をオーバーテイク。さらに山下健太(KONDO RACING)、平川とトヨタ勢が続く。

 序盤、トップ3は僅差の争いが展開され、これに続いて牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)が4番手、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が5番手に続く。可夢偉は少しずつ順位を落としてしまい、4周でピットインしたが、その後まさかのネットワークトラブル(!)というオンラインバトルならではの原因でリタイアを喫してしまった。

 上位陣の争いは、9周目を迎えるころに激しさを増す。山下と平川の激しい2番手争いが展開され、9周目のダウンヒルストレートで平川が山下をオーバーテイク。その周を終えるころには、6番手につけていた国本雄資(carrozzeria Team KCMG)がピットイン。中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)、セッテ・カマラもピットインするなど、動きが激しくなる。3番手となっていた山下も11周を終えピットに入った。

 一方、スタートで順位を落とした大湯は、猛烈な勢いでオーバーテイクを続け、12周目には5番手に浮上していたが、ピットアウトした山下が14周目に大湯をパス。14周目からは3番手につけていた牧野と4番手の関口、山下の三つ巴のバトルとなり、山下はこれを制すとふたたび3番手に戻った。

 順位を上げていた大湯は17周で、トップを走っていた坪井と2番手の平川は18周を終えピットインを行うが、これでトップに立っていた山下は、20周を終えふたたびピットインを行う。ライバルと異なり、ピットロスタイムを減らす2ストップ作戦を採っていたのだ。一方、坪井と平川はピットストップで順位が変わり、先にピットアウトした平川がトップに立つ。

 2ストップを行った山下は、21周目に石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)をかわし4番手につけるが、前を走るのは大湯だ。23周目を迎える頃には、トップ争いの平川と坪井、3番手争いの大湯と山下のバトルが激しくなっていく。

 2ストップ作戦の山下は、早く大湯をかわしてトップ2台を追いたいところだが、タイヤが厳しい状態の大湯ながら、山下はなかなか前に出ることができない。この戦いは100秒間使用可能なオーバーテイクシステムを駆使しながら31周を迎えるまで続き、順位を入れ替えながらのバトルで現実のレースにも勝るとも劣らぬ興奮の展開となっていった。

■タイヤと燃費が厳しいレースに。ファイナルラップに劇的な展開が
 一方、チェッカーに向けトップ争いも緊迫する。「フィニッシュまで足りる分を給油していたが、厳しくなっていた」という平川と坪井は、燃費を気にしながらの戦いを展開していたが、31周目に坪井が100Rでまさかのコースオフ。四輪脱輪として、まさかの0.5秒のタイムペナルティを受けてしまった。「今日は終わったな、負けレースだな」と坪井は一時は優勝をあきらめる。

 しかしファイナルラップにまさかの展開が待っていた。「坪井選手の方がペースがいいことは分かっていましたが、自分のペースで走ろうと思っていました。しかし残り2周で燃料がもたないことに気づいて、そこからなんとかもたせようと思いましたが……」という平川が燃料不足でまさかのスプラッシュのピットインを行ったのだ。

 これでトップに立ったのは坪井。同様に燃料が厳しくなっていたが、危なげなくファイナルラップを走りきりトップチェッカーを受けた。平川はなんとかコースに戻り2位を死守している。一方3番手争いはファイナルラップまで山下と大湯のバトルが続いていたが、大湯はこちらもまさかのガス欠となってしまいスローダウン。山下が3位でチェッカーを受けた。4位は関口、5位は石浦という結果に。福住が追い上げホンダ勢最上位の6位となった。なお、2019年王者のニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)は23周でハンドルコントローラーのペダルのトラブルにより、リタイアとなってしまった。

「スタートが肝心だと思いましたが、3番手に落ちてしまいました。ただそこでイン側を守っていたおかげで2番手につけることができ、その後ずっとトップ争いを展開できたと思います。作戦も分かれましたが、首位争いをしていたので1ストップを選択せざるを得ず、タイヤも燃料も厳しいなかで平川選手も速かったので、厳しいレースになりました」と坪井。

「最後は燃料も厳しく、ペナルティもありもう2位だろうな……と思いましたが、まさかあそこで平川選手がピットに入ると思いませんでした。タイヤと燃料を計算しなければならず、非常に難しいレースになりましたが、結果的に優勝できてすごく嬉しいです」

 坪井のコメントにもあるとおり、現実のレースのように速さだけではなく、戦略も重要なレースとなった『JAF認定 スーパーフォーミュラ・ヴァーチャルシリーズ スペシャルラウンド』。現実かと見まがうばかりのグランツーリスモSPORTのグラフィックはもちろんだが、プロドライバーたちによる白熱のバトルと智略のレースが展開された。スーパーフォーミュラ関係者たちが力を合わせ作り上げたバーチャルバトルは、ファンをうならせるレースになったのではないだろうか。

 レースは5月22日(金)からスーパーフォーミュラ公式Youtube、『The Race』でも配信される。

JAF認定 スーパーフォーミュラ・ヴァーチャルシリーズ スペシャルラウンド
決勝レース結果
Pos.NoDriverTeamEngineTime/LapsGrid/Time139坪井翔JMS P.MU/CERUMO・INGINGTOYOTA/TRD TRD01F46'44.2412/1'24.135220平川亮ITOCHU ENEX TEAM IMPULTOYOTA/TRD TRD01F+5.3584/1'24.53733山下健太KONDO RACINGTOYOTA/TRD TRD01F+10.8846/1'24.707419関口雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPULTOYOTA/TRD TRD01F+16.7789/1'25.107538石浦宏明JMS P.MU/CERUMO・INGINGTOYOTA/TRD TRD01F+29.09411/1'25.29266福住仁嶺DOCOMO TEAM DANDELION RACINGHonda M-TEC HR-417E+29.3783/1'24.277736中嶋一貴VANTELIN TEAM TOM’STOYOTA/TRD TRD01F+34.93813/1'25.690816野尻智紀TEAM MUGENHonda M-TEC HR-417E+35.4855/1'24.60394S.フェネストラズKONDO RACINGTOYOTA/TRD TRD01F+35.63212/1'25.3171018国本雄資carrozzeria Team KCMGTOYOTA/TRD TRD01F+39.44010/1'25.1091164牧野任祐TCS NAKAJIMA RACINGHonda M-TEC HR-417E+43.2827/1'24.9231265大湯都史樹TCS NAKAJIMA RACINGHonda M-TEC HR-417E+1'02.6021/1'23.9391312道上龍ThreeBond Drago CORSEHonda M-TEC HR-417E+1'09.89114/1'25.7041450S.セッテ・カマラBuzz Racing Team with B-MaxHonda M-TEC HR-417E+1'10.76216/1'38.358R1N.キャシディVANTELIN TEAM TOM’STOYOTA/TRD TRD01F+9Laps15/1'26.145R7小林可夢偉carrozzeria Team KCMGTOYOTA/TRD TRD01F+27Laps8/1'24.969

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