クルマを操る楽しさがより味わえるMT車。だけどMTはスポーツカーに多く、実際に購入するとなると実用性を損なうこともあるし、なにより敷居が高くなってしまう。また、年齢を重ねて久しぶりにMTへ戻ろうと考えている人にとっては、操作への不安も少なくない。そこで今回は、新車で買える、肩肘張らずに楽しめるMT車を紹介しよう。
文:木内一行/写真:スズキ、ホンダ、マツダ
「欧州車に肩を並べる上級ハッチをMTで」 マツダ・MAZDA3
ファミリアの後継として2003年に誕生したアクセラ。130を超える国で発売され、世界累計販売台数600万台以上を記録したマツダの主力モデルだ。
そのアクセラが、2019年に世界統一名の「MAZDA3」として生まれ変わった。
新世代商品の第1弾として再スタートを切ったMAZDA3は、「日常が鮮やかに輝くパーソナルカー」をコンセプトに開発。各パートには第2世代に進化したスカイアクティブテクノロジーが取り入れられ、新世代車両構造技術の「スカイアクティブ・アーキテクチャー」が初採用された。
ボディバリエーションはファストバックとセダンをラインナップし、魂動デザインが取り入れられたスタイリングは実に美しい。
当初のパワーユニットは、1.5リッター/2リッターのスカイアクティブG、新世代2リッター+マイルドハイブリッドのスカイアクティブX、1.8リッターディーゼルのスカイアクティブD 1.8という4種。
2022年8月にはスカイアクティブG 2.0が消滅し、代わりに通常の2リッターガソリンにマイルドハイブリッドを組み合わせたeスカイアクティブG 2.0が新搭載された。
ミッションは6ATと6MTがあるが後者はファストバックのみで、現在は2リッターマイルドハイブリッド2種(スカイアクティブX、eスカイアクティブG 2.0)に設定。節度のあるフィーリングだけでなく、ステアリングから持ち替えやすいシフトレバーの位置や握りやすいノブ形状など、操作性にも考慮しているところがいかにもマツダ車らしい。
VWゴルフなどと肩を並べるキャラクターながらMTの走りが楽しめる。令和の時代ではかなり貴重な存在だ。
「飛ばさなくったって運転が楽しいミニSUV」 スズキ・ジムニー
ジムニーといえば、軽自動車ながらクロカン4WDなみの悪路走破性を誇る本格派。それだけにMTを選ぶユーザーが多いかと思われがちだが実際はそうでもないようで、公式発表ではないもののATとMTの比率は7対3程度と言われている。
2018年にモデルチェンジした4代目は、半世紀以上にも及ぶジムニーのこだわりや技術を継承しつつ、本格的な4WDとしての性能をさらに進化。
伝統のラダーフレームはXメンバーと前後にクロスメンバーを加えてねじり剛性を約1.5倍高めた新開発だし、ボディマウントゴムを大型化して振動も低減している。
駆動方式もFRレイアウトと副変速機付きパートタイム4WDを受け継ぎながら、走破性を高めるブレーキLSDトラクションコントロールやスムーズな坂道発進や安定して急な勾配を下ることができるヒルホールドコントロール・ヒルディセントコントロールを標準装備。オフローダーとしての走破性を高めている。
エンジンは全車直3ターボのR06Aだが、ミッションは4ATと5MTをラインナップ。特に5MTは、ダイレクト感のあるシフトフィールで気持ちのいいドライブが可能だ。
ジムニーだから、峠をガンガン飛ばすようなクルマではない。しかし、小気味いいシフトフィールとトルクフルなエンジンで、積極的にシフト操作をしたくなる楽しさを持ち合わせているのだ。
「商用車のイメージを覆す走りの軽バン」 ホンダ・N-VAN
「Norimono(のりもの)」の「N」を由来とし、いろいろなカタチで日本のスタンダードを作ってきたホンダのNシリーズ。その中で軽バンの新基準を目指して開発されたのがN-VANだ。
フォルムはN-BOXに似ているが中身は別物。働く人のためのクルマに仕立てられている。
N-BOXのプラットフォームをベースにしながら商用向けに専用設計。「どれだけ積めるか」だけでなく「どう積めるか」を追求し、助手席側をセンターピラーレスとしてテールゲートからも助手席側からも荷物の積み下ろしができる「ダブルビッグ大開放」が生み出された。
さらに、後席だけでなく助手席にもダイブダウン機構を採用し、広々としたフラットなフロアを実現している。
商用ユースながら走行性能も追求。荷物を積載してもストレスなく走れ、長時間の移動でも快適なよう高効率のパワートレインを採用。N-BOXで採用される高効率の自然吸気エンジンを商用車用に最適化し、休日のレジャーでもドライブが楽しめるようターボエンジンも搭載された。
ミッションはCVTが基本だが、自然吸気には軽バン初の6MTを設定。S660用をベースにした6MTをFF/4WDに対応させつつワイドレンジ化し、低速域での力強い走りと高速域での静かで快適なクルーズを可能にした。
商用バンというと、完全な仕事グルマで退屈なイメージがある。しかしN-VANなら、仕事だけでなく運転の楽しさも味わえること間違いなしだ。
「気軽にMTを満喫できるコンパクト」 スズキ・スイフト
平成のボーイズレーサー、スイフトスポーツ。2025年2月に惜しまれつつ生産終了となったが、痛快な走りは今でも多くのファンを魅了している。
しかしその一方、実際に所有するとなると見た目はちょっと派手だし、いかにもといった感じがして気後れしてしまう人もいるはずだ。
しかし、現行スイフトならそんな悩みも解消できる。2023年にモデルチェンジした現行は、歴代モデルが培ってきたデザイン性と走行性能に「クルマと日常を愉しめる」という新たな価値を付与。
扱いやすさを考慮したパッケージングを軸に、先進的なエクステリアデザインやドライバーとの一体感を高めるインテリアデザイン、最新の安全技術などを採用した。
パワートレインは1.2リッター直3のZ12Eで、純ガソリン仕様の他にモーターを組み合わせるマイルドハイブリッドも用意する。
組み合わされるミッションはCVTが基本だが、ハイブリッドには5MTの設定もあり。国内でマイルドハイブリッドに5MTが組み合わされるのはこれが初めてで、軽やかなシフトフィーリングとともにフリクション低減により低燃費性や静粛性も高めている。
現行スイフトの5MT車はスポーツグレードでもなければハイパワーなエンジンでもない。しかし、920kgという軽さもあり走りは軽快。まさに肩肘張らずに乗れるMT車の代表といえよう。
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みんなのコメント
マニュアル車を5台乗り継いで、今が2台目のオートマ車。
もう一度マニュアル車を運転してみたい。
なんか一台、お忘れじゃ…
そう、スズキ・ワゴンRの「ZL」に5速マニュアル車が
あるではないか(笑)
これこそ「肩肘張らずに乗れる」MT車ではないだろうか。
現行6代目もかれこれ生産開始から9年目となったが、
その中でも自然吸気エンジン車でFA→FX→ZLとMT仕様が
受け継がれてきた。
次期ワゴンRは…などというウワサも出ては消えるが、
その来るべき時になって悲しい思いをしたくなければ、
今のうちに現行のZL・5MT車に乗っておくべきかもしれない。
…ですよね、乗蔵さん(笑)
しかし、スイフトにジムニーにワゴンR…
スズキって、意外に乗用車にMT車を揃えている印象…