ノスタルジーとモダンが交差する銀座
映画批評家・永田よしのりがガイドする、気になる映画のロケ地探訪。今回はこの7月27日に約65年の歴史に幕を下ろす丸の内東映の閉館に合わせ、特別編としてかつて銀座に存在した映画館跡地を巡ってきました。そこにはノスタルジーとモダンを繰り返してきた銀座がありました。
映画批評家が案内する蒲田ロケ地探訪…映画『砂の器』から『シン・ゴジラ』まで、今も息づく昭和の街並みを訪ねて【映画ロケ地巡礼】
銀座と映画の深いつながり
インバウンド観光や買い物、食事だけではなく、大人の街として新宿や渋谷とはまた違った顔と歴史を持つ銀座。江戸時代から現在まで日本橋~銀座~築地といった辺りは流通の根幹であり、商いを生業とする老舗店が軒を連ねている街でもある。人々はそこに新しいものを求め、次第に銀座は文化の街としても発展していった。現在、東映、松竹、東宝といった日本映画三大製作・配給会社は銀座周辺に居を構えており(東映は2025年7月以降に京橋に移転予定)、映画の街としても栄えた。
銀座1丁目~4丁目にあった映画館
銀座は京橋寄りの1丁目から、新橋寄りの8丁目まで、中央を走る晴海通りを挟んで東西に広がっている。ニューヨークのマンハッタンほどではないが、端から端まで歩くこともそう難しくはない面積だ。
現在、有楽町~銀座界隈で営業されている映画館はシネスイッチ銀座(かつての銀座文化劇場)、丸の内TOEI、東劇、ヒューマントラストシネマ有楽町(かつてのテアトル有楽町)、角川シネマ有楽町、丸の内ピカデリー、TOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ日比谷の8館。
意外に数があるのでは? と思われる読者もおられると思うが、かつてはロードショー館、名画座と含め20館近く存在していた時代からすれば半減している。まぁ、現在のシネマコンプレックス形式・複数のスクリーンを持つ大型映画館で映画を上映する場所を、スクリーン数それぞれひとつを1館と勘定すれば現在も20館ほどあることになるのだが。
すでに閉館してしまった映画館となると、かつての銀座1丁目から4丁目には、有楽町2丁目(現在の東京交通会館、マルイの前)にあった大きな映画館である日本劇場(1981年に閉館)。現在は有楽町センタービルとなり(かつては有楽町マリオンの愛称で呼ばれ、9階、11階に日劇1・2・3の映画館があった)、1984年の映画『ゴジラ』では出来たばかりのこのビルをゴジラが破壊することで話題となったビルは現存。『ゴジラ』といえばやはり、1954年の第1作で銀座和光ビルを破壊するシーンも思い出される。
また1978年『スター・ウォーズ』日劇初上映の際には、映画館の外を何周もするほどの人が列を作り『スター・ウォーズ』の聖地と呼ばれた過去も。現在の銀座一丁目には大スクリーンのテアトル銀座(『2001年宇宙の旅』や『ベン・ハー』など大スクリーンの醍醐味を味わえる作品がリヴァイヴァルでかかった)、名画座として有名だったのは並木通りにあった並木座など。
4丁目には、晴海通り沿いにあった、名画やカルト作品を上映していた銀座シネパトス(地球座から名称変更し、半地下で作家や俳優の特集上映がよく行われていた)があった。ここではこの映画館を愛した映画人がシネパトスでオールロケをした『インターミッション』(2013)という映画を撮影もしている。正確には築地となるが、松竹セントラル1・2・3(1997年『新世紀エヴァンゲリオン』上映の際は、消防法もやや曖昧だったので、立ち見、座り込みで通路も満杯だった記憶がある)も大きな映画館だった。
閉館してしまった映画館の跡地は、かつて映画館があったとは想像できない景観になっていることが多いが、都市開発の波は銀座でも抗うことができないのだろう。話は違うが、東銀座にある歌舞伎座も建て替え当時は景観を変えないようにとこの嘆願があり、入り口周囲建築だけは残したのだ。
銀座5丁目~8丁目にあった映画館
有楽町1丁目(現在の日比谷シャンテ付近)には1984年に閉館した有楽座。現在はビルの建て替えが行われているスバル座があった。そして同じく有楽町1丁目に位置するTOHOシネマズ日比谷に吸収されたのは、スカラ座、みゆき座、日比谷映画。シャンテシネ1・2(現在の日比谷シャンテ)前には、新造形のゴジラ像があり、かつてあったゴジラ像はTOHOシネマズ日比谷のロビーに移動している。
有楽町2丁目、数寄屋橋交差点付近にはニュー東宝~スキヤバシ映画~ニュー東宝シネマ1・2と名称を変えた映画館があった。特撮映画『風速七十五米』(1963)では、この数寄屋橋近辺のミニチュアが製作され、銀座の中心街が強風で破壊される様が描かれた。銀座7丁目にあったのは銀座初の洋画専門上映館の金春館。銀座5丁目先、晴海通り沿いの築地4丁目には東劇が現存(晴海通りを挟んだ向かい側には松竹セントラル1・2・3があった)。
ざっと紹介するだけでもこれだけの映画館が銀座には存在していた。昭和の時代とは銀座の街の様子もすっかり様変わりしており、青春のあの頃を思い出すのは、少々難しくなってきているのかもしれない。だが、あの頃の銀座を思い出すきっかけにはなるであろう。夏以降に丸の内東映は建て直され、複合総合施設に生まれ変わるらしい。街も映画も時代と共に移り変わっていくのは世の習いなのだろう。
銀座ロケ地めぐりあとの1食
歩き続けると腹も減るもの。そんな時の昼食には日替わり定食のある銀座1丁目「中国名菜処 悟空」をおすすめしよう。なぜなら炒飯の分量が普通で500gもあるから(笑)。ほかにも麺類、定食と日替わりランチは常時7~8種類。いずれも1000円程度でお腹一杯になること間違いなし。無性に炒飯が食べたくなった時にはおすすめ。
【中国名菜処 悟空】 営業時間:11:00~15:00 17:00~23:00 定休日:日曜日
■映画情報 『ゴジラ』 1954年公開 監督:本多猪四郎 出演:宝田明、平田昭彦、河内桃子ほか 配給:東宝
『ゴジラ』 1984年公開 監督:橋本幸治(本編)中野昭慶(特技) 出演:小林桂樹、田中健、沢口靖子ほか 配給:東宝
『インターミッション』 2013年公開 監督:樋口尚文 出演:秋吉久美子、香川京子、染谷将太、ひし美ユリ子ほか 配給:オブスキュラ
『風速七十五米』 1963年公開 監督:田中重雄(本編)築地米三郎(特技) 出演:田宮二郎、宇津井健、叶順子ほか 配給:大映
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松竹セントラルは今本社や大谷《演劇、邦画》図書館の高層ビル(横ビルでドルビージャパン)首都高速開通の記録映画(テレ東ガイアの夜明け、インフラ補修回で直前に放送あり)空撮で東劇が高層ビル無い看板デカ過ぎのと一緒に映り『その男、凶暴につき』劇中で刃傷シーンを玄関前の角向かい俯瞰と広大な裏口両方で使う