行きづらかったエリアに行きやすくなった三遠南信道 ただし「秘境3駅」は別
長野県飯田と静岡県浜松を南北に約100km結ぶ計画の「三遠南信道」のうち、愛知県内の鳳来峡IC~東栄IC間が2026年3月に開通。これによって新東名高速の浜松いなさJCTから佐久間川合ICまで約28kmがつながりました。
【地図/写真】三遠南信道と「飯田線の秘境駅」たち(画像で見る)
おおむねJR飯田線に並行する三遠南信道の沿線は、古くから移動が難しい“秘境”と呼ばれてきたエリアです。では、この開通によって飯田線で複数ある「秘境駅」には、行きやすくなったのでしょうか。
三遠南信道のルート上には中央構造線という断層があり、日本屈指の劣悪な地質、超高水圧の圧力が重なり、日本のトンネル開発技術をもってしても建設が思うように進みませんでした。
特に浜松市天竜区、長野県飯田市の間にある青崩峠付近は、過去の激しい地殻変動によって山の内部の岩石が粉々に砕けていました。その結果、トンネル建設のために掘り進めようとすると豆腐のようにボロボロと崩落。従来の工法ではトンネルの形を維持することが難しく、今も佐久間川合ICから水窪(みさくぼ)ICまでと、青崩峠をはさんだ水窪北ICから小嵐ICまでは未開通のままとなっています。
佐久間川合ICから先の三遠南信道は未開通ながら、国道473号、国道152号経由で飯田線の駅がある水窪エリアに到達できます。この区間の国道152号はかなりの“酷道”です。それでも、相月、城西、向市場、水窪(いずれも浜松市天竜区)の4駅には、格段に行きやすくなったと言えるでしょう。
しかしその先、飯田線の大嵐、小和田(ここまで浜松市天竜区)、中井侍(長野県天龍村)の3駅が問題です。国道152号からも行けなくはないですが、むしろ佐久間川合ICまで戻った方が無難です。
飯田線は水窪から大嵐の間で西に大きく進路を変え、全長5063mの大原トンネルで山を越えて天竜川沿いに出ます。しかしこの間、道路は極めて細く長い林道しかないためです。
そもそも、飯田線の佐久間~大嵐間はかつて、そのまま天竜川沿いを大嵐まで北上していましたが、佐久間ダムの建設に伴い水窪経由に付け替えられた区間です。このため、旧来の天竜川沿いをゆく大嵐以北へ向かうには、佐久間川合IC付近の段階で“別の道”に行かなくてはいけません。
三遠南信道から「もう一つの道」も超厳しい道!
天竜川沿いの深いV字谷を通る大嵐駅、小和田駅、中井侍駅のあいだは、列車からダイナミックな自然美を体感できる反面、列車以外のアクセスが難しいことで知られてきました。
特に小和田駅は、界隈の集落が佐久間ダム建設によって水没したため、駅周辺には民家はおろか車道も存在しない陸の孤島として、“キング・オブ・秘境駅”のように呼ばれることもあります。最寄り駐車場から、「山道を徒歩で1時間前後歩かないとたどりつけない」と言われるほどです。
これら3駅へ佐久間川合ICから向かう場合は、前出の国道473号ではなく、天竜川の右岸(西側)を北上する静岡・愛知・長野県道1号「飯田富山佐久間線」を進みます。
ただし、このルートも細く曲がりくねった“険道”なうえに、しばしば通行止めとなります。2026年7月現在も静岡・愛知県境から大嵐駅に近い愛知県豊根村熊打橋まで、落石により長期通行止めとなっています。
こうなると、佐久間川合ICよりもさらに西側の東栄ICから国道151号経由で大回りすることとなります。三遠南信道が開通してもなお、そう容易にアクセスすることができないことには変わりありません。
なお、長野県側の国道418号(伊那小沢駅)から県道1号に入り天竜川沿いを南下するルートもありますが、こちら側も通行止めが多発するため、筆者も引き返す羽目になったことがあります。やはり大嵐、小和田、中井侍3駅のアクセスのハードルはかなり高いと言えるでしょう。
ちなみに、3駅に停車する飯田線の列車は上り・下りとも1日8~9本ずつ運行しています。各駅来訪を目指すには、鉄道を使ってのアクセスが賢明です。その際には時刻表だけでなく、周辺地図や最新の情報をよく確認して訪れるようにしてください。
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