2021年7月15~18日、WRC(世界ラリー選手権)第7戦ラリー・エストニアが、エストニア第二の都市タルトゥを基点に開催され、トヨタのカッレ・ロバンペラが初優勝を飾った。2位、3位にはヒュンダイ勢のグレイグ・ブリーンとティエリー・ヌーヴィルが入った。
大本命タナックがSS3でいきなり脱落
2021年でWRC開催2年目となるエストニアは高速グラベルが舞台。天候は安定しており、当然、SSのスタート順が遅い(=選手権ランキング下位の)ドライバーが有利と予想された。
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有力な優勝候補に挙げられていたのは3人。「4強」の中で最もランキングが低く、ここが母国ラリーとなるヒュンダイのオィット・タナック、前半戦はトラブル続きでポイントが伸びていないトヨタのロバンペラ、そしてヒュンダイのスポット参戦要員で2020年もタナックに次いで2位に入っているブリーンだ。
木曜夕刻に行われた短いSS1ではまずロバンペラがベストタイム。本格的な「開戦」となる金曜日のSS2ではホームの大声援を背にタナックがベストタイムを刻み、首位に立つ。
タナックはここからさらにリードを広げるかに思えたが、続くSS3でフロントタイヤを、SS4はスペアタイヤを失った状態でさらに2つのタイヤをパンクさせて万事休す。ホームラリー連覇を狙った大本命は、はやくもリタイアとなった。
ロバンペラが初優勝、史上最年少記録を大幅更新
その後の優勝争いはロバンペラとブリーンの一騎討ちに。先行するロバンペラにブリーンが食らいつく展開が金曜日いっぱいまで続いたが、土曜日のオープニングステージが大きなターニングポイントとなった。
ラリー最長の23.53kmを誇るこのSS10で、ロバンペラがブリーンに14.3秒の大差をつける渾身のベストタイムをマーク。その後も徐々に差を広げて大量リードを築いたロバンペラは、最終日もSS19~SS24も慎重に走り切り自身初優勝のフィニッシュへ。
「ここまで厳しいシーズンが続いていたけど、もうひとつのホームイベントと言ってもいいこのラリーで勝ててよかった」と感無量のロバンペラの初めての栄冠は、トヨタのチーム代表、ヤリ-マティ・ラトバラが2008年スウェーデンで記録した最年少優勝記録(22歳10ヶ月と7日)を更新する、20歳10カ月と8日での快挙となった。
その他のトヨタ勢は早いスタート順に苦しんだ選手権リーダーのセバスチャン・オジェとランキング2位のエルフィン・エバンスが4、5位。開幕から上位入賞を続けてきた勝田貴元はSS4を終えて3番手まで浮上したものの、コドライバーのダン・バリットがジャンプの着地で首を痛めたため競技続行を断念。今季初のリタイアとなった。
次戦は8月13~15日にかけて開催される第8戦イープル・ラリー・ベルギー。ベルギー西部の都市イープルを基点に開催されるこのラリーは、1965年に初開催された長い伝統と人気を誇るイベントであり、WRCとしての開催は2021年が初となる。路面はターマック(舗装路)で、トリッキーなラリーとして知られている。また、ラリー最終日には、スパ・フランコルシャン・サーキット周辺でのステージも予定されている。
2021年 WRC第7戦ラリー・エストニア 結果
1位 K.ロバンペラ(トヨタ ヤリス WRC)2h51m29.1s
2位 C.ブリーン(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+59.9s
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+1m12.4s
4位 S.オジエ(トヨタ ヤリス WRC)+1m24.0s
5位 E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC)+2m07.1s
6位 T.スニネン(フォード フィエスタ WRC)+7m07.3s
7位 P.ルーベ(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+8m48.3s
8位 A.ルキャヌク(シュコダ ファビア ラリー2 Evo)+10m16.1s
9位 A.ミケルセン (シュコダ ファビア ラリー2 Evo)+10m29.9s
10位 M.オストベルグ(シトロエン C3 ラリー2)+10m46.6s
2021年 WRC ドライバーズランキング(第7戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ) 148
2位 E.エバンス(トヨタ) 111
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ)96
4位 K.ロバンペラ(トヨタ) 82
5位 O.タナック(ヒュンダイ)74
6位 勝田貴元(トヨタ)66
2021年 WRC コンストラクターズランキング(第7戦終了時)
1位 トヨタ 315
2位 ヒュンダイ 256
3位 Mスポーツ フォード 125
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