■最終型となった7代目「S15」型「シルビア」の魅力とは
かつて販売されていた日産「シルビア」は、誰もが楽しめる軽量FRシャシーの運転感覚を大きな価値とした一台です。
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2025年10月、「くるまのニュース」編集部の独自取材に対し、日産のイヴァン エスピノーサCEOが「シルビアを復活させたい」と発言し再び注目を集めています。本当に実現する日は来るのでしょうか。
シルビアの歴史は1965年に始まりますが、真価が広く認められたのは1988年登場の5代目「S13」型からです。
最終型となった7代目「S15」型は1999年1月にデビューし、約177万円からという手頃な価格でコンパクトFRスポーツの集大成を示したモデルでした。
特徴は、3ナンバーだった先代から5ナンバーサイズへと回帰したシャープなデザインにあります。
2リッター直列4気筒エンジンと後輪駆動(FR)の組み合わせ、そして俊敏な特性を持つマルチリンク式リアサスペンションも備えていました。
居住性は限定的でしたが、純粋な運転の楽しさがそれを補って余りある魅力でした。
最終型S15の「スペックR」は、全長4445mm×全幅1695mm×全高1285mmのボディに、最高出力250PSの2リッターターボエンジンを搭載し、6速MTが組み合わせられました。その歴史は、S13型の大ヒットなどを経て、2002年8月に幕を下ろしています。
シルビアの生産が終了した公式な理由は、2002年当時の新たな排出ガス規制への対応が困難だったためです。しかしその背景には、より深刻な要因がいくつも存在しました。
2000年代初頭はミニバンやSUVが主流となり、クーペ需要が激減。国内専売に近かったS15型は、この市場変化の影響を強く受けました。
さらに、厳しくなる衝突安全基準、特に歩行者頭部保護基準への対応も課題でした。シルビアの象徴である低いノーズデザインのままでは、基準を満たすのが困難になりました。
加えて、当時経営危機にあった日産は、投資を「フェアレディZ」と「GT-R」に集中。排ガス規制は引き金でしたが、市場の縮小や安全規制の強化がシルビアの運命を決定づけたといえるでしょう。
■日産のCEOも「最高の軽量スポーツカー」と評価する「シルビア」が復活する可能性とは
現在、シルビアの中古車は全世代を通じて「希少」な状態にあります。特に米国の「25年ルール」による海外輸出が加速し、国内での流通台数は著しく減少しています。
相場は異常な高騰を見せており、S15型はおおむね200万円から600万円超で取引され、中心価格帯は300万円超に達しています。特にターボの「スペックR」の6速MT車は高い人気を誇ります。
中古車市場では、低走行のノーマル車と激しくカスタムされた個体とで価格が二極化しており、前者を見つけるのは極めて困難です。維持のハードルも高く、純正部品の多くは製造廃止となり入手困難ですが、日産の「NISMOヘリテージパーツ」プログラムによって一部の部品が再供給されはじめています。
一方SNS上では、シルビアを再評価する声が後を絶ちません。S15型のシャープな造形は「時代を超越した美しさ」として称賛されています。
また、ドライバーの操作がダイレクトに挙動へ反映される純粋な運転感覚は、現代のクルマにはない「アナログ感」として多くのファンを惹きつけています。
さらに冒頭のイヴァン エスピノーサCEOの談話も、今回復活への期待を加速させました。
しかしシルビア復活の可能性は、現段階において極めて低いといわざるを得ません。
まず現行プラットフォームにコンパクトなFR車に適したものが存在しないことが挙げられます。
また電動化を核とする経営戦略を掲げる以上、新たな内燃機関スポーツカーの開発は時代に逆行するうえ、仮に現代の基準で新たに開発すれば、価格は400万円を超えて「手頃さ」は失われるでしょう。
500万円台のFRスポーツカーであるフェアレディZに加え、新たなFRクーペを投入する余地は乏しいのが現実です。
イヴァン エスピノーサCEOはインタビューのなかで、S15型シルビアを「私たちが作った最高の軽量スポーツカーのひとつだ」と高く評価しています。
しかし一方で、「今日の法規制や衝突安全性能などを考えると、これほど軽量なシャシを持つクルマを作るのは非常に困難です」とも正直に語っていました。
※ ※ ※
シルビアは単なる過去の名車ではありません。その価値は「軽量FRを操る純粋な喜び」にあり、だからこそ今なお人々を魅了するのです。
イヴァン エスピノーサCEOは、「復活はいまだ『頭の中のアイデア』に過ぎない」と前置きしつつ、シルビアの価値が若いユーザーも含め、未来の日産ファンを生み出す力のあるブランドだとも語っています。
シルビア復活の可能性は極めて低い状況ですが、それでもCEOの想いが実現する「奇跡」を今から期待して待ちたいところです。(佐藤 亨)
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