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いよいよF1復活も、事前準備の段階でチームに格差/スペイン人ライターのF1便り

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いよいよF1復活も、事前準備の段階でチームに格差/スペイン人ライターのF1便り

 7月3~5日にF1第1戦オーストリアGPが開幕する。長い期間、マシンで走行できなかったドライバーたちは事前のテストは大きなメリットとなっただろう。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがF1開幕前のテストについて語る。

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 3月のF1オーストラリアGPの中止からほぼ4カ月が経ったが、F1は2020年シーズンを7月のオーストリアGP/レッドブルリンクで開幕する。オーストラリアとオーストリアは名称は似ているものの同じ国ではない……というばかげた冗談はさておき、F1の活動がようやく始まるのは良いことだ。しかしレース再開前に、ドライバーとチームが最も重要な問題を避けたいのなら、準備を行う必要がある。F1グリッド全体は、7カ月ぶりのレースをどのように始めたらよいのか?これは容易な挑戦ではないが、各チームの状況によってさらに複雑になっている。

 問題のないケースは、メルセデス、ルノー、レーシングポイント、フェラーリだろう。これらチームは今年最初のレースの前にマシンをコースで走らせることができている。彼らにアドバンテージがあるのは明らかだ。ドライバーたちはフリー走行に出る前にF1マシンの感触をいくらか得ることができているのだ。少なくとも理論上は、彼らはレースウィークをより有利な形でスタートできるということだ。ルイス・ハミルトンやバルテリ・ボッタスが少なくとも競技の前にドライブすることを目にしても驚きではない。だが当然ながら全員が幸運に恵まれているわけではなく、状況によって違ってくる。

 悪い例はレッドブルとマクラーレンだ。興味深いことに彼らはホンダと関係しているという共通点がある。レッドブルは現在ホンダのエンジンを使用しているが、一方のマクラーレンはレッドブル以前に使用していた。だがどうしてこれが悪い例なのかを知るためには、まず我々はF1にルールがあることを理解する必要がある。

 ルールにより、チームのマシンはテストに使用できる日数が制限されているのだ。まずテスト日数は、2週間のうち各3日ずつに制限されており、テストはパルセロナでの公式プレシーズンテストで行う。その日数を超える場合、その日は“フィルミングデー”として取り扱う。ただこの走行については特別なルールがあり、それほど自由はない。それでもルノーやレーシングポイントのようなチームはこの選択肢を選んだ。

 しかしF1のルールには、もしチームが自由にマシンを走行させたいのなら、最低でも2年落ちのマシンを使用することと明記されている。言い換えれば、どのチームも2020年に制限なしでテストを行いたければ、2018年型かそれ以前のマシンを使用しなければならない。フェラーリも2018年型マシンをフィオラノに持ち込み、チームがオーストリアに出発する前にテストを行なった。シルバーストンでテストを行ったメルセデスも同様だ。レッドブルのケースでは、明らかな問題があった。彼らの2018年マシンはルノーのエンジンが使われているが、彼らは現在ホンダと提携しているのだ。そのために彼らはふさわしいマシンを走行させることができなかった。適切なエンジンを入手できないからだ。

■古いルノーのエンジンが使えなかったマクラーレン
 もうひとつの“悪い例”はマクラーレンだ。彼らも同様の運命に苦しめられた。エンジンが理由でテストを行えなかったのだ。彼らのケースでは、2018年マシンはルノーのエンジンを積んでいた。しかしルノーとの契約は、古いパワーユニットを積んだ旧型マシンの使用については網羅していなかったのだ。そういうわけで、カルロス・サインツJr.とランド・ノリスは、新シーズン開幕前にテストが行えず、他の選択肢を探さなければならなかった。マクラーレンの場合、カーリンと良好な関係にあることが幸いした。ふたりのドライバーがオーストリアの前にいくばくかの走行距離を稼げるように、カーリンからF3マシンを借りることができたのだ。それでも完璧な状況からはほど遠い。

 だがF1の全員にとって、小型のレーシングカーを走行させることは、なんのレーシングカーも走らせないよりはましだということは明確だ。その根拠は、ドライバーは身体的にスピードになれる必要があることにある。彼らの反応時間がよく訓練されることは明らかだ。また一部のドライバーは、iRacingや、rFactor 2、また2019年公式F1ゲームなどオンラインでレースをしてきた。こうしたことは彼らの本能を鋭くしておくことの助けにはなるだろうが、本物のマシンをコースで走らせることとは大きく違う。それが、マクラーレンがドライバーにF3マシンをドライブさせた理由だ。しかもそれはダラーラF317ではなく、さらに古いF312だった。だがそうしなければ、サインツJr.とノリスには何かが欠けたままだっただろう。

 専門家によると、人間は実際に意識した記憶よりも、筋肉が蓄えた記憶から多くを学ぶのだという。靴紐を結ぶことや、コンピュータのタイピングをするようなことを考えてみてほしい。そうしたときは、やっていることについて特に意識的に考えてはいないだろう。それは頭に深く染み込んでおり、身体がほとんど本能的にどのようにやるかを記憶しているのだ。ドライバーにとって、レッドブルリンクでのレースに100パーセントの状態で臨みたかったら、その感触をふたたび感じておくことは重要だ。それでも、彼らが最高のパフォーマンスを出すところを想像するのは難しい。確かに、一部のドライバーは他のドライバーよりも良いコンディションにあるかもしれない。その理由の一部は、最初のレースの前の1カ月にどのようなトレーニングをすることができていたかということになるだろう。

 個人的には、F1は追加のテストデーをレッドブルリンクで開催することもできたのではないかと感じている。2020年型マシンを3、4時間ほど実際に走行させるのは誰にとっても良いことになったと思う。現状では、一部のチームが2020年マシンをドライブできた一方で、他のチームは2018年マシンを走らせることを余儀なくされ、また、適切なF1マシンではなく、F3マシンの使用を頼みの綱にしなければならなかったのは、不公平だと考えている。とにかく、レース日程が近づいているなかではっきりしていることは、誰もが待機期間が終わることを喜んでいるということだ!


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