ICE(内燃機関)のラインアップを充実させる一方で、BEVへの移行を進めつつあるフォルクスワーゲン。BEVのスポーツモデルという位置づけのID.4 GTXは、けれん味のない高性能を与えられていた。(Motor Magazine2021年8月号より)
フロントに160ps、リアに204psのモーターを搭載
おおよそ予想はできていたが、フォルクスワーゲンはEVシリーズにもスポーツモデルを追加してきた。そしてその最初のモデルが、今回試乗レポートをお届けするID.4 GTXである。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
ID.3でなく、2番目に登場したクロスオーバーのID.4をベースにしたのはこのモデルは最初からグローバル戦略車として世界市場を睨んでいるため。とくに北米市場は4WDは不可欠という判断もある。
「GTX」というネーミングだが、ガソリンエンジン搭載のゴルフのスポーツモデルがGTI、ディーゼル仕様がGTD、PHEVがGTEと続き、EVスポーツにはXが選択された。Xは業界では4WDの象徴でもあるが、フォルクスワーゲンはグランドツーリングのGTと「未来のモビリティに繋がる架け橋を象徴すX」と説明している。
試乗車は全高が1616mmとスタンダードよりローダウンしたシャシに、オプションの大径スポーツタイヤ(前:235/45R21、後:255/40R21)を装着している。大きく開いたホイールアーチを囲む黒いプラスチックトリムは初代GTIを思いだす逞しくスポーティな雰囲気を放っていた。
GTXらしさを表すエクステリアの特徴はフロント左右のダミーグリル内にある3つのLEDライト。ヘッドライトは標準でマトリックス機能を持ったIQ.LEDでハイテックな表情を作る。GTXのロゴを中央に配したリアはLEDブレーキライトがX字に点灯する。
インテリアはドライバーの正面に5.3インチのディスプレイ、そしてダッシュボードには10インチ(オプションで12インチ)のタッチパネルが用意されている。インテリアトリムはGTX専用でブラックとブルーの内装にGTIのアイコンでもある赤いステッチとインテリア照明でスポーツムードを盛り上げている。
パワートレーンはフロントに160psのモーターが追加され、リアの204psのモーターと合わせてシステム出力は299ps。加速性能は0→100km/hを6.2秒、最高速は180km/hに達する。電池のエネルギー容量は77kWhで航続距離は480km(WLTP)となる。
一般路ではやや固めの足も、アウトバーンで真価を発揮
ゴルフRにも採用されているオプションのスポーツシートに身を任せ、ドライブセレクターをDに、さらにエコ、コンフォート、スポーツ、インディビジュアル、そしてトラクションの5つのドライブプロファイルの中からコンフォートを選択して試乗開始だ。
アダプティブダンパーとプログレシブステアリングシステムが装備されるスポーティなシャシは一般道路ではややゴツゴツとした感じがあるが不快ではない。アウトバーンでのおよそ100~130km/h巡行では快適な乗り心地で文字どおりツーリングを楽しめた。
フロントは358mm径のディスクブレーキ、リアはドラムブレーキだが回生ブレーキの助けもあって制動能力は十分だ。山間路でスポーツを選択すれば敏捷さは増して、高さ1.6mとは思えない安定した姿勢でコーナーをクリアする。
低ミュー路やコーナリング時の4WDへの移行は数マイクロセカンド単位で行われるためにドライバーはまったく気が付かない。消費電力はNEDCで100kmあたり19.1kWhから18.1kWhで、DC急速チャージャーを使って30分で300km分の給電が可能と発表されている。
価格は独でベースモデルが5万0415ユーロ(約665万円)からで、すでに受注が始まった。ただし残念ながら日本市場での販売は予定されていない。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)
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みんなのコメント
アドバンテージが有りそうに思う。
日産のBEV技術もすてたもんじゃない。
BEV市場としてはガラパゴの日本には持ってこないみたいだから、欧米中の主戦場で頑張って欲しいね。