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ヤマハが4輪EVレースの「フォーミュラE」に参戦する理由

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ヤマハが4輪EVレースの「フォーミュラE」に参戦する理由

「電気自動車のF1」ことフォーミュラEの東京戦「ABB FIAフォーミュラE 世界選手権 シーズン11」が5月17日、18日に開催。東京ビッグサイト周辺につくられた約2.5kmの特設コースを、電気自動車(EV)のフォーミュラカーが駆け抜けた。参戦1年目のヤマハの動向にも注目が集まっている。

「東京E-Prix」として17日に第8戦、18日に第9戦と2つのレースが行われるが、17日は大雨の中、予選が中止になるなど早くも波乱のスタートとなった。大荒れの第8戦を制したのは「マセラティMSGレーシング」のストフェル・ヴァンドーン選手、2位が「日産フォーミュラEチーム」のオリバー・ローランド選手、3位が「NEOMマクラーレン フォーミュラEチーム」と続いた。

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◆参戦5戦目で表彰台のヤマハ、ホームでのレースは
東京での開催は昨年に続いて2回目。日本メーカーでは日産が当初より参戦しているが、今シーズンよりヤマハ発動機が、長年レーシングカー開発を手掛けてきた英ローラカーズと独ABTとともに「ローラヤマハABT フォーミュラEチーム」(以下、ローラヤマハ)として初参戦。日本のファンも注目の展開となっている。

1年目のローラヤマハはマシンの調整に試行錯誤する中、4月に米マイアミで行われた第5戦で早くも2位表彰台の快挙を成し遂げた。上位陣が降格となったことなどが同チームにとっての追い風となったが、17日のレース前にヤマハ発動機 常務執行役員の丸山平二氏は「本当に驚きだった」と振り返りながらも、「ただ大事なのはトップ争いができるポジションに常に安定的にチームがいられるかどうか。全体の制御やエネルギーマネジメントを、ヤマハとしては縁の下の力持ち的にしっかり支えながら、チームの戦いに貢献していきたい」と謙虚な姿勢を示した。

またローラカーズのティル・ベヒトルスハイマー会長は、「フォーミュラEは非常に競争の激しいシリーズ。すぐに勝てるわけではなく、学びながら構築する必要がある。ヤマハとの提携を継続できることは、このプログラムにとって非常に重要」としながら、「ホームでレースをするのは本当に素晴らしいこと。チーム全体にとって大きなモチベーションになる。ヤマハとの関係も良好で、日本のファンの前で良い結果を出せるよう全力で臨む」と意気込みを語っていた。

17日の第8戦では22台中、16位と17位と振るわなかったが、晴天が期待される18日の第9戦に賭ける。

◆ヤマハがフォーミュラEに参戦する理由
ヤマハは2輪車メーカーとして国内外で広く知られており、MotoGPなどのレース活動もおこなっているが、なぜ4輪のしかもEVであるフォーミュラEに参戦するのか。

実はヤマハはかつて1990年代にF1に参戦していた歴史があり、かつトヨタの名車『2000GT』の開発をはじめ、今も4輪向けエンジンの開発・生産をおこなっているサプライヤーでもある。そして4輪向けの電動パワートレイン開発も積極的におこなっている。ヤマハは2050年のカーボンニュートラル実現に向けた次世代パワートレインの研究開発を推し進めており、そのひとつの手段としてフォーミュラEへの参戦を決めた。ここで培ったノウハウは4輪だけでなく、2輪、マリン、ロボティクス技術などさまざまな領域で活用できるという考えだ。

ヤマハがフォーミュラEで特に注力するのが「エネルギーマネジメント」だ。フォーミュラEは全チームが同じバッテリーを使用する。つまり決められたエネルギー量の中で、いかに速く、かつ消費電力を抑えながら完走できるかが勝負の決め手となる。これをレースの世界で磨き上げることで、4輪、2輪に限らずあらゆる電動モビリティの商品開発につなげていくねらいだ。ヤマハにとってフォーミュラEへの参戦は「学びが大きい」と丸山氏は語る。

「エネルギーマネジメントと高度な制御というのは、これからの商品開発にとって、商品の価値を決める大きな柱の1つ。非常にダイレクトなフィードバックがかけられる領域だと思っている。特にバッテリーのコストはまだまだ高止まりしているので、限られたエネルギーで長いレンジ(距離)を走らせる、あるいはパフォーマンスを発揮させるエネルギーマネジメントというのは非常に大事で応用が利くと思う。開発手法においては非常に早い流れで世の中が変化している中で、我々としていかに早く商品価値を市場に問うていくかという時に大きな力を発揮すると考えている」(丸山氏)

開発手法そのものも大きく変わろうとしている。フォーミュラEのマシン開発においてはデジタルツインを本格的に導入している。フォーミュラEでは実際にテスト走行できる日数が限られており、それ以外はデジタル上で開発を進めるという手法が取られている。ここに難しさがある、と丸山氏は語るが「フィードバックはこれからだが、ここで得たノウハウは、我々のすべての開発にフィードバックをかけていく」と展望を語った。

ヤマハとローラは、来季2026-2027年シーズンから導入される第4世代マシン「GEN4」以降も技術提携を継続すると4月に発表している。2025年に創立70周年を迎えたヤマハ発動機。その挑戦の歴史に、また新たな1ページが加わろうとしている。

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みんなのコメント

5件
  • バイデン元大統領
    このレースでの経験は将来のEVバイクに生かされるだろう。ま〜日本人はEV嫌いだから、欧米や中国向けだね。
  • ぐっさん
    簡単やん(笑)
    エンジンすら自社で造れないトヨタ系企業なんやから、実験台にされて、トヨタ製電動車の心臓造れと言われているからです。
    技術は確かなんやし、YAMAHAはYAMAHAで独立企業として活きる道を考えたら良いのに。勿体ない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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