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『マツダ787』総合優勝へ向けて大いなる糧になった大改良と敗北【忘れがたき銘車たち】

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『マツダ787』総合優勝へ向けて大いなる糧になった大改良と敗北【忘れがたき銘車たち】

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回テーマは、ル・マン24時間レースに参戦したグループCカーの『マツダ787』です。

* * * * * *

『マツダ767B』3台揃ってのル・マン完走を果たし、そこから芽生えたさらなる野望【忘れがたき銘車たち】

 マツダは1989年にル・マン24時間レースへと挑んだ3台の『マツダ767B』を全車完走へと導いた。この年を最後にロータリーがル・マンに出場できなくなる……と、一部スタッフに伝わっていたこともあり、この767Bでマツダのル・マンへの挑戦は終了かと思われた。

 しかし、1990年もロータリーの参戦が許されたため、総合優勝に向けてマシンを大幅にポテンシャルアップする計画が立てられた。そうして生まれたのが今回紹介する『マツダ787』だ。

 マツダ787は、総合優勝を狙うために「100ps上げろ!」の大号令のもと、1990年より『R26B』へと改称した4ローターエンジンのパワーアップが図られた。それまでマツダ社内でタブーとされていたブロックに穴を開け、プラグを従来の2本から3本へ増加。さらにトルク特性の改善を行うため、インテークマニホールドの長さを回転数に応じて無段階に変化させる可変吸気システムを採用した。

 また、ハウジング内に特殊な表面処理を施すなど、多岐に渡る改良を細部に渡って実施。結果的に100psには届かなかったものの、767B時代より70ps向上の700psを達成するに至った。

 さらに757より引き続いて、ナイジェル・ストラウドが手がけていたシャシー、ボディにも手が加えられた。モノコックは、パワーアップに耐える剛性を得るために、フルカーボンモノコックへと変更された。加えて、サルト・サーキットのコース特性に合わせてボディ幅、トレッドを縮小し、より低ドラッグを狙ったボディへとモディファイされた。

 マツダ787は、767Bとはスタイルこそ似ているものの、大きく生まれ変わったマシンとして誕生した。しかし、誕生と同時にいくつか問題も発生していた。

 それは、急ピッチでの開発となったことによる作業の遅れにより、通年通り全日本戦での熟成が行えないまま、実戦の初戦をル・マンで迎えることになったこと。そして、この年から全長6kmを誇ったサルトのストレート、ユノディエールに現在のようなシケインが2カ所設けられることとなり、コース特性が変化。低ドラッグを狙って施したモディファイが裏目に出る結果になってしまった。結果、787は苦戦を強いられた。結局、送り込んだ2台ともがトラブルによるリタイアする結果に終わった。

 こうして惨敗のまま、マツダは1990年でル・マンへのチャレンジを終えることになるかに思われた。しかし事態は一転、1991年もロータリーの参戦が可能となったことで、またまた状況が一変した。マツダは787での失敗を大いなる糧として、悲願のオーバーオールウインへの道を進んでいく。

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みんなのコメント

57件
  •  あのゴールをTVで視てた時………………………泣いた
    ル・マンで日本のメーカーが勝ったなんて夢のようでした
    富士で聴いたエキゾーストサウンドは忘れられない…
    思い出です!。
  • トヨタの独り相撲よりは凄い事だと思うのだが
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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