空白の期間が魅力を一層引き立てる
日本の「わびさび」という概念は、正確に定義することが難しく、日本人もなかなか説明できないと聞く。しかし、筆者(英国人)はグーグルと、平凡な中年の西洋人男性特有の誤った自信を持っているので、ここで定義してみようと思う。
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大まかに言えば、「わびさび」とは不完全さや儚さを重んじる美学だ。家具職人であり、『Wabi Sabi:The Japanese Art of Impermanence(わびさび――無常の日本芸術)』の著者であるアンドリュー・ジュニパー氏は、「不完全で、儚い、未完成のものに美を見出す美学」と表現している。
東京大学美学研究所の小田部胤久教授は、2020年にBBCのインタビューに対して、「わびさびは、物事を未完成または不完全なままで終わらせ、想像力を働かせる余地を残しておくこと」と語っている。
つまり、これは、無常に対する感謝や切なさを表現する、数多くの日本語の慣用句の1つと言える。同様に、「もののあわれ」という概念は、「物事の哀愁」や「はかないものに対する感傷」と訳される。
ここで、現行型の、まもなく生産終了となる日産GT-R、R35世代について触れておきたい。このモデルは、18年間という驚くべき生産に幕を閉じようとしている。自動車業界では、決して短い期間ではない。桜のように、開花してすぐに散ってしまうようなものではないのだ。
しかし、近年では、R35の寿命が近づいていることを意識せざるを得なかっただろう。発売当初、AUTOCAR英国編集部はR35を「世界一クレバーなクルマ」と呼び、日本のエンジニアたちも、職人が作るスイス時計に匹敵すると語っていた。
しかし、時が経ち、毎年のモデルチェンジのペースが鈍化するにつれて、かつての驚異的なパワーは影を潜め、ニュルブルクリンクのラップタイムも他車に追い抜かれてしまった。
すでに英国を含む多くの市場で販売が中止されており、最新の安全基準や排出ガス規制に適合しなくなったため、数か月以内に生産が完全に終了する。後継モデルは当面、予定されていない。
そして、日本人にとって、その状況は問題ないようだ。もちろん、筆者の誤解かもしれない。彼らは、休み時間に職員室をノックした生徒に対して怒る教師よりも怒っているかもしれない。
だが、筆者はそうは思わない。日本人の3分の2は仏教徒であり、その教義では、すべての存在は「無常で、儚く、不変」であるとされている。あらゆるものが生まれては消えていくことを受け入れるという考えがある。
ジャガーが現在スポーツカーを生産していないことを不安に感じる人もいるが、これはマスタングなきフォードや、911なきポルシェなど考えられないのと同じだ。しかし、GT-Rの新型がしばらく登場しないことは、ほぼ当然のことだと受け止めるべきだろう。有難いものなのだ。
同様に、世代間に何年ものギャップが生じ、あらゆる面で異例な存在となっているホンダNSXも挙げられる。マツダのロータリーエンジン車も同様だ。
あるいは、トヨタ2000GTの精神的な後継車と言えるレクサスLFAもそうだ。すべては生まれ、そして消えていった。後継車はおそらく登場するだろう。しかし、どうなるかは誰にもわからない。
日産は、新しいGT-Rを作ると約束している。新CEOのイヴァン・エスピノーサ氏は最近、「当社のラインナップのトップに、ブランドを象徴する4~5車種、つまり日産の本質と鼓動を体現するクルマを置きたい」と語った。
GT-Rの後継車がすぐに登場しないのには、現実的な理由もある。日産は、ビジネスを季節ごとの趣味のように扱う人々が経営しているわけではない。
日産には、欧米系の幹部たちもいる(またはいた)が、彼らは非常に巧妙な予算配分で、370Zの直接的な後継車としてZを量産化する道を見つけた(その中身は370Zと非常に近い)。
もし日産が今、GT-Rのガソリンエンジン搭載の後継車を作った場合、望むすべての地域で販売できなくなる可能性がある。発売から20年近く経つ頃には、なおさら難しいはず。
「これらのクルマは世界中のあらゆる場所を走るはずだ」とエスピノーサ氏は言う。しかし、2023年公開の『ハイパーフォース』コンセプトのようなEVになったとしたら、現在のバッテリー技術では、ノルドシュライフェを何周走れるか、そして何台売れるかという点で限界が生じるだろう。筆者の理解では、消費者はEVのドライバーズカーを熱望しているわけではない。
新しいGT-Rがどうなるかは、まだ決まっていない。現在のモデルは場違いで、時代遅れで、生産終了間近だ。そして、わたし達はそのことを有難く受け入れるべきだと思う。
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