GT-Rらしからぬショートサーキットも得意な“軽快さ”を実現!
要所を見極めた高バランスチューン
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長年に渡り大手チューニングパーツメーカーの開発者として活躍してきた今村代表が、豊富なモータースポーツ経験をフィードバックしてトータルバランスに優れたマシンを作り上げるラッシュファクトリー。メーカーを問わず様々なマシンを手がけているが、なかでもとくに力を入れているのがR35GT-Rだ。
性能を吟味したパーツを組み合わせ、コストパフォーマンスの高いチューニングを実現するのが真骨頂だが、今回テストに持ち込まれたデモ車は、まさにそれを具現化した1台。エントリーユーザーにもぴったりのブーストアップ600ps仕様ながら、筑波サーキットコース2000で58秒台を叩き出す快速マシンなのである。
心臓部のVR38DETTは、腰下ノーマルでヘッドにRSE製の272度ハイカムを投入。インタークーラーはノーマルで、パイピングをサードのアルミ製としている。エアクリーナーはトラストのエアインクスだ。
パワー系でのポイントは、オリジナルECUセッティング。燃料とバルタイ、点火タイミングの最適化で、低回転から高回転までスムーズなパワー特性を獲得。ハイブーストに対する耐久性を重視しているのも特徴だ。
イグニッションプロジェクツの点火コイルは高回転での失火対策として導入しているが、ノーマルとの差は体感できるほどだという。燃料系はサードの強化ポンプに900ccインジェクターで容量をアップしている。
排気系はサードのキャタライザー内蔵フロントパイプに、アペックスのRSエボリューションエクストリーム(RSX)マフラーという組みあわせだ。
そしてこのマシンの最大の特徴となっているのが、サスペンションエンジニアの稲木さんが手がけたオリジナルサスペンションキットのRyuダンパー。ダンパーはアペックスN1ベースで、スプリングはハイパコ製。大柄なR35をホンダS2000のように振り回せることを目指した自信作だ。
ドライブトレインもしっかりとセットアップが施されていて、ミッションはオリジナル油圧アッププログラムでパワーアップに対応。前後のLSDはATSのカーボンディスクタイプをベースに、独自のカム角やイニシャルトルク設定で絶妙な効きを追求している。
さらに注目のアイテムが、2019年秋のリリースに向けて開発中というチェコのKAPS製アテーサコントローラー「AWD TCS」だ。PC接続によるマップ制御が可能なタイプで、細かく前後のトルク配分がコントロールできる。デモ車によるテストでは、日光サーキットでのベストラップが1秒アップしたというから驚きだ。
ホイール&タイヤは、前後11JのボルクレーシングTE37ウルトラトラックエディションに、285/35R20サイズのポテンザRE-71R。フロントは調整式アッパーアームを導入し、コースごとに最適なキャンバーセッティングを行っている。
ブレーキキャリパーは前後ともエンドレスのモノブロック、ブレーキローターもエンドレスの2ピースタイプで、オプションのエアガイドも装着。ブレーキパッドはPFCをチョイスしている。
標準車用のM12ハブボルトは、ハードなサーキット走行でナットの緩みなどの原因となることがあるので、ニスモ用のM14ボルトに変更。これは、あらゆるR35ユーザーにオススメとのこと。
外装は、フロントがフェニックスパワーのバンパーにリプロの片側35mmワイドフェンダー、追加している2枚のカナードはメーカー不明とか。リヤはノーマルバンパーにサードのGTウイングとなっている。
一方の内装は、メーターまわりはほぼノーマルで、ラップモニターが追加されているくらい。センターコンソールにあるオレンジ色の装置は、データロガー機能付きの車載カメラのコントローラーだ。
ハードな走りを支えるドライビングシートは、レカロのRSMとしている。カモフラージュ柄が目立つレーシングハーネスはHPI製だ。
このチューンドを試乗したターザン山田選手は「ちゃんと仕事はしてるけど変な主張はしてこないサスペンションと、フロントのトラクションがドンピシャな駆動配分になっているから、ウエット路面でも立ち上がりでしっかりと踏んでいける。エンジン、足回り、ブレーキがストレスフリーの高バランスなので、まるで軽いクルマを扱っているようなフィーリングだね」と評価。
パワーの出し方とサス、駆動系のマッチングで、どんなステージでもストレスなく踏んでいけるラッシュファクトリーのR35。VR38DETTブーストアップ仕様の新たな可能性を感じさせてくれたチューンドだ。
●取材協力:ラッシュファクトリー 神奈川県伊勢原市歌川2-2-10 TEL:0463-73-5937
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