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イモラ、今年でF1開催契約終了も“サンマリノGP復活”でカレンダー生き残りを賭ける。母国スター誕生が追い風に?

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イモラ、今年でF1開催契約終了も“サンマリノGP復活”でカレンダー生き残りを賭ける。母国スター誕生が追い風に?

 2025年のF1エミリア・ロマーニャGPを前にしたプレゼンテーションの中で、将来的なグランプリ開催に向けて興味深いプランが浮上した。開催権をめぐり世界各国が枠を取り合うF1カレンダーの中に生き残るため、戦略的な手段として「サンマリノGP」という名称を復活させるというモノだ。

 1981年から2006年にかけてイモラ・サーキット(エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ・サーキット)は、イタリア半島の小国サンマリノ共和国と提携しグランプリを開催してきた。

■F1開催契約まとめ|どのサーキットがどれくらいF1カレンダーに残る? ニューカーマーと伝統グランプリのせめぎあい

 2006年を最後にしばらく同サーキットでのグランプリは開催されなかったが、COVID-19のパンデミックによってF1開催カレンダーが維持できない危機に瀕した際、代替開催地として復活。名称もエミリア・ロマーニャGPとされ、複数年契約も結んだ。しかしその契約も今年(2025年)で満了。洪水により2023年大会が中止となったことで、契約が1年延長される可能性があるが、まだ確定していない。

 基本的にF1は、1国1開催が原則とされてきた。現在はアメリカで3戦を実施していることからも分かる通り形骸化しているものの、イタリアでふたつのグランプリを開催することを形式的に避けるための構造を、イモラは再び活用しようとしている。

 イタリアは以前も現在も、1国1開催の原則の例外であった。モンツァ・サーキットで開催されるイタリアGPに対し、イモラでのグランプリはサンマリノGPとすることで、この原則を避けてきたのだ。前述の通り現在のグランプリ名は”エミリア・ロマーニャ”とイタリアの州の名前が使われているが、今後はサンマリノの名前を復活させ、開催権の奪い合いが激化する状況を乗り越える一助としようとしているのだ。

「これは我々が真剣に検討しているプランだ」

 エミリア・ロマーニャ州のミケーレ・デ・パスカーレ知事はそう示唆した。

「ひとつの国でふたつのグランプリが開催できないことが問題なのであれば、以前にも解決策を見つけたことがある。今回だって可能だ」

■未来に向けた交渉もいよいよスタート

 サンマリノGPの復活はエミリア・ロマーニャ州の大きな構想の一端を担っており、今年のエミリア・ロマーニャGPの週末にはF1のステファノ・ドメニカリCEOとの交渉が正式にスタートする。

 グランプリを誘致するため、数ヵ国がF1と交渉を進め、1年あたり4000万ユーロ(約65億円)にも達する開催費を支払うことにも頷いている。それでもデ・パスカーレ知事は闘志を見せている。

「イモラとこの地域は、他にはないイタリアのアイデンティティを象徴している。モーターバレーは、ヨーロッパの自動車産業における技術革新の中心地だ。資金はあるし、2026年の開催も既に予定している」

 グランプリのプロモーターは、2025年のエミリア・ロマーニャGPを名刺代わりにしたいと考えている。イモラのマルコ・パニエリ市長は、サーキットにグランドスタンドを新設することを発表し、1日の収容人数の上限を9万2500人に増やすことを明らかにした。

 今年は週末を通して約21万人が訪れる見込みであり、決勝日のチケットは既に完売。コース自体も全面的に改修された。

 イタリア自動車連盟ACIの新コミッショナーを務めるトゥリオ・デル・セッテは、グランプリに向けた準備について次のように説明した。

「ピットボックスの近代化、インフラの改善、その他の物流の介入は不可欠なステップだ」

「このグランプリは、地元経済と文化の貴重な原動力となっている」

■アントネッリが新たな広告塔に

 プレゼンテーションでは、エミリア・ロマーニャGPの公式ポスターも発表され、フェラーリのルイス・ハミルトンやマクラーレンのランド・ノリスといった有名ドライバーと並び、イタリア出身の新人、アンドレア・キミ・アントネッリが大きく取り上げられた。

 メルセデスから今季F1デビューを果たした18歳のアントネッリは、ジュニア時代から“神童”と呼ばれ、イタリア国内外から大きな注目を集めている。フェラーリの名前よりも先に、アントネッリの名前がプレゼンテーションで出たことも、それを象徴している。

 シンボリズムの小さな変化だが、この大きなストーリーにはマッチしている。イモラは伝統と革新の融合を望んでいるのだ。

 2026年以降もF1カレンダーにイモラが残るのに十分かどうかは、今後の交渉次第だ。しかしサンマリノという名称の復活は重要な役割を果たすだろう。

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みんなのコメント

7件
  • min********
    そもそもコロナでの限定復活だったんですけどね。
  • jag********
    オールドサーキットでセナの最期の地ということで人気はあるが、レースはいつも面白くないし、なくなってもいいサーキットではある。

    ここをやるなら、ニュルやホッケンハイム、マニクールやポールリカールを復活させるべき。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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