4月21日、イタリアのイモラ・サーキットでWEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間』レースの決勝が行われ、6番手からスタートしたTOYOTA GAZOO Racing(TGR)の7号車GR010ハイブリッドが逆転で今季初勝利を飾った。
マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリースの駆る7号車は、降雨によりコンディションが大きく変わった難しいレースを、完璧なドライビングと優れた戦略により戦い抜き、19台のハイパーカーによる激戦を制した。また、セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮の8号車も8番手スタートから順位を上げて5位入賞を果たしている。
「天気予報を信じられず」屈辱的敗戦のフェラーリ。ウエットへの交換が遅れ、コミュニケーションも破綻/WECイモラ
■リスタートでデ・フリースが一閃
6番手からスタートした7号車のコンウェイは、1周目から5番手へとポジションアップ。一方8番手スタートのブエミはコース幅が狭く、追い抜きの非常に難しいイモラ・サーキットの洗礼を受け、ポジションキープで序盤の周回を重ねた。
コース上での追い抜きが難しいイモラで、戦略とピット作業によってポジションを上げていったTGRは、2時間を過ぎたところで、7号車は3番手でデ・フリースへとドライバー交代。8号車も5番手で平川へとステアリングを託した。
3番手でコースに復帰したデ・フリースは前を行く2台のフェラーリに激しくプレッシャーをかけ続け、フルコースイエローからのリスタートのタイミングで絶好のダッシュを決めて2番手へと浮上。その直後、首位の51号車フェラーリ499Pがピットインしたことで、7号車が首位に立った。
3時間半が経過したところでコースアウト車両撤去のためバーチャル・セーフティカーが導入されると、各車はピットへ。ここで7号車は可夢偉、8号車はハートレーへと最後のドライバーチェンジを行う。
2台がコースへ復帰してまもなくセーフティカー先導走行へと移行すると、その間に雨が降り始め、路面コンディションが一気にウエットへと変化する。グリーンフラッグが振られるとすぐに2台のGR010ハイブリッドはピットへ向かい、ウエットタイヤへと交換。この早めの判断が功を奏し、可夢偉の7号車は2番手に20秒以上の差をつけての首位に。ハートレーの8号車も3番手に浮上した。
雨が止んでコースが乾くなか、レースが残り1時間となったところで2台のGR010ハイブリッドは最後のピットストップを行い、スリックタイヤへと交換。その少し後にライバル勢も続いて最後のピットへ向かったことで、可夢偉の7号車は2台のポルシェ963を従え首位に返り咲いた。
ハートレーはピットアウト直後、まだ湿っている路面でのタイヤ温度を上げるのに苦しみ、2度にわたってグラベルへとコースオフを喫したが、無事コースへ復帰。タイヤが温まると、ハートレーはその時点でのファステストラップを連発しながら追い上げ4番手へとポジションをアップ、さらに3番手のポルシェに迫った。
しかし、TGRの2台は最終ピットがライバル勢よりもやや早めのタイミングだったため、追加の給油なしで走り切るために、ややペースを落とし燃料をセーブする効率的な走行を強いられることに。
終盤、首位を行く7号車可夢偉は2番手の6号車ポルシェ963からの猛烈な追い上げを受け、最後の30分は1秒差以内での息詰まる首位攻防戦が続いた。
だが可夢偉は見事これをしのぎ切り、トップでチェッカー。TGRと7号車にとってのWECイタリアラウンド2連勝を飾った。8号車のハートレーは、最終ラップにフェラーリ50号車にかわされたが、5位でフィニッシュし貴重なポイント獲得を果たしている。
TGRにとって今季初となったこの勝利により、WECのマニュファクチャラーズ選手権ではポルシェとの差を9ポイントに縮め、また7号車のクルーは、ドライバーズ選手権でトップと16ポイント差の2位となっている。次戦、WECは5月11日(土)にベルギーのスパ・フランコルシャンで行われる。
TGRからWEC第2戦決勝に挑んだ6名のドライバーコメントは、以下のとおりだ。
■「最高の仕事をしてくれた皆に感謝」
■小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
「とてもタフなレースで、本当に驚くべき勝利です。我々のGR010ハイブリッドはこの週末最速ではありませんでしたが、チームが素晴らしい仕事をしてくれました。マイクとニックも最高の走りで、上位争いへとポジションを上げて私にバトンを託してくれました」
「私の担当スティントでは、雨の中スリックタイヤで首位を守らなくてはならなかったので、最初から大変なプレッシャーとなりました。ウエットタイヤへ交換した我々の判断は的確で、後続との差を広げることができ、その後もウエットタイヤで良いペースを維持できました」
「最後のスティントは、燃料が最後までもつか確信が持てなかったので、燃料セーブに全力を尽くしました。本当に大変でした。優勝を争えたのは、戦略面でもチームが本当に素晴らしい仕事をしてくれたおかげです。最高の仕事をしてくれた皆に感謝しています」
■マイク・コンウェイ(7号車)
「最後まで本当に緊迫したレースだった。可夢偉は最後、燃料をセーブしながら首位を守るという、素晴らしい仕事を成し遂げた。いつものように彼はプレッシャーを跳ね除ける走りで、走っていた彼の心拍数よりもピット内で見ていた僕の心拍数の方がきっと高かったのではないかと思う」
「ニックのスティントも見事だった。僕が担当したスタートでは、混乱に巻き込まれることなく、上位を目指した」
「ここイモラでの、僕にとって初めてのレースは最高に楽しかった。ピットクルーの作業は素晴らしく、戦略もこれ以上無いほど良かった。チームとトヨタの全員でこの勝利を祝いたい」
■ニック・デ・フリース(7号車)
「僕自身、久しぶりに表彰台の中央に立つことができて最高の気分だし、チームメイトとそれを共有できたことも嬉しい」
「可夢偉とマイクと一緒に同じ車で戦って勝てたことは本当に嬉しいし、誇りに思う。彼らと、チームみんなの最高の仕事に本当に感謝している」
「すべての戦略が的確で、すべてのスティントで力強く走ることができ、誰もミスすることなく走り抜いたことで驚きのパフォーマンスを示せた。全員が完璧なレースを戦った結果で、真に勝利に値すると思う」
■セバスチャン・ブエミ(8号車)
「見事なパフォーマンスで勝利を飾った7号車、おめでとう。カタールでの戦いからここでの勝利へと導いた、素晴らしい復活劇だ」
「僕らの8号車にとっては難しいレースとなってしまった。8番手からのスタートだったが、追い抜きが難しい中での戦いを強いられた。それでもポジションを上げていき、表彰台を争い、最終的に5位でフィニッシュできた。満足いく結果ではないが、チームにとっては素晴らしい一日だったし、僕らも次戦スパでは力強く上位争いに加われるよう努力を続ける」
■ブレンドン・ハートレー(8号車)
「フェラーリのホームコースで優勝を果たしたチームに、最高の祝福を贈る。フェラーリの方が速いことは明らかだったが、7号車は適切なタイミングで適切なカードを切って、見事な走りでトップフィニッシュを果たした」
「僕ら8号車にとっては厳しい一日だった。表彰台まであと一歩だったし、ここでのレースは最高だった」
「僕の最後のスティントは、燃料をセーブしながらの走りを強いられ、ファイナルラップでポジションを落とすことになってしまったのは悔しい。最終的な結果は望みどおりではなかったが、チームのパフォーマンスは素晴らしかった」
■平川亮(8号車)
「優勝した7号車のみんなと、表彰台の中央に返り咲いたチームを祝福します。勝てるとは誰も想像していなかったと思いますが、チームが素晴らしいパフォーマンスを発揮し、クルマからすべてを引き出してくれました」
「チームがこの好結果を達成できたことはとても嬉しいです。我々8号車は、ファイナルラップで4位を失うことになったのが少し残念ですが、レースでは起こり得ることですし、この悔しさをバネにして、次戦ではもっと強くなって戻ってこなくてはなりません」
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みんなのコメント
本当に今のWECはメーカーの技術力をないがしろにして意味のわからない平等性を謳いレースを操作しているがそんな事ばかりしていたら最終的に客は飛んでいく。
新参やヨーロッパ勢に有利な条件ばかりいくらトヨタが頑張っても然程技術力のないメーカーにまで遅れを取るのは納得出来ない。