4月23日に発売したホンダの新型ヴェゼルの累計受注台数が、発売約1カ月後には3万2000台を超え、月間販売計画の6倍以上という好調な立ち上がりとなっている。
新型ヴェゼルがこれほどまでに好調に売れている理由はどこにあるのか? そして、この好調ぶりはこの先も続きそうか? モータージャーナリストの島崎七生人氏が考察する。
ハリアーとキックスに再試乗!! 発売から1年でその評価は変わったか??
文/島崎七生人
写真/HONDA、ベストカーWeb編集部
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■グレード別ではe:HEVの「Z」が圧倒的に人気!
新型ヴェゼルの立ち上がりが好調だ。発売後約1カ月には3万2000台を超える累計受注台数を記録し、これは月間販売計画の6倍以上というもの。
受注状況を見ていくと、ハイブリッド車のe:HEVが全体の93%と大半を占め、FFと4WDの比率ではFFが81%と多い。
ボディカラーの人気は、G/e:HEV、 X/e:HEV、 Zの単色系ではプラチナホワイト・パール(33%)、クリスタルブラック・パール(18%)、プレミアムサンライトホワイト・パール(17%)、2トーンはe:HEV PLaY専用の設定であり、プレミアムサンライトホワイト・パール&ブラック(6%)、サンドカーキ・パール&ブラック(4%)、ミッドナイトブルービーム・メタリック&シルバー(1%)の順。
ちなみに新型ヴェゼルの場合、カタログを見るとクリスタルブラック・パールとクリスタルブラック・パール&シルバーの2色を除き、全ボディカラーがメーカーオプションの扱いで、色により2万7500円~6万500円(消費税10%込み)に設定されている。
一方でグレード構成比を見ると、e:HEVのZ(76%)、PLaY(12%)、X(5%)の順で、これにガソリンのG(7%)が続く。
1番人気のe:HEVのZの価格帯はFFの289万8500円~4WDの311万8500円、e:HEVのPLaYはFFのみの設定で329万8900円。対してGはFFがシリーズではもっとも手ごろな227万9200円、4WDが249万9200円となっている。e:HEVのZはXに対して+23万9800円の価格差がつく。
新型ヴェゼルの1番人気はe:HEVのZグレード。約300万円前後の価格となるが、装備が充実しており、満足度が高いモデルとなっている
けれどXに対してZで追加される装備は、LEDシーケンシャルターンシグナルランプ(フロント)、18インチアルミホイール(Xは16インチ)、ハンズフリーアクセステールゲート(予約クローズ機能付き)ほか、LEDアクティブコーナリングライト、安全運転支援機能のブラインドスポットインフォメーション、親水/ヒーテッドドアミラー+熱線入りフロントウインドウ(FF/4WD)。
さらに内装・装備関係では本革巻きステアリングホイール(スムースレザー)+ステアリングヒーター、運転席&助手席シートヒーター(FF/4WD)や左右独立温度コントロール式フルオートエアコン、トノカバー、リヤベンチレーション、後席充電用USBジャック(急速充電対応タイプ2個付き)など。
かなり充実度が高まる。
プラスされるアイテムはほかにもあるが、あえて項目を列挙したのは、Xとの価格差以上の充実した内容がZには与えられていることを確認したかったから。
なるほど、このことを知ってしまうと、多くのユーザーが「e:HEVのZのFF(または4WD)でボディ色は+3万8500円のプラチナホワイト・パールにしてください」となるのだろう。
■購入層は先代からの買い替えだけでなく幅広い顧客を獲得できている模様
ホンダのリリースによれば、購入層は“先代ヴェゼルからの買い替えを含めたSUVユーザーを中心にミニバン、ハッチバック、セダンからの乗り換えなど幅広い層”という。
乗用車の平均保有年数は年々伸びているなかで、もはやブームらしいからSUVを選ぶ……ではなく、自分や家族にとって使い心地のいい実用車として長くジックリと乗れるいいクルマを選びたいよね、と考えるユーザーが多いことが、前述の装備内容の検証からも浮き彫りになる。
もちろん7年振りのフルモデルチェンジということで、先代ユーザーも心待ちにしていたであろうことも容易に想像がつく。
新型ヴェゼルの車両寸法は全長4330mm×全幅1790mm×全高1580mm(4WDは1590mm)で旧型とほぼ変わらないサイズに収まるが、デザインの違いで非常に伸びやかに見えるフォルムだ
B/CセグメントのSUVでは定番のブラックアウトされたリアドアハンドルなどは、旧型の意匠を受け継いだもの。しかし全体的なイメージは一新された。写真は16インチタイヤを履くXグレード
実際に試乗してみると、コンパクトなボディサイズはそのままに、フードが見渡せるなど視界がよりよくなり、取り回しが楽になっていたり、スッキリと居心地のいい室内空間、後席の広さ、それと圧倒的にしなやかに洗練された乗り心地などは実感するところ。
先代ユーザーの目からすれば、間違いなく進化感絶大に感じられるはずだ。
■プレーンなデザインのなかにもホンダのさりげない存在感の復活を感じる
それともうひとつ、新型ヴェセルの“新しい作風”にも注目しておきたい。正確にいうと現行フィットから(EVが打ち出しのホンダeは文脈が少し違う)だが、見るからに外連味のないプレーンなデザインは、ここ最近のホンダ車とは180度の転換である。
同時にヨソの日本車とはちょっと違う趣があり、(あくまでも個人の感想だが)それは2、3代目プレリュードやリトラクタブルライトの3代目アコード、ワンダーシビックなど、ホンダ車がさりげなく存在感があった頃を思い出させる。
発表当時、とあるSUVのいいところどりでは? との懸念もあったが、実車を見れば、杞憂であったことがわかる。プレーンな中にも存在感を感じる「ホンダ車」の特徴を引き継いだといえる
そういう時代を知っていればどこか懐かしく、知らなくても新鮮。いずれにしろ、こういうコロナ禍であればなおさら、快適な生活を送るにはこういうクルマがいいよね……、そんな感度をもつユーザーに選ばれそうだ。
ヴェゼルは海外市場では“HR-V”として展開されており、関係者の話によれば今回の新型の開発にあたってのリサーチでは、各仕向け地ごとのユーザーの声は概ね共通だったという。
■扱いやすいサイズのSUVとして、長く根強い人気を保つポテンシャルを持っている
なお現行フィットを引き合いに出すと、フィットの2020年2月13日の発表から約1ヶ月後の累計受注台数は3万1000台ほど、月間販売計画の1万台に対し3倍以上の立ち上がりだった。
お気付きと思うが新型ヴェゼルの月間販売計画は台数でいうとその半分だから、冒頭でも触れた6倍という数字がはじき出された。
ただしヴェゼルは、フルモデルチェンジ前の2020年1~12月の販売台数は乗用車ブランド通称名別で23位/3万2931台と、モデル末期ながら同じコンパクトSUVでヴェゼルより後発のトヨタC-HRの21位/3万3676台に対して好勝負をみせていた。
旧型ヴェゼルはモデル末期でもトヨタC-HRと互角の販売数を誇った。扱いやすいボディサイズながら、室内の広さが人気だった。ここに走りや乗り心地のよさが加わった新型は、安定して売れるだろう
同データでは今年3月にはさすがに42位/1789台まで落としたものの、4月に早くも13位/3716台/前年同月比=157.7%に浮上している。
だとすれば、B/Cセグメントの中間サイズというユニークな強みや乗りやすさはキープされているから、従来型からの買い替え需要も多く見込まれる。さらに他ブランド、他ジャンルからの乗り換えも加わり、従来型がそうだったようにジワジワと長く人気が続くのではないか、と予想する。
コロナ禍は依然として予断を許さない状況のなかだが、こういうクルマが世の中を明るくしてくれるチカラになって欲しいと思う。
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みんなのコメント
もしかしてそれは受注目標か?
販売実績が伴って無いだろ。
ホンダは何か痛々しい限りだな。