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自衛隊が「防弾ランドクルーザー」採用するの!? じつは世界中で実績多数! ただ課題も山積み

掲載 更新 63
自衛隊が「防弾ランドクルーザー」採用するの!? じつは世界中で実績多数! ただ課題も山積み

軽装甲機動車の後継はベストセラーの改造車

 NHKの2025年9月27日付け報道によれば、防衛省は陸上自衛隊が運用している軽装甲機動車(LAV)の後継について、大手自動車メーカーが市販する民間車を防弾化して導入する方針を検討しているとのことです。

【写真】ライフル弾がメチャ撃ち込まれたランドクルーザーのドアです

 ただ、軽装甲機動車の後継は以前から検討されており、防衛装備庁は2020年代前半にオーストラリア製の「ハウケイ(ハーケイ)」と、スイス製の「イーグルIV」を候補に挙げ、日本国内に実車を持ち込み、試験を実施しました。しかし、両車とも最終的に採用には至りませんでした。

 今回報じられた「民間車両の防弾化による導入」はこうした海外製軍用車の不採用に対応したものです。NHKの報道によると、防衛省はトヨタ自動車の「ランドクルーザー」2車種と、いすゞ自動車の「D-MAX」の計3車種を導入して防弾化し、各種試験の結果を踏まえて採用車種を選定する予定だといいます。

 軍用の専用モデルではなく民間車ベースを選んだ理由について、防衛省は公に説明していませんが、報道では「既存メーカーとの調達見積もりが想定以上に高額となったこと」が挙げられており、コスト抑制が大きな狙いとみられています。

 実際、民間SUVやピックアップを装甲化する例は世界中に広く存在します。特にトヨタ「ランドクルーザー」は改造する際のベース車として人気が高く、フランスのセンティゴン社やテクナム社、アメリカのザ・アーマード・グループ社、ウクライナのUkrArmoTech社など、多数の専門メーカーが防弾仕様を提供しています。

 改造の範囲は、防弾モジュールを追加した軽装仕様から、ボディ全体を作り替えた重装仕様まで多岐にわたります。

 防衛省が今回「民間車両ベース」を後継候補としたのも、こうした海外事例や採用実績を参考にした可能性が高いでしょう。

世界に普及する防弾仕様の日本車

 ただ、装甲車に改造するといっても、「鉄板を貼れば済む」という単純なものではありません。重量バランスや足回りの補強、防御力と悪路走破性、車内の快適性など様々な面でバランスをとった設計にするなど、高度で専門的な知識と技術が不可欠です。

 フランスのセンティゴン社は、軍・警察向けに幅広く防弾車両を提供する老舗メーカーですが、自社製品の防弾性能の確認と技術開発のために、実銃を使った弾道試験を毎年1000回以上も行っているそうです。

 同社が製造した防弾仕様のランドクルーザーは、フランス国家憲兵隊の特殊部隊GIGNでも用いられており、外観は通常車両と同じながら、内装には防弾モジュールを装備しています。こうした改造により、重量は約5tと通常のランドクルーザーの倍に達し、これに伴いブレーキやサスペンション、ホイールは強化されています。

 とはいえ、フレームとエンジンは無改造のまま、すなわち標準仕様で対応可能という点が、ランドクルーザーの高い基本性能を裏づけているといえるでしょう。ただ、防護性能は7.62mmライフル弾レベルが限界で、これ以上の防弾能力や、IEDを含む爆発物への抗堪性を求めるならば、装甲モジュールの追加が必要とされています。

 これについてセンティゴン社の社員も、「防弾モジュールの追加によって防御力を高めることはできますが、それによって車体重量が増え機動性は低下します。その場合は、防弾車ではなく装甲車や戦車を使う方が確実です」と説明しており、民間車両の防弾化はバランスの難しさがあるといえるでしょう。

 防衛省や外務省はこれまでも、在外公館向けの公用車や海外派遣任務での足車などで民間車両ベースの防弾車を少数導入した例があります。しかし、部隊の装備品(制度装備)としての大々的な採用は今回が初めてとなります。

 また、「ハウケイ」「イーグルIV」がともに不採用となった背景にはコスト問題があったといいますが、今回の民生車両改造にも予算という制約が存在するのは間違いありません。民間車ベースとはいっても高い性能を求めれば金額は跳ね上がるため、試験と選定には軍用車以上に困難が伴う可能性もあります。

文:乗りものニュース 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
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みんなのコメント

63件
  • すーさん
    D-maxの装甲仕様!?
    ちょいと興味ある‼︎
  • YLOD
    改造作業中のBGMを
    特攻野郎Aチームのアレにするか
    冒険野郎マクガイバーのアレにするか
    それが問題だ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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