シリーズ1に加えられた多数の変更
タデック・マレク氏がオーナーだった、アストン マーティンDB4 シリーズ1。1961年2月に技術者のジョン・ワイアー氏が残したメモから、この170/Lのシャシーで、4.0Lエンジンのドライサンプ仕様がテストされたことが推測できる。
【画像】開発技術者がチューニング アストン マーティンDB4 復刻版のザガート仕様とDB5も 全64枚
また、オーバードライブ付きのトランスミッションと、ド・ディオン式リア・サスペンション、シングルプレートとツインプレートのクラッチと、吊り下げ式ペダルも試されている。
しかし、右ハンドルへコンバージョンされた時期は不明。ラインの低いボンネットと、DB4 GT用ダッシュボードが組まれたタイミングもわからない。
ジョンの見積もりでは、一連のテストで想定された費用は3000ポンド。新車のDB4には、3800ポンドの価格が付けられていた頃だ。
ボディを観察すると、フロントグリルは初期型。そこへ、GT風のカバーがかけられたヘッドライトと、オーバーライダーのない前後バンパーが取り付けられている。
ワイヤーホイールは、標準で16インチだったが、15インチへサイズダウンしてある。ドアにはクロームメッキのウインドウフレームが与えられている。これは風切り音を抑えるため、DB4 シリーズ2以降に正規採用された変更だった。
Cで終わるナンバーは、1965年の登録。タデックが4カムV8エンジンの設計に関わっていた時期だ。そして、彼がオーナーになった。
エンジンはDB5 ヴァンテージ仕様
自宅のワークショップで、タデックは手に入れたDB4を理想的な仕様へ整えるべく、7か月を費やしたらしい。その筆頭といえるのが、DB5 ヴァンテージ仕様のエンジン。カムや圧縮比、オイルクーラーなどが通常とは異なる。
トランスミッションはZF社製の5速マニュアル。リア・アスクルもDB5用のものが組まれている。
このDB4のベースは初期型のシリーズ1で、最も軽い。英国では当時最速といえ、GTザガートにも勝った。0-160km/h加速を13.7秒でこなす能力を備えていた。
エアインテークが後期型より薄いボンネットは、リアヒンジ。クロコダイル・スタイルで持ち上げると、誇り高い造形美の直列6気筒エンジンが姿を現す。
アルミニウム製のブロックの横に、ウェーバー・キャブレターが3基、整然と並ぶ。ヘッドの峰が、高速で回転する2本のカムシャフトを想像させる。4.0Lという排気量が生み出す、不足ないパワーを表現するようだ。
ドアを開くと、1965年以前に採用されていた、ブラック・レザーの内装が残っている。パワーウインドウと、手動で硬さを調整できるセレクタライド・ダンパーは、公式にはDB5から採用された。
灰皿はDB6用に見える。平坦なナルディ風ウッドリムのステアリングホイールは、オリジナルのようにマッチしている。リアのクォーターガラスは、電動で開閉できる。ロールス・ロイスがコーニッシュ・クーペでも採用した装備だ。
最もバランスに優れたチューニング
DB4 GTのエンジンが少々ワイルド過ぎると考えるなら、この4.0Lエンジンは、恐らくタデックが手掛けたユニットとして最もバランスに優れたチューニングかもしれない。精悍に吹け上がるが、洗練されてもいる。
低い回転域からたくましく、傑作の直列6気筒エンジンへ期待する通りの、ドライで感情豊なサウンドが響き渡る。2速や3速でもトルクに不足はなく、キャブレターが咳き込むようなこともない。
とても上質に回る。SUキャブレターに換装されていると勘違いしても、不思議ではない。
アクセルペダルは、やや不格好に変更されている。アヴス・サーキットでのクラッシュ時にタデックが負った怪我が、原因かもしれない。
クロスレシオが与えられたトランスミッションは、軽快に次のギアを選べる。シフトレバーの動きは正確でタイトで、心地良い。車重や馬力を上回るほど、ディスクブレーキは強力に効く。
クラッチペダルとステアリングホイールはやや重めだが、すぐに気にならなくなる。DB4を意のままに操れる。ステアリングのレシオは高く、時折フロントタイヤからキックバックが伝わってくる。それでも、精細に導ける。アンダーステアもない。
中速コーナーを、右足へ掛ける力と相談しながら流れるようにクリアする。安定していて懐は深い。ドライバーの充足感は高い。
タデックが手を加えたという固有の価値
内燃エンジンとは、自動車の価値を左右する、複雑で個性豊かなプロダクトだ。ある時代では、最も重要な要素をなしていた。
アストン マーティンのエンジンを開発したタデックは、1969年にイタリアで余生を過ごし始めるまで、このKKX 4CのDB4を所有していた。その後は、ビジネスパートナーのジェームズ・ニコルソン氏へと託された。
1974年にロビン・クック氏がオーナーとなり、長年貴重な状態を保ち続けてきた。完全なオリジナル状態へ戻すこともできたはずだし、乗りやすくレストモッドすることも可能だったはず。しかしクルマ固有の歴史を理解し、尊重してきた。
タデックが初代オーナーだったという過去に、どの程度の価値を見出すのかは、受け止め方次第だろう。このDB4 シリーズ1が、改造されていることは確かだ。しかし、現在まで手を加えなかったジェームズとロビンの判断は、大正解だったと筆者は思う。
協力:ニコラス・ミー社
アストン マーティンDB4 シリーズ1のスペック(1958~1963年/英国仕様)
英国価格:4084ポンド(1992年時)/100万ポンド(約1億5500万円)以下(現在)
生産台数:1204台(シリーズ1合計)
全長:4496mm
全幅:1676mm
全高:1334mm
最高速度:226km/h
0-97km/h加速:8.5秒
燃費:5.3km/L
CO2排出量:−
車両重量:1393kg
パワートレイン:直列6気筒3670cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:243ps/5500rpm
最大トルク:33.1kg-m/4250rpm
ギアボックス:4速マニュアル
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