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さらば空冷直4の超名車!! ホンダCB1100が53年の歴史に幕

掲載 更新 33
さらば空冷直4の超名車!! ホンダCB1100が53年の歴史に幕

 現行ラインナップで唯一、空冷直列4気筒を積むホンダのCB1100シリーズが生産終了することになった。STDは現行型がラストとなり、クラシカルなEXグレードと、スポーティなRSグレードにファイナルエディションを展開する。

 特製エンブレムなどの装備を奢り、10月から11月末頃まで期間限定受注で販売される見込みだ。ここではその詳細と空冷直4CBヒストリーもお届けしたい。

フリードより新しいのになぜ苦戦? 中身は良いのにフィットが売れない4つの理由

文/沼尾宏明、写真/HONDA

【画像ギャラリー】幻のCB1100Rコンセプトなど空冷ビッグCBの歩みが一望に

53年の歴史に幕。強化される排ガス規制に対応せず

 1969年のCB750フォアに始まるホンダ空冷直4の歴史が、ついに終焉を迎える――。9月3日、ホンダが公式TwitterやFacebookなどで「CB1100EX」と「CB1100RS」に「ファイナルエディション」が登場することを明らかにした。

 現行モデルで唯一無二の空冷直4を搭載し、昔ながらの味わいが魅力のCB1100だが、次期排ガス規制強化(平成32年排ガス規制)が迫っており、その去就に注目が集まっていた。2022年10月末までに規制対応しなければ、現行モデルは「販売不可」となってしまうのだ。

 ホンダの下した決断は、残念ながら「生産終了」。空冷エンジンは、水冷と違って熱を一定に保ちにくく、燃焼温度の増減があるため、排ガスが増加しがち。度重なる規制に対応できず、2000年代にはカワサキのゼファー、ヤマハのXJRシリーズなど多くの空冷直4機が終売に追い込まれた。

 ホンダの技術をもってすれば、恐らく規制クリアは可能だろうが、コストと販売台数などの兼ね合いを考慮した結果なのだろう。しかし、ひっそりと消えゆくモデルが多い中、有終の美を飾る「ファイナルエディション」が設定されるのは、ホンダからのファンサービスと言えるかも知れない。

9月3日にSNSで予告されたCB1100EX/RSファイナルエディションの画像

現行のCB1100シリーズは2017年に登場した。平成28年排ガス規制をクリアし、次の平成32年規制も技術的にはクリア可能と開発者は答えていたが……

EXは赤と黒、RSはツヤ消し青と赤で登場か

 情報によると、CB1100EXおよびCB1100RSのファイナルエディションは、10月8日頃発表され、同日から受注開始。受注期間は11月30日までと予想される。台数限定ならプレミア化や争奪戦が起きるところだが、受注期間が長めに設定される上に、期間内に注文すれば問題なく入手できることになりそうだ。

 まずスポークホイールを採用するEXグレードのファイナルエディションは、キャンディクロモスフィアレッド、ダークネスブラックメタリックの2色を設定すると予想。本誌予想価格は現行モデルと同じ税抜123万9000円。発売日は11月25日と予想したい。

EXはクラシカルさを強調した前後18インチのアルミリムスポークホイールや、バフ掛けトップブリッジ&エンジンカバーなどが特徴だ。写真は現行型のキャンディクロモスフィアレッド

 前後17インチのキャストホイールを履くスポーティなRSはマットジーンズブルー、マグナレッドの2色となるか。こちらも予想価格は現行型と同じ税抜き127万6000円。発売日はEXより約1か月早い10月28日と予想したい。EX、RSともに、タンクに「ファイナルエディション」を示すエンブレムが貼付される模様だ。

 このウワサを裏付けるように、台湾ホンダが日本に先行して「RS」のファイナルエディションを発表した。車体色は本誌想定どおりの2カラー。GB350で採用された「マットジーンズブルーメタリック」同様のツヤ消し青に、ブラウンシートが装着される。もう1色は鮮やかなレッドで、こちらはシート表皮がブラック。両カラーともにホイールが、従来型と異なるブロンズカラーとしている。基本構成やスタイルなどは従来モデルと共通だ。

写真は、台湾で先行して発表されたRSファイナルエディションの「消光單寧藍」ツヤ消しブルー。日本でも同様のカラーリングで発売されそうだ

CB1100のスタンダード(国内仕様 税抜124万円)。発売中の現行型でラストとなり、既に生産は終了している

CB1100の原点は1999年の「CBフォア」だった

 ついにファイナルエディションが発売されるに至ったCB1100だが、原点となったのが「CBフォア(1999年東京モーターショー出品コンセプトモデル)」だということはあまり知られていない。これは、CB750フォアの30周年を記念して出品された復刻コンセプト車で、オリジナルを意識したエンジンや4本出しマフラーを備えていたのだ。

 そして8年後の2007年、コンセプト車のCB1100Fが東京モーターショーに出品。CBフォアとは全くスタイルが異なり、CB400フォア風の集合マフラー、前後17インチのキャストホイールなどを採用していた。その約2年半後の2010年2月、市販版のCB1100がリリースされることになった。

CB750フォアと同じホイールサイズで4本出しマフラーなどイメージを踏襲したコンセプトモデル「CBフォア」。1999年当時は市販されないものと思われた

2007年出品の「CB1100F」。スペックは1140ccと発表され市販版CB1100の排気量を予告していたが、展示車は900ccだったという。恐らくこの新エンジンを使わないことが決まっていたのだろう

 CBフォアとCB1100Fは似ても似つかぬ姿だっただけに、この2つのコンセプトモデルに繋がりは全く感じられなかったが、2010年にCB1100Fの市販版としてCB1100が発表された際に、コンセプトの原点としてCBフォアのスケッチが公開されたのだ。そこにはこのように記されている。

・空冷4気筒の機械美を最大限に演出するENG設計(外観)DOHC750cc(900)バーチカル4気筒はこの車の主役
・シンプルかつ合理的手作り感あふれるダブルクレードルフレームはフレームの王道。フレームとENGの空間の美しさ演出
・深しぼりフランジレスタンクは外観部品の主役。自然で美しいフォルム
・クロノグラフを連想するメーター(スミス風)。針動美の追求
・一世を風靡した殿様ライディングポジション。楽で堂々
・1シリンダー1マフラーの4本マフラー。機能をシンプルに演出
・シートハイト770~780mmで楽に足が着く事

 達成していない項目はエンジンのみ。最終的にCB1100はCB1300の水冷エンジンを空冷化することになり、シリンダーは前傾し1140ccと排気量やサイズが大きくなってしまった。4本出しマフラーは、2014年以降EXの2本出しが4本マフラーのサウンドを追求していることからクリア。ほぼ、理想を実現したのだ。

北米でCB1100が発表された時に公開された「CBフォア」のスケッチは、後にデザイン部門のトップとなった小濱光可氏の手によるもの。「美・匠・楽」の追求はCB1100に受け継がれた

スケッチにはCB1100Rコンセプトのエンジンと思われるものもあり、本気で空冷DOHC直列4気筒を開発しようとしていたことが分かる。最終的に水冷CB1300を空冷化したのはコストが理由だろう

ありがとう! 空冷直4CBヒストリーを振り返る

 最後に、ホンダ空冷直4ビッグバイクとCB1100の史を簡単に振り返ってみよう。

 ホンダの直4第1号であり、世界初の実質的な直4量産車こそCB750フォア(1969年)。2気筒650ccクラスが最大級だった時代に、衝撃的なデビューを飾り、「ナナハン」という言葉を生み出した。まさにエポックメイキング作だったのである。

 当時、カワサキも750cc空冷直4の開発を進行中だったが、CB750フォアが先に発表されたこともあり、計画の変更を余儀なくされた。これが1972年秋の900スーパーフォア=Z1として結実する。

ホンダの名を世界に知らしめたCB750フォア。空冷SOHC2バルブ並列4気筒 736ccを搭載し、67psを発生した

 1979年、CB750フォアの改良型でライバルに対抗してきたホンダが放った次世代の直4スーパースポーツがCB900F/750Fだ。ホンダ初のDOHC4バルブ直4モデルで、軽量でバランスの優れた車体や流麗なストリームラインも高評価。

 ジュラルミン製セパハンやトリプルディスクブレーキ、チェックバルブ付きのFVQダンパー、コムスターホイールなど、RCBレーサーの技術を注入、またも大ヒットとなる。

CB900Fは、DOHC4バルブの901.8cc空冷直4を積み、95psを発生(写真は国内向けのCB750F)

 CB900Fをベースに、空冷CB-F系の頂点モデルとして開発されたCB1100R(1981年)。市販車レースでの勝利のみを目的に、排気量アップしたエンジンと高剛性フレーム、アルミタンクなど採算度外視の装備が与えられた。値段は当時では驚異的な250万円。

CB1100R。900Fベースの空冷直4は、ボアを拡大し、901.8→1062ccにスープアップ。初期型の1981年型RBは115ps、'82~'83で120psを誇った。車体も専用ディメンジョンだ

 ホンダのフラッグシップは水冷V4に移行し、新作の空冷直4機は長年リリースされなかったが、1992年にCB750が登場。CBシリーズの原点に回帰したようなフォルムを持ち、2008年型まで生産された。教習所での大型2輪教習車としても活躍した。

最後の空冷ナナハンCBとして息の長いモデルになったCB750。海外向けのナイトホーク750譲りのDOHC4バルブ747cc空冷直4を搭載し、75psを発生

 約18年ぶりに新開発された空冷CBこそ、2010年の初代CB1100。心臓部はCB1300をベースに空冷化しており、バルブタイミングをわざとズラしすことで空冷らしい燃焼感を演出することに成功している。スタイルは、CB750フォアをはじめ、CB400フォアなど様々なCBのエッセンスを取り入れた。

「大人の所有感を満たすエモーショナル空冷直4ネイキッド」として開発されたCB1100。ドロドロした空冷エンジンの特性を最新技術で強調した。2010~2011年の大型2輪販売台数1位を記録

 CB1100は、2014年にマイナーチェンジ。シートとシートレールを見直し、足着き性を一層アップ。ミッションを5速→6速としたほか、FIセッティングや吸排気系の見直しで平成24年排ガス規制に対応した。

 さらに「CB1100EX」を新設定した。右1本出しのSTDに対し、2本出しマフラーを採用。ワイヤースポークホイールや専用シートなどでトラディショナルなイメージをより強調した。

2014年型で燃費計やギアポジションを追加したメーターも採用した。写真のEXは、各部にメッキパーツを配し、バフ掛けエンジンカバーなども採用

 2017年型では、新設計マフラーやエアクリーナーなどで当時の排ガス規制(平成28年排ガス規制、ユーロ4相当)をクリア。ABSとスリッパークラッチが標準装備された。

 新たに足まわりを強化したカフェレーサータイプの「CB1100RS」を追加。RS、EXともに溶接痕が目立たないフランジレスタンクをホンダで初めて採用した。また、EXは各部の造形やメッキを見直し、金属感を高めている。

 2017年以降はSTD、EX、RSの3本立てとなり、STDを除いてLEDヘッドライトも採用した。

現行型は2017年デビュー。排ガス対応を主眼に、RSとEX(写真)はアルミ製サイドカバーやフランジレスタンクなどクラフトマンシップを感じさせる質感も獲得している

【画像ギャラリー】幻のCB1100Rコンセプトなど空冷ビッグCBの歩みが一望に

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