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新人離れしたアコスタ、3位表彰台のパフォーマンスと隠れた「野心」/第2戦ポルトガルGP決勝

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新人離れしたアコスタ、3位表彰台のパフォーマンスと隠れた「野心」/第2戦ポルトガルGP決勝

 おそらくいつかは来ただろうペドロ・アコスタ(レッドブルGASGASテック3)の表彰台獲得は、第2戦で達成された。アコスタの背中を見て走っていたマルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)は、「彼はルーキーとしてのポイントで走っている」と言う。そしてアコスタは、2022年、2023年チャンピオンであるフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)の走りを見ていた。

 ブラッド・ビンダーとジャック・ミラーという、ふたりのKTMファクトリーライダーを抜き、マルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)を抜いた。そして、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)をも抜いた。

バニャイアとM.マルケス、ふたりの王者の攻防と転倒。両者の詳言は/MotoGP第2戦ポルトガルGP決勝

 7番グリッドからスタートしたペドロ・アコスタ(レッドブルGASGASテック3)は、並み居る“先輩”ライダーを──しかもその中には、ふたりのチャンピオンが含まれている──抜き去って、最終ラップの時点で4番手につけていた。アルガルベ・インターナショナル・サーキットはアコスタにとってMotoGPクラスで初めて走るサーキットだったが、初日から決勝日にかけて、改善を積み上げた。

 アコスタの3位表彰台獲得には、マーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)のトラブルがひとつの要因ではあるが、アコスタが自力で4番手までポジションを上げていたからこそ、でもある。

 なお、ビニャーレスは序盤から「5速、6速に入らないことがあった」というトラブルを抱えていた。最終ラップのメインストレートで6速に入れようとしたがニュートラルに入り、右足を動かして後方にそうと知らせる合図を送った後に再び6速に入れようと試みるも2速に入って、スロットルを開けたらハイサイド……という状況だったそうだ。トラブルは残念だが、そんな状況でも最終ラップまで3番手をキープしていたのだから、ポルトガルGPのビニャーレスは確かに速かったのだ。

 さて、最高峰クラスの大型ルーキーは、第2戦にして早くもポディウムに立った。ロードレース世界選手権史上、3番目に若い年齢(19歳304日)での初表彰台獲得である。ちなみに、この記録の第1位はランディ・マモラ(19歳261日)、第2位はエドアルド・サラティノ(19歳274日)。アコスタが抜いた元第3位、現第4位は阿部典史(20歳10日)である。

 アコスタを「追いかけた」マルケスは、彼の走りをどう見ていたのか。アコスタの走りについて問われたマルケスは、「彼を追いかけるのはナイスだったよ」と言って、速さを認める。

「彼はルーキーとしてのポイントで走っているんだ。無意識とは言いたくないけど、ゼブラやタイヤをかなり使って走っている、今日の彼は素晴らしいレースをした。すごく速かったよ」

「カタールのレースの前に、言ったでしょ。今年、彼は表彰台を獲得するか、優勝するってね。さて、そのままチャンピオン争いをするかな」

 マルケスは穏やかにそう言った。マルケスはアコスタの走りを「ルーキーらしい」と評している。ルーキーらしい勢いがある、といったところだろうか。少なくとも見える、取材できる範囲では、アコスタに対しては「静観」の姿勢が窺える。

 当然ながら、ルーキーであるアコスタの方が、彼らを意識しているだろう。アコスタは3位の表彰台に立った後、会見に臨み、まずはチームへの感謝を述べた。

「チームが僕を楽にしてくれたんだ。レースウイークでは、僕は最も気難しい人間でね。チームは午後も夜もすごく頑張ってくれていた。毎朝起きると、スマホにデータ(エンジニア)やクルーチーフから20通くらいのメッセージが入っていて、そこには改善すべき点やチェックすべきところが書かれているんだ。だからこそ、すごくうれしい。この週末にはすごく満足しているよ」

 そしてKTMライダーを追いかけ、抜いたときのことを問われたアコスタは、こう答えたのである。

「ただ彼ら(ビンダー、ミラー)を抜くことだけを考えていた」

「考えている余裕がなかったんだ。ただ、正直なところ、ペコ(バニャイア)からはたくさん学んだよ。どう体を動かし、バイクを傾けているのかをね。昨日は4、5コーナーでロスしていたし、5、6コーナーの立ち上がりでもそうだった。でも、ペコの動きを見て、どうやって乗ればいいのかわかったよ」

「でも、KTMについては、レースモードで走っていて後ろで理解するのがちょっと複雑なんだ。風もあるし、乱気流もあるし、頭も振られるし。ラインやバイクの動きを見ることだけに集中できるわけじゃない」

 風や乱気流がKTMの後ろを走っていた時だけ起こっていた、ということなのだろうか? 実際のところはライダーにしかわからない。ただ、アコスタがバニャイアの走りを熱心に見ていたことは確かだ。今、最も強く速い、ドゥカティのバニャイアの走りを。

 もちろんのこと明言はしていないが、アコスタはチャンピオン争いに加わるつもりで最高峰クラス1年目を戦っているのではないか。

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みんなのコメント

6件
  • ケン
    一戦目はタイヤを使い切ったとコメントし、2戦目はそれをコントロールして表彰台。
    チャンピオンを追いかけて観察して自分の足りない所を勉強するなんて。
    熱くなりすぎる事は無さそうだし速さも有る。
    タイトルに近いと思う。
    後はKTM次第か?
  • jir********
    彼の素晴らしい所はまず基本的にライダーとして数周でも周りのライダーより速く走れるポテンシャル、「素の速さ」がある事。これはKTMのマシンが懐の深いバイクなのかもしれませんが、これは経験、フィジカルトレーニングを重ねて数周からレースディスタンス迄速さを伸ばせる。その上で第1戦は前のグループについて行ったがタイヤが終わってしまった。しかし第2戦ではタイヤの使い方を学んだのかタイヤに優しいセットアップにしたのか、しぶとく粘り最後はビニャーレスの不運なリタイアもあったが表彰台獲得。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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