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新型スバルWRX S4とレヴォーグ2.4LのFun to Drive。2.4Lエンジンのアドバンテージと明確に異なる各車の個性

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新型スバルWRX S4とレヴォーグ2.4LのFun to Drive。2.4Lエンジンのアドバンテージと明確に異なる各車の個性

新型スバル WRX S4と2.4Lターボエンジンを搭載したレヴォーグ。同じパワートレーンを搭載したセダンとワゴンの走りはどう違うのか。そんな疑問の答えを求め、ロングドライブに出た。(Motor Magazine 2022年6月号より)

身構えて走り出したが、思いのほか乗り心地は快適
スバルが誇るスポーツセダン「WRX S4」とワゴンの「レヴォーグ」の2台でツーリングし、スバルの魅力を探ってみた。

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まず、ハンドルを握ったのは、WRX S4の最上位グレードである「STI スポーツR EX」。そもそもWRXは、モータースポーツで勝つために開発されたクルマだ。そこに、スバルのワークスチューニングブランドの「STI」の名が冠されるだけに、走りへのこだわりが強く感じられる。

アグレッシブなエクステリアデザインで、スバルのデザインアイコンでもある「ヘキサゴングリル」にはSTIのエンブレムが誇らしげに装着されている。エクステリアで特徴的なのは、ボディ下部をブラックで1周している点。とくに樹脂フェンダーは一見、SUVのようにも見え、セダンなのになぜと、賛否がわかれるかもしれない。でもこれ、よく見ると表面がハニカム状のシボになっていて、実は空力テクスチャーなのだ。

それ以外にもアンダーカバーをはじめ見えない部分のパーツ形状に至るまで、徹底的に空力性能の向上を図っている。左右本出しマフラーなど勇ましさはあるが、これ見よがしの大きなリアウイングなどはなく、日常にも馴染む、フォーマルな雰囲気も保っている。ボディサイズ的には、今やほぼDセグメントのセダンである。

インテリアにもこのグレード専用のボルドーのレザーが用いられる。そして、縦長の11.6インチセンターディスプレイは、アイコン表示を含めタブレット端末が置かれたようで操作しやすい。

さて、クルマに乗り込みドライブ開始。すると、とにかくサスペンションがしなやかに動き、乗り心地が快適なことに驚く。というのも、なんとなく名前や見た目、そしてテンションを上げるインテリアなど、スポーツマインドを煽られてるような感じだったので、ちょっと拍子抜けしたほど。でも、けっしてネガティブな意味ではない。もちろん、コンフォート系セダンとは異なるが、フラットライドで非常に上質な乗り味なのだ。

ドライブモードセレクタもあり、コンフォート/ノーマル/スポーツ/スポーツ、そしてインディビデュアルから選べる。各モードによって、パワーユニット、ステアリング、サスペンション、AWD、アイサイト、そしてエアコンの各制御が変わる。

ワインディングロード×スポーツモードでは、まさに「豹変」する
乗り心地のインパクトが大きかったが、動力性能も同様のことが言える。搭載されるエンジンは、2.4L直噴ターボ「DIT」で、最高出力275ps/5600rpm、最大トルク375Nm/2000-4000rpm。従来の2Lから排気量をアップしたことで、低回転域からトルクがあり、しかもアクセルペダルに対するレスポンスもいい。「ゆとり」があるエンジンフィールだ。でも、やはり、急き立てられる感じはない。

高速道路もシンメトリカルAWDと剛性感の高いシャシのおかげで安心感高く走れる。そして、何より心強いのは「アイサイト」によるクルージングだ。ちゃんと車線の真ん中を走るし、カーブの曲率をなぞる操舵も滑らかな動きで安心感が高い。料金所まで認識してくれるのだから、快適この上なく、しばし、アイサイトにドライブを託してしまった。

好印象ではあるものの、これではスポーツセダンとしての面目がない。が、ワインディング路に入り、ドライブモードをスポーツにして走り出すと、ものすごいキャラ変。アクセルペダルを踏み込8速に刻まれたギアとの相性もよい。

そして、ここで気づいた。スバルパフォーマンストランスミッションはCVTなのだが、いわゆるラバーフィールがなく、ダイレクトだし加速フィールもまったく違和感がない。CVTにネガティブなイメージを持つ人も、これなら印象が変わるだろう。いや、言われなければCVTだとは思わないだろう。そして、シャシもキャラ変により、かなり安定しながらクイックにコーナーを曲がっていく。何の妥協もなく、AWDスポーツの醍醐味を味わえる。

スポーツカーを買うとなると、なかなかハードルが高い。居住性とスペースユーティリティが悪い、奥さんが運転できない、などなど。その点、WRX S4は、普通使いとして乗っても不満はなく、パフォーマンスを引き出せばスポーティにも走れるから、1台で2度、いや、ドライブモードのチョイスや走行シーンに応じて、何度でも美味しいクルマだ。

同じ2.4Lエンジンでも走りの方向性は大きく違う
さて、もう台が「レヴォーグ」。こちらはスポーツツアラーを謳うワゴンだ。これまでレヴォーグは1.8Lターボのみが搭載されていたが、WRX S4と同じエンジンが搭載された「STI スポーツR EX」が追加された。

スバルグローバルプラットフォームも同じ、パワーユニットも同じ。そして同じグレード名ともなれば、ボディ形が違うだけ?と思うが、そもそもWRX S4とレヴォーグは性格が異なる。

レヴォーグはグランドツアラーであり、WRX S4ほど尖ったキャラではない。一番わかりやすいのは、装着タイヤの違いだ。WRX S4はスポーツタイヤを履くが、レヴォーグはエコタイヤを装着しているのだ。

インテリアは、基本的にWRX S4と同じ。クルマのキャラクターが違うのに、ここは同じなの?と思ったが、どうやら「STIスポーツR EX」として共通化している。ただ、レヴォーグにはレカロシートは装備されない。

40:20:40分割可倒式リアシートが採用され、ラゲッジに応じてそれぞれ独自に倒すことができる。また、ハンズフリーオープンパワーリアゲートも採用されるなど、ワゴンとしての利便性も高い。

さて、WRX S4から乗り換えるとハンドルの操舵感も、WRX S4はずっしりしたものなのに対して、レヴォーグはやや軽めで取り回しもしやすい。また、電子制御ダンパーも各ドライブモードでWRX S4よりも全般的に減衰力が低く設定されている。グランドツーリングカーらしく、肩の力を抜いてドライブできる。

面白いもので、同じエンジンを搭載していながら、レヴォーグは積極的にスピードを出したり、コーナーを攻めようという気にはならず、トルクを味わいながらゆったりのんびり走りたくなる。とはいえ、スポーティに走るポテンシャルは十分に備えている。そして、コーナリングの動きがものすごく気持ち良い。

ドライバーを中心に旋回しているような感覚の素直な回頭性で、しっとりと、サスペンションの動きと同調しながらタイヤがたわんでいくような動き。リアシートの同乗者はもちろん、たとえば、ラゲッジルームに乗るワンコにまで優しい乗り味をイメージさせる。

ちなみに、WRX S4は操舵に対する動きがクイックで、ほぼロールもせずに瞬時に向きが変わるため、このような、ヨーの発生からロールして向きが変わっていくという、過渡領域を味わう間もない。やはり、両者はとても明確に性格が分けられており、それでいて、どちらもスバルとしての共通した乗り味があり、クルマ作りの上手さが感じられる。

試乗日はあいにくの雨。でも、その中でも高い安定性、安心感を確認できたから、恵みの雨だったのかもしれない。最近、ドイツ車からの乗り換えが増えたそうだが、納得だ。最近のスバル、走りがすごく洗練されている。(文:佐藤久実/写真:原田 淳)

スバル WRX S4 STIスポーツR EX 主要諸元
●全長×全幅×全高:4670×1825×1465mm
●ホイールベース:2675mm
●車両重量:1600kg
●エンジン:対4DOHCターボ
●総排気量:2387cc
●最高出力:202kW(275ps)/5600rpm
●最大トルク:375Nm(38.2kgm)/2000-4800rpm
●トランスミッション:CVT(スバルパフォーマンストランスミッション)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・63L
●WLTCモード燃費:10.8km/L
●タイヤサイズ:245/40R18
●車両価格(税込):477万4000円

スバル レヴォーグ STIスポーツR EX 主要諸元
●全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1570kg
●エンジン:対4DOHCターボ
●総排気量:2387cc
●最高出力:202kW(275ps)/5600rpm
●最大トルク:375Nm(38.2kgm)/2000-4800rpm
●トランスミッション:CVT(スバルパフォーマンストランスミッション)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・63L
●WLTCモード燃費:11.0km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
●車両価格(税込):477万4000円

[ アルバム : 新型スバルWRX S4とレヴォーグ2.4LのFun to Drive はオリジナルサイトでご覧ください ]

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