29歳で人生初のフェラーリを購入した『GQ JAPAN』の編集部員のイナガキが、ひょんなことからあるスポーツカーを購入することに。はたして、“跳ね馬”そして“ゲレンデ”の次はいかに?
純正サイズは希少
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(前のページから続く)1990年式ロータス・エスプリ・ターボSEで困ったのが、タイヤである。
納車前に装着されていたタイヤは、フロントが215/50R15、リヤが245/50R16。エスプリ・ターボSEの純正指定サイズである。
が、前後のブランドが異なっていて、フロントはブリヂストン、リヤはダンロップ。スポーツカーにおいて、前後のタイヤ銘柄が異なるのは、ハンドリングの前後バランスを崩す要因となり、決して推奨される状態ではない。
さらに、ゴムはカチカチに硬化。この状態で福岡から東京までの1000kmを走破するのは無謀だ。
「これは履き替えなければ!」
が、現代のタイヤ市場において、エスプリの純正サイズを探し出すのは至難の業。
当初、ブリヂストンのリアルスポーツタイヤ「POTENZA RE-71RS」を検討した。調べてみるとリヤのみ、純正サイズの245/50R16が存在したのだ。フロントはサイズがないため諦めるにしても、リヤだけでも純正サイズを維持できる。
一筋の光が見えたかに思えたが、問い合わせたところ、「国内にも海外にも在庫なし」の回答。諦めざるを得ない。
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前後純正サイズでそろえるのは難しい。そこでこの際、履いてみたいタイヤをチョイスしようではないか。
筆者はこれまでブリヂストンのタイヤを購入した経験がない。せっかくならば、と、最新モデル「POTENZA RE-71RZ」にトライしようと思った。
「RE-71RZ」は、サーキットでのタイムアタックからストリートまでをカバーする新商品だ。特徴は、単なる「グリップ力向上」といった言葉では片付けられない性能である。
最大のトピックは、新設計の「非対称パタン」と「専用コンパウンド」だ。特にアウト側のブロックは、限界コーナリング時の接地面積を最大化するために、溝を減らしたスリックタイヤのような巨大なマクロブロックを採用。これにより、強大な横Gがかかってもブロックがヨレず、アスファルトに食いつく。
さらにブリヂストンの独自技術「ULTIMAT EYE(アルティメット アイ)」による接地圧解析を駆使し、直進時だけでなく、旋回時のタイヤの接地面が均一になるよう形状を最適化した。
「引っ張り」の代償と、1000kmの印象
最新テクノロジーを享受するため、サイズ選定においては純正のホイール幅を活かしつつ、外径差を抑えるべく、フロントを205/50R15、リヤを225/45R16とした。
しかし、純正ホイールに対してタイヤ幅が細くなるため、必然的に「引っ張り気味」での装着となる。
タイヤを引っ張って装着することには、デメリットがある。第1に「リムが露出する」こと。タイヤのサイドウォールが内側に倒れ込むため、路縁石などに軽く接触しただけでもホイールにガリ傷がつくリスクが高まる。第2に「乗り心地の悪化」。もともと剛性の高いRE-71RZのサイドウォールがさらに突っ張った状態になるため、クッション性が低下し、路面からの突き上げがダイレクトに伝わりやすくなる。極端な引っ張りの場合、強い横Gでタイヤのビードがリムから外れる「ビード落ち」のリスクもゼロではない。
しかし、前後同銘柄でそろえるためにはリスクも承知。引っ張り気味の足元にやや不安を抱きつつ、福岡から東京への1000kmドライブへと出発した。
結論から言うとこの選択は、正解だった。
走り始めてすぐに感じたのは、RE-71RZがもたらす接地感。ノンパワステの重いステアリングを通じて、タイヤが路面に吸い付いている確かなインフォメーションが伝わってくる。「アルティメット アイ」による接地圧の最適化は伊達ではなく、高速道路での直進安定性は高い。
そして雨に見舞われた阪神高速の継ぎ目や、一般道の荒れたアスファルトであっても、信頼感は揺るがなかった。非対称パターンのイン側に設けられた太い主溝が排水し、雨天のドライブであっても安心感がある。
さらに驚いたのは、ロードノイズの少なさ。エアコン不動ゆえ、窓を開けて走っていたにもかかわらず、耳障りなタイヤのノイズは抑え込まれていた。コノリーレザーのシート越しに伝わる突き上げも、引っ張りタイヤであるのを忘れるほどマイルド。
先代のRE-71RSで課題とされがちだったロードノイズは、トレッドパターンの溝の配置や角度、ピッチ(ブロックの長さ)をミリ単位で見直すことで、ハイグリップタイヤ特有の「ゴーッ」とした不快なパターンノイズを打ち消けしたという。実際、スポーツ走行性能を高めながらもグランドツーリングに耐えうる快適性を手に入れたと感じた。
最新の「POTENZA RE-71RZ」は、30年以上前の英国車とのマッチングは良好だった。
次回は修理から戻ってきたわが愛車のリポートを綴る(つづく)。
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Vol.3 支払総額のリアルと納車前夜の葛藤
Vol.4 納車、そしていざ東京へ!
Vol.5 スタート1分でエアコン故障
Vol.6 給油もひと苦労
Vol.7 意外な居住性
Vol.8 驚きの燃費と誤作動
Vol.9 大阪到着、そしていざ東京へ
Vol.10 前途多難な後半戦
Vol.11 ついに東京へ! が、忍び寄る新たなトラブルとは……
Vol.12 ギアが入らない!
Vol.13 すぐには直りません
Vol.14 自動車保険問題
文と編集・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
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