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ドルフィンは、BYDの切り札となるか? わざわざ全高を低め日本導入

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ドルフィンは、BYDの切り札となるか? わざわざ全高を低め日本導入

2つのドルフィン 馬力・脚の違い

執筆:Hajime Aida(会田肇)

【画像】ディスプレイが回転! BYDドルフィンの細部【2グレードを比較】 全23枚

BYDがこの秋に発売を予定するコンパクトEV『ドルフィン(DOLPHIN)』。

そのプロトタイプを使ったメディア試乗会が開催され、公道での走りをさっそく体感してきた。今回はそのインプレッションをお届けしたい。

ドルフィンはBYDにとって、今年1月に導入したSUV型EV『アットスリー(ATTO3)』に続く、日本市場に向けた乗用車の第2弾となるモデルだ。

ボディサイズは全長4290mm×全幅1770mm×全高1550mmで、BセグとCセグの中間に位置付けられる。プラットフォームにはATTO3同様、EV専用「e-Platform3.0」を採用し、バッテリーには、安全性が高いとされるリン酸鉄系リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」を搭載した。

ドルフィンのラインナップは2つある。

1つはバッテリー容量を44.9kWhとして、一充電当たりの走行距離を400kmとしたスタンダードモデルで、モーター出力は70kW(95馬力)・最大トルク180Nmとなる。

もう1つがバッテリー容量を58.56kWhとして一充電当りの走行距離を476kmとした上位グレードの「ロングレンジ」で、モーター出力は150kW(204馬力)・最大トルク310Nm。いずれのグレードも1モーターの前輪駆動としている。

サスペンションにもグレード別の違いがあり、フロントはストラットで共通としたものの、リアはスタンダードにトーションビームを、ロングレンジはリアにマルチリンクをそれぞれ組み合わせている。

また、ボディカラーはスタンダードでモノカラーとなるが、ロングレンジにはルーフとボンネットをブラックとする2トーンカラーが与えられる。

全高を日本向けに変更! 1550mm

一方、ロングレンジのみに搭載された装備としては、サンルーフやスマホ用ワイヤレス充電(Qi)、マップランプ/リアサイドランプ(いずれもLED)の搭載がある。4ドアすべてをオートパワーウインドウとしているのも使い勝手の面ではメリットになるかもしれない。

ただ、リモートスタートやNFCカードキー、USBポート(前後席にタイプAとタイプC装備)などは両グレードともに備えており、現在の日本車では考えられないほど充実した装備と言っていいだろう。

先進運転支援システムは、現在考えられる機能をほとんど装備した。

アダプティブクルーズコントロール(ACC)をはじめ、自動緊急ブレーキ(AEB)やレーンキープアシスト(LKA)、フロントクロストラフィックアラート(FCTA)&ブレーキ(FCTB)、ブラインドスポットインフォメーション(BSD)といった多数の先進機能を装備。さらに、室内に2つのミリ波レーダーを備えて、子供やペットの“置き去り検知機能”も備えた。

しかもこの機能をグレードに関係なく、すべて標準装備としているのだ。これには驚いた。

クルマとしての使い勝手にも、日本市場向けに特別な気遣いを施している。

ウインカーレバーを右側にしたり、急速充電は日本で一般的なCHAdeMO方式に対応。

全高も本来なら1570mmだったものを、日本仕様だけ回転式駐車場にも入庫できる1550mmに変更。様々な機能を音声で操作できる機能も日本語対応としている。

また、日本市場向けとして義務化されている誤発進抑制システムの開発も進め、搭載を予定しているという。

インテリア いい所 気になる所

さて、最初に試乗したのはスタンダードモデル。

運転席に座ってまず感じるのがシンプルながら緩やかにラウンドするダッシュボードに、ドルフィン(イルカ)のヒレを彷彿させるドアノブなど、随所にデザインへのこだわりが感じられることだ。

一方で、運転席前のディスプレイはかなり小さめだ。

速度計や走行モード、使用電力の表示は十分なサイズにあるが、その一方で制限速度やADAS系の表示は極めて小さく、老眼が進んだ年代にはかなりキツく感じる。

それに対してセンターディスプレイは「タブレットか?」と思わせるようなビッグなサイズ。

ここには回転機構も備え、カーナビの他、様々な車両情報を表示できるようになっている。

ただ、ここでも操作するためのアイコンは小さめで、タッチ操作するにも画面を直視しないと難しいと思えるほど。さらに日本語での音声認識に対応したのは車載側の機能のみ。カーナビの目的地検索にはATTO3同様、対応していなかった。

スタンダードに試乗 その出来は?

シフト切り替えはセンターにあるダイヤル式スイッチを前後に動かして行う。

シフトスイッチだけにはシボが彫り込んであって操作もしやすいが、ドライブモードはスイッチの表面がツルツルとしていて、操作感はイマイチ。

この辺も含め、インターフェース全体として課題を感じたのは正直なところだ。

しかし、走り出すとその印象は一変した。

モーター出力が低いスタンダードであるにも関わらず、一般道でのスムーズな滑り出し、高速道への入路も十分なパワーで対応するなど、“普通の走りをするには十分”であることを実感。

走行中の安定感も高く、路面の凹凸に対しても上手にいなしており、その意味ではガソリン車から乗り換えても違和感なく快適なドライブが楽しめると思っていいだろう。

ロングレンジ 太いトルクが魅力

続いて、バッテリー容量の大きいロングレンジに乗り換えた。

アクセルを踏み込むと、スタンダードモデルとは桁違いのビッグトルクが圧倒的な加速感を発揮した。

それもそのはず、モーター出力がスタンダードの70kW(95馬力)・最大トルク180Nmから、150kW(204馬力)・最大トルク310Nmにまで引き上げられているのだ。

この違いは圧倒的で、高速道路を走る機会が多いのなら間違いなくロングレンジがオススメとなるだろう。

気になる価格は現時点で未発表だ。BYDジャパンによれば価格発表は9月下旬になるとのこと。

その価格は大いに気になるところだが、ちなみに上位モデルATTO3の販売実績は8月下旬の段階で700台を超え、BYDジャパンとしては「まぁまぁの滑り出し」としている。

ドルフィンの投入はそうした状況をさらに後押しする役割を期待されているのは確実。また、BYDは今年の上海モーターショーで、さらにコンパクトな『シーガル』を発表しており、この辺りの展開も気になるところだ。

果たしてドルフィンは期待通りの価格で登場するか。価格発表を楽しみにしたいと思う。

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