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理由は「水」にあり!? バイクのシートに本革仕様が少ない訳とは

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理由は「水」にあり!? バイクのシートに本革仕様が少ない訳とは

 バイクのシートは、ビニールレザー製が一般的です。ビニールレザーとは、クルマのシートやソファ、椅子などにも多い素材のひとつで、大きく分けて「合成皮革」、「人工皮革」、「塩ビレザー」に分類されます。

 ビニールレザーは、本物の動物から生成された革素材ではなく、合成皮革と人工皮革はポリウレタン樹脂、塩ビレザーは塩化ビニール樹脂などから生成された物。いずれも見た目や質感などが本革に似せてつくられていることが多く、最近では本革と大差のないものもあるようです。

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 では、なぜバイクのシートには、本革ではなくあえてビニールレザーが活用されているのでしょうか。

 そもそも本革は、動物の皮から腐敗の要因となる脂肪などを取り除き、薬品を用いて耐久性や柔軟性などを持たせた革素材を指しています。

 ビニールレザーなどを「人工素材」とするならば、本革は「天然素材」といったところ。そんな本革のデメリットのひとつとして挙げられるのが、「水に弱い」という点です。基本的にルーフがなく、屋外で日の元にさらされて走行するバイクのシートは、雨風や紫外線など、天候の影響をもろに受けてしまいます。

 本革は、ビニールレザーに比べて吸湿性が高いうえに、水に濡れると硬くなったり、変色したりしやすい素材。加えて、一度こうした変化を受けると、元に戻すことができないという弱点もあります。硬くなった革はヒビ割れもしやすいため、そうなってしまった場合には革の張り替えを視野に入れるほかありません。

 こうした劣化を防ぐために本革では、専用のクリーナーを活用した定期的なメンテナンスや、そもそも革を濡らさないような対策が必要ですが、基本的に屋外保管となるバイクのシートの場合、そうした対策をとることは容易ではありません。また、本革はビニールレザーに比べて、コストが高いという側面もあります。当然といえば当然ですが、動物由来の素材であるうえに、本革は生成できる数が限られているため、高い値段がつくのが一般的です。

 そのため、バイクのシートに本革を用いた場合、そのぶん車両本体価格も高くなることは避けられないでしょう。バイク自体のコストを上げず、より多くの人が買い求めやすい価格で販売するためにも、本革ではなくビニールレザーを活用するのが得策といえるのです。 

 バイクのシートにはあまり採用されていない本革ですが、ライダーのなかには、純正のビニールレザーから、あえて本革へ張り替えている人もいるようです。本革は、湿気や水分に弱かったり、コストが高かったりと弱点もありますが、そのぶん本革ならではのメリットも持ち合わせています。

 まず、本革のメリットとして挙げられるのが、使い込むほどにライダーの体に馴染んできたり、本革特有の「味」が出てきたりする点です。本革を活用した革靴や手袋などをイメージするとわかりやすいかもしれませんが、本革は使い込むほどに、その人の足や手の形に馴染んでいくという特性があります。これはシートも同様で、座り込むほどに、その人のライディングポジションに合わせた形へ革が馴染んでいくでしょう。

 また、本革は、日常的に使うことによって、色の濃淡やシワ、光沢などが変化してく素材です。日々、少しずつ変わっていく様を楽しむことができるため、人によっては「革を育てる」という表現をすることもあります。そうした変化は、シートに良い「味」を出すとともに、所有者の愛着も掻き立てる要素になります。

 さらに、前述したように、本革は定期的なメンテナンスが非常に重要となりますが、適切なメンテナンスを日々繰り返すことによって、長く楽しむことができるというメリットもあります。屋外に晒される機会の多いバイクのシートに、入念なメンテナンスを施すのは骨が折れるかもしれませんが、そのぶん「革を育てる」期間も長くなり、愛着が増す要因のひとつになるでしょう。

 このように、バイクのシートに本革を活用することで、自分に合った自分だけのシートを作り出すことができるので、細部にまでこだわりたいライダーは、本革への張り替えを検討してみるのも良いかもしれません。 

※ ※ ※

 雨や湿気など、水分の影響をモロに受けてしまう本革は、劣化しやすかったり、メンテナンスが大変だったりと弱点が多いのが実情です。

 その一方で、ライダーひとり一人に馴染むオリジナリティのあるシートを作り出せたり、愛着を持って長く楽しめる素材でもあります。純正シートから本革シートへの張り替えなどをオーダーメイドでおこなっているバイクショップもあるため、シートのカスタムをしたい場合は、自分の理想のシートについて相談してみるのもオススメです。

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