時代に合わせ、要不要を見極めてきたプジョーのクルマ作り
10年ひと昔である。2011年に開催された第42回東京モーターショーのプジョーブースで、世界初の量産ディーゼルハイブリッド車の「3008ハイブリッド4」というクルマが、注目を浴びていたことなど、すっかりと忘れていた。初代3008にラインナップされたそのハイブリッドモデルは、前輪を163psの2ℓコモンレール式直噴ディーゼルターボエンジンで駆動し、後輪を37psのモーターが駆動する4WDシステムをもっていた。
シトロエンとピエール・エルメのスイーツデリバリーサービス開始2週間で受注は1000件以上、走行距離は1000kmを突破
ディーゼル+ハイブリッド、さらにそれまでプジョーにはなかった4WDの市販車となれば、日本のフレンチ好きユーザーにとっては待望の1台だったかも知れない。当時、日本でSUVを選ぶことは“4WDを買うことと同義”のように考えられていたから、待ち焦がれるのは当然かも知れない。
ところがこの意欲作、結局は日本に上陸することもなかったし、ヨーロッパでも主力になる事もなかった。ケチといえば言葉は悪いが、実利にうるさいフランス人にとって、燃焼効率はいいディーゼルとハイブリッドという高価な組み合わせと、自分たちの道路状況では必要性を感じない4WDは不要だったのかも知れない。
それが現在、一気に進んだ脱炭素化の流れによってハイブリッドやピュアEVに対する考え方が一変。プジョーのSUVで主力を務める2世代目3008のマイナーチェンジに合わせて「3008 GT ハイブリッド4」がラインナップへと加わった。
エンジンは以前のようにディーゼルではなく、パワーアップを図った1.6ℓのガソリンターボエンジンを採用。その最高出力は200PS、最大トルク300Nmと強力なのだが、そこに最高出力110PS、最大トルク320Nmのモーターが一基加わって前輪を駆動する。さらにもう一機、最高出力112PS、最大トルク166Nmのモーターが後輪を駆動することで4WDシステムとしている。メーカーの説明では、システム全体での最高出力は300PS、同最大トルクは520Nmとスーパースポーツ並みのスペック。「プジョー歴代市販モデル最強」であり、0~100km/h加速を5.9秒でこなすそうだ。プラグインハイブリッドとしての環境性能とスポーツカー並の動力性能の両立。いったいどんなプジョー流儀を見せてくれるのか、さっそく乗り出してみた。
歴代最強市販モデルでありながら、どこまでも優しくなれる
意気込んで走り出した割には、やる気があまり起きない。いや、走りの仕立てがあまりに自然でソフトで、こっちの意気込みを軽くかわすかのように振る舞うのだ。あれだけのハイスペックを備えながら、すべての操作系に対して優しい気持ちになって凶暴な気持ちを上手く押さえ込んでしまうから不思議なものである。
走り出しのソフトな加速感、そこからアクセルをグッと踏み込めば急激にトルクは盛り上がるのだが、その加速感さえも優しい。WRC(世界ラリー選手権)で何度となく王者に輝いたメーカーの歴代最強モデルならば、それなりに刺激的であるはずだが、その素振りさえ見えない。意を決して4つあるドライブモードから、もっとも強烈な「スポーツ」モードを選択。当然のように鋭さも増すし、コーナリングでもSUVの重心の高さを意識することなく、ハイペースでワインディングを駆け抜ける。かなりのハイペースで元気な表情を見せてはくれるのだが、すぐにこちらが優しい気持ちになっていく。結局は、もっとも効率よくエンジンとモーターを使い分けできるデフォルトモードの「ハイブリッド」を選んでしまう。
ひょっとするとこれは年齢的な問題もあるかもしれないが、かと言って、この上質でエレガントな走りを振り切ってまでダイナミックな走行をしたいという気持ちになりにくかったのだ。なによりもこの程よい軽快感と低重心の走りがクルマ自体をひとまわり小さく感じさせてくれ、なんとも心地いい走りを満喫できるのだから、不思議な力を持ったSUVである。
そのまま「4WD」モードを選んで少しだけ特設のオフロードに入ってみる。FFモデルには悪路でも安心できる「アドバンスドグリップコントロール」が装備されていて、「欧州ではこれでも十分にトラクションを稼げる」と言われたことがあった。4WDを無理に必要としない理由があったと思うが、さすがに4輪で駆動しながらオフロードを走ると、その安定感はより向上する。さらに下り坂を安定して下れる「ヒルディセントコントロール」の制御も自然で安心できる。そう考えるとやはり日本では4WDがウインタースポーツや雪国では、やはり有り難い。
上質な室内空間を演出するグレーのテップレザー&アルカンタラのシートに包まれながら高原のワインディングを走っていると、なんともゆったりとした気持ちになってくる。そして565万円というプライスを考えてみた。さすがは実利にうるさいフランス人、この価格で、名だたるプレミアムSUVたちと同レベルの上質さを実現しているのは、さすがである。
大幅に変更されたフロントマスクはフレームレスグリルと牙のようなライトが特長だ。
3連の3D LEDを採用したリアコンビランプは立体感のあるデザインで後ろ姿を引き締めている。
軽快なハンドリングを実現する小径ステアリングホイールと、その上に配置されることで運転中の視線移動を最小限にするヘッドアップインストルメントパネル。
座り心地のいいシートにはグレーのテップレザーとアルカンタラシートを採用し、上質さも実現。
リアシートはスペース面でも窮屈さは感じず、居住性も悪くない。
12.3インチの大型ディスプレイは精細なデジタルグラフィックスに進化。運転中の多彩な情報をわかりやすく表示。
シームレスに心地よくハイブリッドユニットのパワーと伝達する8速AT。
EV走行のみでJC08モードでは69km、WLTCモードでは64km走行可能。
スクエアで使いやすいがスペースでは平均的。
付属の電源ケーブルを使用するコンセントタイプ(200V 3kW)やウォールボックスタイプ(200V 6kW/3kW)の普通充電器が対応。
プラグインハイブリッド4WDを示すHYBRID4のエンブレムがフロントフェンダー、リアテールゲートに配置。
3008 GT HYBRID4
価格:565万円(税込み)
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,450×1,840×1,630mm
車重:1,640kg(パノラミックサンルーフ装備)
駆動方式:4WD
トランスミッション:AT
エンジン:直列4気筒ターボ 1,598cc
最高出力:147kw(200PS)/6,000rpm
最大トルク:300Nm(30.6kgm)/3,000 rpm
モーター(前):最高出力:81kw(110PS)
最大トルク:320Nm(32.6kgm)/500~5,000 rpm
モーター(後):最高出力:83kw(112PS)
最大トルク:166Nm(16.9kgm)/0~5,000 rpm
問い合わせ先: PEUGEOT CALL 0120-840-240
TEXT : 佐藤篤司(AQ編集部)
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
「運転席の横に“クルマが踊っている”スイッチがありますが、押したら滑りますか?」 謎のスイッチの意味は? 知らない「使い方」とは
「すごい衝突事故…」 東富士五湖道路が一時「上下線通行止め!」 ミニバンが「横向き」で“全車線”ふさぐ… 富士吉田で国道も渋滞発生中
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
「ノーマルタイヤで立ち往生」に国交省ブチギレ!?「行政処分の対象です」2年連続で大量発生…「スタックの7割が夏用タイヤ」今年も緊急警告
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?