「YZF-R」シリーズといえば、いわずと知れたヤマハのスーパースポーツモデルで、「YZF-R1」、「YZF-R1M」、「YZF-R3」、「YZF-R25」、「YZF-R6」、「YZF-R125」の6モデルがラインナップされています。なお、YZF-R6、YZF-R125は海外仕様のみ。2022年1月現在、国内での販売はありません。
この小排気量からリッタークラスまでバランス良く設定されたYZF-Rシリーズに、少し中途半端なようにも感じられる700?モデル、YZF-R7が追加されるということで、早速試乗させていただきました。
ヤマハ「YZR750」 ロードレーサー2スト最大排気量のモンスターマシン
ちなみに、同じYZF-Rシリーズといってもそれぞれに棲み分けが違い、R1とR6の開発コンセプトはトラックを極める「Full control evolution of track master」と「Furious track master」、R25とR3が毎日乗れる「Ride the “R”anytime」、そして今回新たに登場したR7が楽しさを極める「Fun master of Super Sport」です。
そして、track masterとして開発されたR1とR6は、ナンバー付きの市販車ではあるものの、ライディングテクニックに覚えのある熟練のライダーでもなければ、その性能を使い切ることはできない程のハイパフォーマンスを誇ります。
一方で、毎日乗れる“R”として開発されたR25とR3は、扱いやすく誰もが楽しく走れるモデルですが、ある程度のスキルを持つライダーからは、物足りないと感じられることもあるかもしれません。
そんな、過剰ともいえるハイパフォーマンスと、日常使いもできる気軽なロードスポーツの間を埋める、程よいハイパワーを楽しめるスーパースポーツが、R7なのです。
R7は、幅広いライダーから高い支持を得る「MT-07」の基本コンポーネントをベースに、R1やR6と共通となるR-DNAデザインを採用。公道はもちろんのこと、サーキットにおいても幅広い技量のライダーが「扱いきれて楽しめるスーパースポーツ」を目指して開発されました。 R1は異次元すぎるとしても、R6未満R3/R25以上の、幅広い技量のライダーが扱い切れて楽しめるスーパースポーツというヤマハの説明を聞いて、中々上達しないながらもバイクでのサーキット走行が大好きな私(先川知香)がワクワクしないはずはありません。
私も、その幅広い技量のライダーという枠に入っているかもしれないという淡い期待を胸に、試乗会場となる袖ケ浦フォレストレースウェイを走ります。
跨った感じは700?とは思えないスマートさで、身長165?の私でも両足の爪先がしっかりと地面に着きました。
188kgある車重もそこまで重く感じることは無く、スーパースポーツにしては少し楽だと感じるライディングポジションなど、取り回しの良さを体感したことで、さらに走りへの期待が高まります。
私はワクワクしながらコースインし、周りの様子を見ながら少しずつアクセルを明けていきました。
「楽しい!」
意識しなくても無理なく自然にニイグリップが出来てしまうような、体に馴染むスマートな車体に、思いどおりに加速してくれるエンジン。そして、急な動作にも変な挙動を起こすことなくキッチリと止まってくれるブレーキなど、コースをサラッと流している分には安心感の塊です。
しかし、「私も、幅広い技量のライダー枠に入ってる!」と、嬉しくなったのは最初の1、2周のみ。何となく、少しこのバイクのことが分かった気になり、スポーツ走行をしてみようと速度域を上げていくとやはり700?で、ヘアピンなどの急なコーナー、特に元々私が苦手とする右コーナーが曲がれないなど、一気に扱えなくなってしまいました。
とはいっても、これはまだ私のライディングスキルがR7を扱い切れるに至ってないだけの話。サラッと流しただけの時に感じた乗りやすさは、本物です。なぜなら、乗っていて本当に楽しかったから。
サーキット走行において私には、700?へのステップアップはまだ少し早かったようです。
YZF-Rシリーズは元々、R25/R3からスタートしたライダーがスキルアップと共にR6へ、そしてR1へとステップアップをしながら、ライダーとマシンが一緒に成長していける存在です。
そこにR7を加えることで、もっとライダーの成長に寄り添える存在へと進化させたヤマハの想いを感じることができた今回の試乗。
「まずは、R25が扱い切れるようになってから出直してきます」
R7は、サーキットライディングを上達させる道筋を、キッチリ私に教えてくれました。
そんなYZF-R7 ABSの価格(消費税込)は、99万9900円です。
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