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電動車普及のカギを握るバッテリー供給。リチウムイオン電池を発明した日本はどうなっているのか

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電動車普及のカギを握るバッテリー供給。リチウムイオン電池を発明した日本はどうなっているのか

 中国のNEV(新エネルギー車)規制とEU(欧州連合)のCO2(二酸化炭素)排出規制。このふたつの規制が普及を狙っているのはBEV(バッテリー電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)だ。両方とも外部コンセントから電力が供給される方式であり、バッテリー大量搭載型電動車である。とくにBEVは電池に貯めた電力だけで走るため、電池の性能が航続距離や加速性能を大きく左右する。では、現在の電池開発と供給はどのような状況なのだろうか。

 駆動用の電池は、ガソリン車でいえばガソリンである。世の中にはレース用の超高オクタン価ガソリンから一般的なハイオク、そしてレギュラーなど、いくつかのタイプが存在する。それぞれの違いはノッキング(不整着火)がしにくい(耐ノック性)であり、高い圧縮比でもノッキングしない高オクタン価ガソリンを使えば圧縮比を上げることができ、同じ量のガソリンを使ったときに得られる燃焼圧力が高くなる。

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 何度も充放電できる2次電池の場合は出力密度とエネルギー密度というふたつの指標が性能のほとんどを決める。出力密度とは「瞬間的にどれくらいの出力を得られるか」、エネルギー密度は「その出力をどれくらい持続できるか」である。3.7V(ボルト)10Wh(ワットアワー)の電池は、3.7Vが出力、10Whがエネルギーである。

 このうち出力は、電池の極材でほぼ決まる。現在のリチウムイオン2次電池(以下=LiB)はNMC(ニッケル/マンガン/コバルト)やNCA(ニッケル/コバルト/アルミニウム)と呼ばれるタイプが最高出力であり、1セル当たり3.7Vを発生する。ただしコバルトなどは高価であり、性能はいいけれど値段が高い電池だ。最近注目されているのはLFPと呼ばれるリン酸鉄リチウムを使うタイプで、コバルトを使うタイプよりも安価で耐衝撃性にも優れる。ただし出力は3.2V程度だ。

 注目されている全固体電池は、極材そのものは現在のLiBと変わらないが、液体電解質の代わりに固体化した電解質を使う。歴史は古いが、過去に実用化されたのは半固体と呼ばれるリチウムポリマー電池であり、身近なところではアップルコンピュータのiPod(第2世代まで)で使われた。固体化することで衝撃・高電圧・高温に強くなるといわれているが、量産性や車載時の安全性などは未確認である。

 当面、BEVやPHEVには現在の液体電解質型LiBが使われるだろう。全固体電池の実用化は7~8年以上先だといわれている。また、全固体電池の実用化に当たっては、生産設備を更新する必要がある。

 現在、世界中の車載LiB生産は中国と韓国の企業が大半をまかなっている。LiB発明国の日本は、かつては生産を独占していたが、現在は生産が伸びていない。

 車載用LiBについては出荷量を正確に把握した統計がなく、ある意味で自己申告制なので、正確なランキングはわからない。2019年の世界トップは中国のCATL(寧徳時代新能源科技)、2位はBYD(恵州比亜迪)あるいは韓国のLGケミカル(LGはラッキーゴールドスターの略で旧金星財閥)、それとパナソニックと推計された。

バッテリー供給は中国と韓国企業が世界をリード

 自動車での大口需要家は、まずBEV生産台数世界一のテスラである。以前はパナソニック1社からの調達だったが、現在はCATL、LGケミカル、BYDなど複数社からの調達。その理由は電池不足が車両製造の足を引っ張らないよう、需要増に素早く対応するためである。トヨタは日本国内でPHEV仕様RAV4の受注を一端、打ち切った。その理由はLiB不足だ。トヨタはパナソニック1社からの調達である。

 世界的に車載LiBは供給不足だ。急激にBEVとPHEVの生産が増えたため供給が追いつかない。

 自動車メーカーによってはLiBメーカーとの間で優先供給契約を結び、生産ラインへの投資支援(設備リース費用の肩代わり)を行っている例もあるが、こういう話は表には出てこない。ひとつ明確なのは、大量に購入してくれる企業を優先する点だ。CATLは中国政府の支援で大規模LiB工場を建設し、ここから欧州への供給を行っている。LGケミカルは韓国国内とポーランドの工場からVW(フォルクスワーゲン)のIDシリーズやボルボ、ルノーを対象にした製品出荷を行っている。

 LiBの輸送には安全性を確保するためのコストがかかる。その関係で、中国と韓国のLiBメーカーは欧州への工場進出を決めた。すでにCATLがドイツ工場建設に着手し、LGケミカルはポーランド工場の拡張を行う。これ以外では韓国のサムスンSDI、中国の合肥国軒高科学動力源などが海外展開を計画している。電池工場は初期投資がかかるが、現在の需要なら「元が取れる」と中韓メーカーは判断している。

 日本でのLiBは、自動車メーカーごとの専用だった。トヨタとパナソニック、日産とオートモーティブエナジーサプライ(NEC)、三菱自動車とGSユアサというように、開発から生産まで「自社の電動車で最高性能を得る」ための体制だった。

 これに対し欧米は「安ければどこからでも買う」という姿勢である。現在の欧州メーカーは、調達方針をやや変更。調達先は数社確保し、電池の仕様はある程度の「専用品」というスタイルになった。とはいえ、LiBはすでに価格競争に突入しており、中国と韓国がプライスリーダーになった。
 欧州では、EU政府が「欧州資本のLiB工場立ち上げ」を支援し始めたが、価格競争力は未知数である。

文:カー・アンド・ドライバー 牧野茂雄

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みんなのコメント

103件
  • これに限らず
    日本って技術はあるのに 商売にするのが下手だよなぁ~
  • 液体リチウムイオン電池の安定化が喫緊の課題ではなかろうかと思う。ヒュンダイのコナが世界中で燃えている。米国の事故Eでは、車庫で、ほとんど小爆発を起こした。来年、全個体電池搭載車輛がトヨタからでてくる模様なれど、本当に内燃機関に代わりえるエネルギー変換効率が実現できるか微妙。
    トヨタは、電池の供給の目途がついたから、EV参入を本格化する。世の俄かEV/テスラ上げの輩は、このあたりさえも理解していないから、始末におえないが。馬鹿どもは、トヨタ生産方式とかも知らんだろう。
    あと、リチウム・コバルトの産出量は上がっているが、南米/アフリカなどに偏在しているのも問題。中国は、リチウム・コバルト確保に数年前から気づいており、コンゴ民主共和国などはほとんど中国の経済植民地と化している。化石燃料に代わる新たな資源争奪戦争も念頭においておく必要があるのではなかろうか。 

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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