通算で3000万台が製造されたパサート
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
フォルクスワーゲン・パサートのトップグレードとして、スポーティで控え目なボディキットを装い、充実した装備が与えられたモデルが登場した。
パサート2.0 Rライン・エディションと呼ばれるもので、エステートのみ。特別感を高めるためかボディカラーは「ムーンストーン・グレー」だけの設定となり、ホイールはブラックの19インチ。グロスブラックのボディトリムが見た目を引き締める。
2019年のジュネーブ・モーターショーで、マイナーチェンジを受けた8代目パサートが発表された。このクルマは世界中のパサート・ファンへ贈られる、プレゼントといえるかもしれない。パサートは通算で3000万台の製造を達成することになったのだから。
エンジンは240psの2.0Lディーゼルターボか、271psの2.0Lガソリンターボが選べる。どちらも4輪駆動の4モーションが組み合わされる。
価格には贈り物感は薄い。今回試乗したガソリンターボ、TSIの場合は4万4000ポンド(616万円)に迫り、ほぼ同じエンジンを搭載したアウディA6すら手中に収めることができてしまう。
フォルクスワーゲンによれば、英国に導入されるパサート2.0 Rライン・エディションは限定150台。4輪駆動の高性能ワゴンを好むドライバー、特にパサートへ思い入れのあるドライバーにとっては見逃せないモデルとなりそうだ。
控え目でも明らかなスタイリングの変化
パサート2.0 Rライン・エディションの慎ましくも明確なスタイリングの変化は、価格を納得させる最大の要素。均整の取れたデザインは、フォルクスワーゲンのRモータースポーツと高性能エンジニアリング部門が手掛けている。
ルーフレールやドラミラーカバー、サイドウインドウのフレーム、グリルフレーム、ディフューザーはグロスブラックに統一。控え目なルーフスポイラーも中央部はグロスブラック仕上げだ。グレーのボディとのコントラストは強いが、グロスブラックのホイールと相まって、コーディネートはとても良い。
通常のパサートRラインと同様に、インテリアは目を引くような特別な部分はない。しかし快適で上質で、落ち着いて運転できる環境にも変わりはない。
ハーフレザーのRラインラインスポーツシートは、サポート性も良くクッションもしっかりしている。着座位置はやや高めといえる。
装備も価格相応に充実されている。ほぼボタンの廃された9.2インチモニターによるインフォテイメント・システムは、ディスカバー・ナビゲーション・プロを搭載。メーターパネルも全面モニターとなる。
LEDマトリックス・ヘッドライトが夜道を照らし、ダンパーはアダプティブタイプ。パーキングカメラも搭載するだけでなく、半自律運転システム、トラベルアシストも標準で装備する。
快適性を犠牲にしない適度なホットさ
高速道路に乗ればテスラ製システムのように自律走行が可能で、他社のレーンキープアシスト機能より優れている印象。ステアリングホイールには感知機能があり、トラベルアシストを利用している間も、常に手を添えている必要がある。
サスペンションは基本的に変更を受けておらず、想像通りパサートらしい乗り心地。19インチホイールのおかげで、高速道路でのロードノイズは大きく、鋭い入力は比較的強めに車内に伝えてしまう。
しかしサスペンションの設定を最も硬い状態にしない限り、路面の凹凸を感じることはないだろう。コンフォートモードを選べば、名称に違わない乗り心地が得られる。
4気筒エンジンは常に静かで、トランスミッションの変速も滑らか。走行フィーリングは穏やかで、スポーティさを高めたことによる快適性への犠牲はほぼないといえるだろう。
ドライビングモードを積極的な方へ合わせれば、明確に活発さが追加される。エンジンはスムーズに吹け上がるが、4気筒ガソリンターボとしては平均的な部類。ターボブーストの高まりに合わせて、中回転域でトルクが急に盛り上がることもない。
高めのギアに入った状態で、3000rpm前後での力強さでは、パサートGTEの方が上。しかしパサート2.0 Rライン・エディションもスロットルレスポンスに優れ、リニアにパワーが立ち上がり、適度なホットさがある。充分に楽しく、夢中になれる。
安くはない価格をどう捉えるか
ツインクラッチATは、Sモードにすると変速ショックがやや強くなる。パドルシフトを操作してシフトダウンさせる時、まれに期待より時間がかかることもあった。全般的には充分にクイックだから許容できる範囲だし、すぐに慣れるだろう。
殆どの場面でグリップ力は高く、入力に対する反応も正確。クルマのサイズを考えれば、快適性を残しつつ、姿勢制御にも優れている。
郊外の開けた道に出れば、フィードバックは濃くないものの、適度な活気と柔軟さの中でドライビングを楽しめる。ステアリングホイールに伝わる情報量は薄くても、直感的に操れるはず。
フォルクスワーゲンは、このパサート2.0Rライン・エディションのみ、電子制御スタビリティコントロールのオンオフを可能としている。しかし、シャシーが改良を受けているわけではない。
英国での価格は、フォルクスワーゲン・ファンでも安くは感じないだろう。一回り大きいボディサイズに固執しないのなら、間もなく入れ替わる7代目ゴルフRエステートより6000ポンド(84万円)も高い価格は納得し難い。
ドライバーの得られる一体感や満足感でいうと、4万4000ポンド(616万円)で手に入る、後輪駆動のベストに匹敵するほどではない。ゴルフRエステートの方がスピードや個性といった面では一枚上手だと思う。最高レベルのパサートを作ることは、ゴルフ以上に難しいのかもしれない。
趣味と実益とのバランスを取る
謙虚な雰囲気のステーションワゴン・ボディに、特別なルックスと充実した装備が与えられたパサートは、限定生産ということもあって所有欲を掻き立てる存在だ。271psのガソリンエンジンをベースにしたチューニングモデルとしては、唯一のパサートでもある。
雰囲気としては、かつてのMGモンテゴ・ターボやフォード・モンデオST200にも通じる。高性能モデルのヒエラルキーにとらわれず、ステータスシンボルにもこだわらない、好感の持てる特別な仕様だと思う。
充分以上に速く、実用性も高い。満足できるパフォーマンスを備え、程よい楽しさを与えてくれるパサート。適度に趣味と実益とのバランスを備えたエステート・モデルは、珍しい存在だ。
主張が強くないぶん、実力がひと目ではわかりにくい。そんな見られ方を好むドライバーなら、フォルクスワーゲン・パサート2.0 TSI Rライン・エディションは、相当にツボなクルマとなるだろう。
フォルクスワーゲン・パサート2.0 TSI Rライン・エディション・エステートのスペック
価格:4万3740ポンド(612万円)
全長:4773mm
全幅:1832mm
全高:1516mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.8秒
燃費:11.7km/L(WLTP複合)
CO2排出量:-
乾燥重量:1680kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:271ps/6000rpm
最大トルク:35.6kg-m/2000-5400rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
どうりで売れてない。