ブロンズ枠のジェントルマンドライバーとして長年アストンマーチンを駆り、世界耐久選手権(WEC)へ参戦してきたポール・ダラ・ラナが、モータースポーツ人生に終止符を打つことを発表した。
これにより、4月27日(木)から4月29日(土)にかけてスパ・フランコルシャンで行なわれるWECスパ6時間では、ダラ・ラナのノースウェストAMRのエントリー枠をハート・オブ・レーシング(HoR)がWECデビューという形で引き継ぐこととなった。
■「ジェントルマンドライバー=道楽」ではない。CARGUY木村武史が“楽しくない”レースに全力注ぐ理由
カナダの実業家である57歳のダラ・ラナは、2017年にWECのGTE Amクラスでドライバーズタイトルを獲得し、69戦中17戦でクラス優勝。アマチュアドライバーとしては、WEC史上最も成功を収めたドライバーであり、勝利回数においてもセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、ペドロ・ラミーに次ぐ4位の記録を持っており、その活躍ぶりから”トップアマ”と呼ばれるようになっていた。
ル・マン24時間レースでは、2015年に終盤のアクシデントによりクラス優勝を逃しており、2022年の3位が最高位となっていた。
ダラ・ラナは、WECの2023年シーズンも開幕戦からアストンマーチンのファクトリードライバーであるニッキー・ティームと、アクシル・ジェフリーズと共にノースウェストAMRで参戦していたが、家業への専念を理由に引退を決めた。
「アストンマーチンでレースをして、ル・マンに参戦し、世界選手権のタイトルを獲得することは、私の人生における最大の冒険のひとつで、残りの人生を過ごす上で欠かせない多くの思い出を得ることができた」
ダラ・ラナは引退に際して、そうコメントした。
「しかし、レースはいつかは止めなければならないこと。私にとっては、その時がずっと前から来ていたのだ」
「準備する時間を確保して、最高レベルで争うことが驚くほど大変になっていた。世界選手権を戦うためには、自分の全てを捧げる必要があるのだ」
「WECも規模が大きくなり、私もデイトナやセブリング、ル・マンなどでV12、V8、そしてターボチャージャー搭載の『V8ヴァンテージ』をドライブすることができた。とてつもない体験だったし、アストンマーチンと共闘できたことにとても感謝している」
「何年も我々のことを見てくれていた素晴らしいファンに感謝を。そしてアストンマーチンの未来に幸あれ。きっと寂しくなるね!」
WECスパ6時間からノースウェストAMRのGTE Amクラスのエントリー枠を、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)GTDクラスに参戦していたHoRが引き継ぐことに。98号車のアストンマーチン『ヴァンテージAMR』を使用して、ノースウェストAMRの旗本で参戦を行なうこととなった。
ドライバーラインナップは、イアン・ジェームスとアレックス・リベラス、ダニエル・マンチネッリの3名。昨年HoRはローマン・デ・アンジェリスと共にGTDクラスで総合優勝を果たし、今年のデイトナ24時間では、アストンマーチン『ヴァンテージGT3』でGTD Proクラス優勝を果たしている。
WEC挑戦に際して、ジェームスは次のように語っている。
「我々は野心的なチームだ。過去3年間、我々は他のカテゴリーで幸運にも成功を収めており、そこにWECを加えることができるのは光栄なことだ」
「ロレックス・デイトナ24時間レースとル・マンのダブル優勝を目指すのは、とてもエキサイティングなことだ」
「この場を借りて、ポールの今後の活躍を祈ると共に、残りの2023年シーズンのエントリー枠を引き継ぐ機会を与えてくれたことに感謝したい」
「スパでは火の洗礼を受けることになるが、WECにおける98号車の成功のレガシーを引き継いでいきたい」
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