レクサスの屋台骨を支える重要なモデル「ES」はどう進化した?
中国・上海での2年ぶりのモーターショーでレクサスがお披露目した新型車は、いつにも増してインパクト絶大でした。登場したのは、フルモデルチェンジされたレクサス「ES」です。
【画像】「えっ!…」重要モデルが大胆革新! これが上海ショーで世界初公開されたレクサス新型「ES」です(30枚以上)
「ES」といえば、「LS」とともにレクサスブランドを切り拓いた存在であり、今では「RX」、「NX」とともにその屋台骨を支える、きわめて重要なモデルです。中国市場でも、レクサスといえばこの「ES」がまず思い浮かべられるほどの存在でしたが、実はここに来てその販売は大幅に落ち込んでいました。
その一番の要因が、中国国内メーカーの台頭。デザインの魅力、大画面や音声入力を始めとするインフォテインメントの斬新さなどを武器とする国内メーカーの攻勢により、市場がすさまじいスピードで変化している彼の地で、「ES」は急速に訴求力を失ってしまったのです。
変わらなければ、生き残れない……。そんな危機感が背後にあったのでしょう。これまで、どちらかといえば保守的という印象だった「ES」が、新型では見た目も中身も、大胆に変貌を遂げました。
まずは見た目……の前に、大事な中身の話から。新型「ES」は今回、同じ車体でHEV(ハイブリッド)とBEV(電気自動車)をラインナップする完全電動化モデルとなりました。
中国ではNEV(新エネルギー車)が市場を牽引している状況であり、世界的にも今は踊り場ではありますが、電動化に向かうトレンドは確実。トヨタ自動車の中で電動化を牽引する役割を担うレクサスの主力が、こうなるのは当然といっていいでしょう。
HEVは、2リッターまたは2.5リッターエンジンに電気モーターを組み合わせた「ES300h」そして「ES350h」が用意されます。対するBEVは、前輪駆動の「ES350e」と、前後2モーターで合計最高出力252kW(342.5ps)を誇る「ES500e」がそろいます。
ひとつの車体で内燃エンジンを積むHEVと、エンジンがない代わりに大容量バッテリーを必要とするBEVの両方を用意するために、プラットフォームの“GA-K”は、いわゆるマルチパスウェイ対応へと進化。新型「ES」は、これを使った初のモデルとなります。
こうした中身の大きな変化に対して、新型「ES」はその基本フォルムとしてセダンを踏襲しています。優れた静粛性と、運動性能の高さというセダンの魅力を引き継ぎ、進化させるのが「ES」の役割だというわけです。
ただし、それは簡単ではなかったようです。何しろ前述のとおり、新型「ES」はHEVだけでなくBEVも設定しています。BEVの大容量バッテリーは床下に搭載されるため自ずと全高が高くなり、美しいプロポーションづくりを阻害します。
床下へのバッテリー搭載と室内の優れた居住性を、美しいセダンプロポーションといかに整合させるか? そのために新型「ES」は、ボディサイズを大幅に拡大しました。全長5140mm、全幅1920mm。全高1555~1560mmという数値は、現行モデルより実に165mm長く、55mm広く、110~115mm高くなっているのです。
コンセプトは「Clean Tech×Elegance」。Lの字をふたつ重ねたツインLシグネチャーランプ、スピンドルが浮かび上がったようなフロントマスク、サイドの大胆なキャラクターラインといった特徴的なディテールは、「ジャパンモビリティショー2023」で公開されたコンセプトカー「LF-ZC」を彷彿とさせるもので、まさに“クリーン”で“テック”な雰囲気を演出しています。
そして“エレガンス”を体現するのが、そのフォルム。やはり「LF-ZC」のように前後で異なる立体が嵌合(かんごう)するようなロアボディ、トランクレス的に絞り込んだリアなどによってまさにエレガントで、かつ躍動感のあるカタチがつくり出されています。
実はこのプラットフォーム、トヨタの「クラウン・クロスオーバー」と多くを共有していて、つまりリフトアップセダンにするならば簡単だったようです。ですがレクサス開発陣が選んだのは、豊かな体躯(たいく)を活かして、あくまで正統派のセダンを描き出すことでした。
実車はそのサイズもあって存在感バツグン。古くささとは無縁の新しいデザインになっており、そして何よりしっかりレクサスしています。しかも、床が高くなった分、実は乗り降りもしやすく、室内の開放感も上々。個人的には「この手があったか!」とヒザをたたいた次第です。まさに今、世に問うにふさわしい最新進化型セダンの誕生といっていいでしょう。
“センサリーコンシェルジュ”がキャビンを多彩に演出
新型「ES」は、インテリアもやはりシンプルでクリーンであることが念頭に置かれています。
造形だけの話ではなく、シートやトリムをできるだけ薄型にしたり、フロントやサイドのウインドウ枠下端を可能な限り下げたりといった工夫も施され、さらには絶対的な着座位置の高さも、優れた視界、開放感につながっています。
センター部分の柱を廃し、大きな1枚の調光機能つきガラスを用いたパノラマルーフは全車に標準装備されます。実はこれも、全高をギリギリまで抑えながら室内高を稼ぐ仕掛けなのです。
最新のセダンとしては先進感のアピールも欠かせません。コックピットを見ると、ドライバーの眼前には12.3インチの異形液晶メーターの採用により低く抑えられたメーターフードがあり、センターにはやはり大型のディスプレイが鎮座しています。
ちなみに中国仕様では、助手席前にもディスプレイが連なって置かれています。これは中国以外の市場でも、求められること必至でしょう。
さらにドアトリムには、光と音、香りまで連動させる面発光加飾を装備。普段は内装トリムに同化している物理スイッチが、手を近づけることで点灯する“レスポンシブ・ヒドゥン・スイッチ”などとも相まって、ハイテク感とレクサスならではのおもてなしを演出しています。
そんな中、筆者(島下泰久)が惹かれたのが“センサリーコンシェルジュ”です。設定された「INSPIRE」、「RADIANCE」、「REVITALIZE」という3つのモードに応じて、インテリアに搭載されたイルミネーション、音楽、マルチメディア動画、空調、シートに内蔵されたエアラプターによるリラクゼーション機能にヒーターまでが連動して、室内をリラックスにも、アゲアゲにも演出してくれるのです。
普通に、イルミネーションを音楽に連動させることもできるので、日常的に使っているとクセになりそうですね。いずれも、クルマを部屋の延長線上という感覚で味わう中国のユーザーが、いかにも喜びそうな機能……といいたいところですが、特に充電が必要なBEVならば、これは日本のユーザーだって楽しめるでしょう。
* * *
前回、一昨年の「上海モーターショー2023」は、コロナ禍で世界が分断されている間に、中国の自動車メーカーが大きく力をつけていたことに気づかされる衝撃的なものとなりました。
あれから2年。「ES」という販売上重要なモデルをここまで革新してきたことで、レクサスがもたらすインパクトは、きっと小さくはないでしょう。
個人的には、それをセダンという形態にこだわって実現してきたことに、ブランドの決意のようなものを感じます。何しろ、それはクルマというものを知るブランドだからこそできる選択なのですから。
もちろん、この新型「ES」は日本でも販売予定です。ただし、登場時期はまだずっと先。2026年春頃になる模様です。
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みんなのコメント
横基調って感じでも無い。
なんじゃこれ。